13話:その姿まさに
なんやかんやあって5分後。
「ついてしまったな、頂上(?)」
「そうだな……」
正面から堂々と進撃していったナタリーは障害を障害とせずたんたんと上り続けていった。この子強すぎ。
「取り合えず一番高いところについたはいいが、どうしたらいいのだ?」
「さぁ、俺も何も言われてないし」
ここに来る途中に遭ったすべての敵兵はナタリーが倒してしまった。つまり迎撃の必要が特にないし、おかげで暇なのである。
しかしよく見るとこの要塞、ところどころ造りが豪華なのだ。ステンドグラスやシャンデリアなど、要塞にはそぐわない調度品も多かった。
「おぉ、ハヤト!ここからの眺めは最高だな!」
雪に覆われて真っ白な山脈を見てナタリーがはしゃぐ。こういうところは年相応というか、すこし幼げというかなんとうか可愛い。
まだ日は昇っておらず、薄暗い中霧をまといながら堂々とそびえたつ山は迫力がある。
「西側の山はモルゾン山といってな、少し小さいがレーヴェタリアンから見る朝日が昇る様は絶景なのだ!此処からでもきっと見えるぞ!」
山のてっぺんから朝日が昇るのが見られるのか。日本人として実になじみ深い風景だが、こちらの世界ではどんなものなのだろうか。あれ?
「お日様って西から昇るの?」
「ん?太陽が東から昇るわけなかろう?」
この世界って結構元いた世界と似てるなーって思ってたけど、というか魔法とかないみたいだからまんま中世ヨーロッパなんだよな、けどまさかこんなところで異世界を感じられるとは!
「あと東側のアーゾン山は朝日を浴びるさまが実にきれいらしい。これはいつでも見られるらしいのだが、せっかくの機会だ。それにこんな高い処から見るというのも乙なのだろうな」
「太陽の光で雪が光るんだろうな、年中見れるなんてちょっと得した気分だ」
「だが、毎日見てたらさすがに飽きるだろうな」
「そりゃそうだ」
なんて話しているうちに、モルゾン山の頂上が少し明るくなった。日の出のようだ。
「ハヤト、見ろ!すごい絶景だぞ!」
「ほんとだ、すごい景色だな」
霧に太陽の光が反射して、すごくきれいだ。富士山の朝日を拝むなんてイベントもあるけど、きっとそれにも勝るような景色だろう。
「こっちの窓からはアーゾン山がきれいに見えるぞ!」
外を見てナタリーがまたはしゃぐ。朝日が顔を照らして、しかも笑顔で、まるで……
「ん?どうしたハヤト、まるで天使でも見たかのような顔だな。いくらここが素晴らしい土地でも、天国ではあるまいに」
ナタリーの背に虹色の羽根が生えて、まるで天使のようだった。




