表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/928

その81 ミケラルドの功績

「闇魔法の効果を逆手に取る」

「というと?」

「闇は光を吸収する。闇魔法の中に光魔法に包まれてる俺が入ったら、確実にその光は吸収される。だから、自分の身体が耐えられる速度まで調整すればいいんだよ」

「……うーん、つまりそれは……闇魔法の力に重きを置き、光魔法の威力を弱めるという事か?」

「絶妙なバランス感覚だよリィたん。ところで、リィたんは音より速く動けるの?」

「当然だ」


 何が当然なのかわからないが、リィたんの力があれば音速には耐えられる訳か。

 確か光速が音速の(うん)十万倍だったはずだから……ダメだ、全然参考にならない。なら発想の転換だ。別に光速じゃなくてもいいと考えよう。闇魔法の比率を極限まで上げ、光魔法の比率を極限まで下げる。


 ◇◆◇ ◆◇◆


「……くそ! 無理だ! 十万分の一にすらならない! くそ、そもそも俺が光速に耐えられる身体ならよかったのに!」

「なぁミック、そう考え込むな。魔王も賢者も霊龍だって皆、異常とも呼べる存在だったのだから」

「でも! ――……ん? 賢者?」

「どうした、ミック?」

「なぁリィたん、賢者って人間だったんだよな?」

「そうだが?」

「どれくらい強いの?」

「賢者か。確か、霊龍の話では、『知識や魔法は凄かったが、やはり人間』だと言っていたな。肉体だけで言えば、ミックの方が上等だろう――ミック?」


 そういう事か!

 考える根本が間違ってたんだ。何が闇魔法の中を光速で飛ぶだ。

 そんなの無理に決まってんじゃねぇか!


「なぁ、ミック?」

「転移じゃない。ワープドライブだ……!」


 それに気付いた時、俺の中のプランが一瞬にして決まってしまった。


「逆だったんだ。闇魔法は極少、そして強力な光魔法のバランス」


 ワープドライブであれば、光魔法で闇空間をねじ曲げるだけで移動が可能。

 だから賢者は人間の身体で転移が出来たんだ。つまり、衝撃に耐える必要はなかった。


「おいミック! 一人だけわかったような顔をしないでくれ!」

「あ、そうですね。出来ましたよ、転移魔法」

「は?」


 リィたんの呆気にとられた顔はとてもナイスで、突っ込みたい気持ちになったが、それをしては可哀想である。

 俺はリィたんの前に闇空間を置き、リィたんに「ここで待ってて」と伝えると、後方へ駆けた。


『リィたん聞こえる?』

『聞こえるがこれは一体どういう事だ?』

『実施テストだよ』

『転移魔法のか?』

『勿論。そこから今俺がいる場所わかる?』

『あぁ、勿論だ。ものの数秒も駆ければそこに――』

「――いや、転移なんだから数秒もいらないよ」

「っ!? ミック!? い、今!?」

「だから転移してきたんだよ。探知の反応が変わってるだろ?」

「ほ、本当だ……!」

「そうか、この転移魔法を付与(エンチャント)すれば、闇空間を使わず移動出来るな。テレポートを媒介するテレポートポイントってとこか」

「本当に転移魔法を完成させてしまったのか……?」

「リィたんもやってみる? 魔法が使えなくてもテレポートポイントを使えば、多分転移出来ると思うよ」

「本当か!?」


 もの凄く嬉しそうなリィたんである。

 俺は喜ぶリィたんと色々話しながら、マッキリーの町にあるミケラルド商店三号店に向かう。

 店ではカミナが店番をしている。俺たちの帰宅に気付くと、カミナは喜んで迎えてくれた。


「ミケラルド様! 注文していた箪笥(チェスト)が届きましたよ」

「お、いいね! じゃあそれに付与しちゃおう」

「ふぇ?」

「カミナ、悪いんだけど、部屋の箪笥(チェスト)をちょっと使わせて欲しいんだ」

「ぇ? まだ荷下ろししてないので手つかずですけど……どういう事です?」


 ◇◆◇ ◆◇◆


「よし、これで応接室の箪笥(チェスト)とカミナの部屋が繋がったはずだ。おーい! リ――」

「――凄いな! 本当に転移出来たぞ!」


 まるで小学生だな。

 応接室で喜んでいたはずのリィたんは既におらず、カミナの部屋へと戻り、


「おぉ!」


 また応接室にやって来た。


「これ、凄いです! ミケラルド様!」

「いや、カミナまで……」

「でも、何で箪笥(チェスト)なんですか? もっと小さいものでもいいじゃないんですか?」

「愚問だな、カミナ」

「へ?」

箪笥(チェスト)から転移するのは……(おとこ)の浪漫だ!」

「……はい?」


 ◇◆◇ ◆◇◆


「という訳で、二号店にもテレポートポイントを置かせてもらいます」

「ミックすごーい!」

「まぁ、これでミナジリの村に自由に戻れるって事ですね♪」


 ナタリーとエメラの称賛の言葉に、顔が緩みそうになる。

 が、ここでヘラヘラしてはいけない。ヘラヘラするのは自室に戻ってからである。


「ミック、その顔変だよ?」

「ふぇ!? ど、どこが!?」

「何か凄いぴくぴくしてる」

「あらあら、うふふふふ」


 くそ、エメラにはバレてしまったか! 流石、数々の男を手玉にとった魔眼の持ち主は違う!

 がしかし、これでようやく次の作戦に移る事が出来る。

 これはまだ、リーガル国の差別意識を、根本から変える大計画の……始まりに過ぎない。

2019/6/11 本日三話目の投稿です。ご注意下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓連載中です↓

『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』
【天才×秀才】全ての天才を呑み込む、秀才の歩み。

『善良なる隣人 ~魔王よ、勇者よ、これが獣だ~』
獣の本当の強さを、我々はまだ知らない。

『使い魔は使い魔使い(完結済)』
召喚士の主人公が召喚した使い魔は召喚士だった!? 熱い現代ファンタジーならこれ!

↓第1~2巻が発売中です↓
『がけっぷち冒険者の魔王体験』
冴えない冒険者と、マントの姿となってしまった魔王の、地獄のブートキャンプ。
がけっぷち冒険者が半ば強制的に強くなっていくさまを是非見てください。

↓原作小説第1~14巻(完結)・コミック1~9巻が発売中です↓
『悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ』
神薬【悠久の雫】を飲んで不老となったアズリーとポチのドタバタコメディ!

↓原作小説第1~3巻が発売中です↓
『転生したら孤児になった!魔物に育てられた魔物使い(剣士)』
壱弐参の処女作! 書籍化不可能と言われた問題作が、書籍化しちゃったコメディ冒険譚!
― 新着の感想 ―
[良い点] >「箪笥から転移するのは……漢の浪漫だ!」  教徒でも男じゃないけどロマンです! 
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ