その71 新モンスター、新マジックアイテム
リーガル国のダンジョン。
ランクB以上の冒険者が侵入出来る難度の高いダンジョンである。
十階まで潜ってみた結果、出現するモンスターは六種。
ランクCモンスターのスケルトンウォーリアとメイジスケルトン、そしてフラッシュボアとグリーンワーム。
ランクBモンスターのブラッディマンティスとフローラルモス。
スケルトンウォーリアは重装備したスケルトンと言う印象。倒せばその武具も一緒に霧散するのが中々興味深かった。メイジスケルトンは法衣を着た魔法使いのようなスケルトンだった。スケルトンウォーリアと一緒に現れたのなら、普通の冒険者は非常に苦戦を強いられるだろう。
縦横無尽に跳び掛かってくる大蛇、フラッシュボアは、天井から、壁から、宝箱の裏からと、まさに一閃という速度で襲ってくる。これも探知の魔法がなければ怖い相手だ。唯一倒しやすいのは動きの遅いグリーンワームだろう。だが、奴の糸に捕まれば、それこそ丸呑みにされたり、他のモンスターの餌食にされてしまうだろう。
鋭い鎌を持ったブラッディマンティスという蟷螂。鎌には毒があったようで、当たれば肉が削げると共に、腐り落ちるのではないだろうか。
一番厄介だと思ったのはフローラルモス。一見ただの大きな虹色の蛾。という感じだが、その鱗粉にはやはり毒。呼び戻しの風をキャンセルせざるを得ない相手だった。ほんの少し吸えば、身体中に不調を起こした。【毒耐性】の固有能力だけでは防ぎきれない毒を保有した相手。なるほど、確かに癖のあるモンスターばかりだ。ランクBのダンジョンに偽り無しといったところだ。
当然、奴らの血や体液をぺろりした。
その結果が、
スケルトンウォーリアから【外装強化】。
メイジスケルトンから【攻撃魔法耐性】。
フラッシュボアから【縦横駆け】。
グリーンワームから【糸耐性】。
ブラッディマンティスから【猛毒耐性】と【切断耐性】。
フローラルモスから【粉塵耐性】と【フェロモン】。
判明した事が二つ。
一つはランクB以上のモンスターが保有する固有能力。前に戦ったグリーンワーム亜種も強力ではあったがランクBだったようで、B以上のモンスターは固有能力を二つ持っているという事。今回のブラッディマンティスとフローラルモスから得られた固有能力で気付く事が出来た。
そしてもう一つは、出現する全てのモンスターの能力さえ得られれば、そのダンジョンの攻略が非常に楽になるという事。得た能力を発動してさえいれば、ダンジョンと同等のランクであれば死ぬことはそうそうないだろう。
次は宝箱。
結果から言えば、得られた宝は七個。
十個の宝箱は出現させた。しかし、空っぽが三つだった。
マッキリーのダンジョンから考えると非常に外れる確率が高い気がする。まぁ、これを求めるにはまだ侵入回数を重ねないとわからないけどな。
得た七個の宝は、
【マナポーション改】が二つ。
【ポーション改】が一つ。
【鍛治師の槌】が一つ
【オリハルコンの欠片】が二つ。
【フレイムダガー】が一つ。
面白そうな物が一つ。【鍛治師の槌】は【技】の【鍛冶】を覚えるのに必要なマジックアイテムだ。それを持ち、自分の血を舐める事により、それはすぐに習得出来た。これまで試す機会がなかったが、やはり自分の血を舐めたとしても覚えられるんだな。
【オリハルコンの欠片】は、おそらくその鍛冶に使うのだろう。前にミスリル原石も手に入れたし、鍛冶技術を向上させ、強い武具を作って売るのもアリかもしれない。
武器の【フレイムダガー】はおそらくこのダンジョンのレア武器だろう。攻撃した際に、火の属性攻撃が付与される。試してみたところ、斬り口から敵を燃やす事の出来る中々有用な武器だった。これがあれば、ナタリーですらランクD前後のモンスターを倒す事が出来るだろう。
試行回数を重ね、ここのダンジョンは、その階層毎にランクBのモンスターを二十匹倒せば宝箱が出現すると判明した。因みにランクCモンスターは二匹でランクBモンスター一匹扱いだ。
マッキリーの町のダンジョンに幾度も潜り、算出した結果とも言えるな。あそこはランクDで、ランクDモンスターを計十五匹倒せば宝箱が出現する。
この情報だけで一儲け出来そうだが、これは余り外部に漏らしたくない。
何故なら、漏らせば漏らすほど、ダンジョン産のマジックアイテムが市場で溢れてしまうからだ。おそらく他にも気付いてる冒険者はいるだろうが、周りが知らないのはそういうのも恐れてなのかもしれない。
その後、着実に進み、十九階層まで来た時、素晴らしいマジックアイテムを手に入れる事が出来た。
「やった、【錬金術師の首飾り】だ!」
【鑑定】で調べたマジックアイテム名。これで【技】の【錬金術】を習得。いよいよ最終二十階層へと降りる。これまで新モンスターはいなかったが、おそらくここで出現するはずだ。
さて、一体どんなモンスターが出る事やら。




