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半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第一部

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その67 ミケラルド式公爵家攻略大作戦

2019/6/5 本日三話目の更新です。ご注意下さい。

 さて、リーガルには着いたが、どうしたものか。

 まぁ、前回と変わらず【探知】を使いながら【看破】かな。

 これで首都リーガルを歩く悪人に反応が出る。

 俺の目には悪人だけ赤のオーラが認識される。これが赤黒くなり、黒に近かった時、それは相当の極悪人という事だ。まぁ、思想だけで何も行動を起こしてない人間もたまにいるから、精査が必要なのも事実だ。

 簡単に言うと、赤く見えたら犯罪者予備軍というところか。


「ふぅ……どれも薄いな。なら公爵家に直接乗り込んでみるか」


 裏路地で一休みしつつ、遠くに見える公爵家を見る。

 しかし、行ってみるも屋敷の中は少数の使用人だけで、この事件に関与する者が誰もいなかった。……はて? あ、そうか。ここは別荘みたいなものだった。

 本来であれば、侯爵や公爵ともなれば、首都以外の土地を持ってるはずだ。なにせ、首都は王家が治めているのだから。


「アルフレド様の公爵家ぇ? それならリーガルの北にあるよ」


 道行く人に尋ねると、それはすぐに判明した。

 リーガルから更に北に向かうと、中々趣味の悪い屋敷が見えてきた。

 なんというか……全体的に暗い。煉瓦を黒く塗り上げているのかと思うほど、全体的に暗く、庭に見える彫像なんかも、悪魔的というか……なにここ、魔王城?

 まぁ、魔王城というよりかは小悪党の巣窟って感じがする。

 見たところ、屋敷全体から赤い蒸気のようなものが見える。

 警戒度は高そうだが、ミケラルド式ダンジョン攻略法の応用が使えそうだな。

 ダンジョン攻略する際、潜った瞬間に【探知】と【呼び戻しの風】を発動する。探知でダンジョン内にいるモンスターの数を確認し、【呼び戻しの風】と【嗅覚】を併用する事で、その種類と行動を特定する。主に進行方向の特定には、これが必須である。これ(プラス)【隠形】、【ヘルメスの靴】、【壁走り】、【危険察知】、【擬態】、【罠察知】を発動しておけば、まず敵に気付かれる事はない。

 しかし、今回の相手は人間。それに公爵家だ。それなりの戦力がいるはず。

 一応、【解放】、【超感覚】、【超聴覚】、【身体能力強化】、【身体能力超強化】、【魔力(まりき)還元】を発動しておこう。これが最新更新された【いつものセット】である。

 屋敷に入ってまず最初に驚いたのが、善人と悪人の比率である。

 公爵家には、当然、善人の出入りもあるだろう。

 己の職務のため、ただただ公爵家に忠実な家来もいるだろう。

 しかし、ここは違った。ほぼ全員悪人。使用人の数名を除き、悪という色に染まっていたのだ。

 類は友を呼ぶとはいうが、ここまでとは、ある意味アルフレドに悪の才能を感じてしまう。まぁ、悪人同士が群れているなら、こちらもこちらで手がある。

 チャックの盗賊団の時と同じような手になってしまうが、今度は少し違う。

 屋敷を警護する私兵を噛み、血を舐め、【血鎖の転換(ブラッドコントロール)】を発動する。チャックの盗賊団の時は、情報を仕入れていたが、ここではそれ以外にある行動をしてもらう。


「なるほど、屋敷内外の見張りや巡回の人数についてはわかった。アルフレドはいないんだな?」

「……はい。王城にいます」

「よし、お前は帰っていいぞ。身辺整理が終わったらシェンドの町のミケラルド商店に来い」

「……わかりました」


 そう、この屋敷から、そして公爵家からご退場頂く訳だ。

 一人の見張りが抜けた穴は大きい。これにより、屋敷の防衛に隙が出来、俺はその隙を衝くだけで、公爵家の屋敷から一人、また一人と悪人が去って行く。

 悪人の比率から、善人の使用人だけを避ける事は非常に簡単だった。


「お前が最後だな。アルフレドがリプトゥア国と内通していた証拠はあるか?」

「……わかりません」


 ふむ、他の奴らに聞いてもそれはわからなかった。

 つまり、アルフレドはそれだけ慎重になって動いているという事か。

 こりゃアルフレドの血を直接舐めて自白に追い込んだ方が早いかもしれないな。

 と思いながらアルフレドの部屋を覗いていたら、【呼び戻しの風】が効果を発揮した。


「……隠し扉か」


 不自然に空いたスペース。その壁に【呼び戻しの風】が吸い込まれる。

 近くの壁をくまなく触って調べてみると、壁の板が剥がせる場所があった。

 中には扉を開けるための長い鎖。

 まぁこんな世界だ。スイッチ一つで開く扉なんて中々ないだろうな。

 鎖を下に引っ張り、隠し扉が開く。

 ――中には、


「おし、リプトゥア国王との密書ゲット。なるほどな、アルフレドが王になった場合、リーガル国の土地の譲渡――おいおい、シェンドの町が入ってるじゃないか? それに、関税無しとは恐ろしい」


 これじゃあ、いくら王になったとしてもアルフレドの代で国が終わるぞ?

 出世欲に目が眩んだか、はたまた何か狙いがあるのか。

 密書を持ち、屋敷から離れる。

 公爵家の屋敷にいた悪人の数は五十二名。どれも冒険者ランクD~C程の実力があった。

 善政を行うならいいが、悪巧みでこういうところに税金を使わないで欲しい。

 リーガルに店舗を出したから、来年には俺もリーガル国に税金を払わなくてはな。


「ふわぁ~…………眠い!」


 思えば、今日はやる事が沢山あった。

 シェンドの町でディックと商談を終え、マッキリーの町の商人ギルドに行ってラファエロたちと会い、ミナジリの村に運んだ後にマッキリーの町に戻り、十四人の刺客の血を吸ってから首都リーガルに行き、公爵家を調べるも留守で、ようやく悪のたまり場に行ったら五十二人の血のテイスティングだ。

 え、何なの? 拷問?

 時間との勝負とはいえ、これを三十時間ほどでこなした俺を、どうか褒めて欲しい。

 というか、この依頼が終わったらランドルフにめっちゃ褒美もらおう。

 そうしないと割に合わない。

 そう思いながら、リーガルの宿に着く俺だった。

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