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半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第三部

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その641 トップ会談2

2021/9/9 本日二話目の投稿です。ご注意ください。

 スカートという衣服をご存知だろうか?

 それはとても神秘的で、魅惑の領域。それがスカートというものだ。

 さて、そんなスカートの中を『詳しく教えてくれ』、『見せてくれ』なんて言おう日には、相手は怒り、強いという表現すら生ぬるい視線を向けて来るに決まっている。

 それも、相手は他種族且つ、魔族である。

 自分なりに、俺が【聖域】についてローディたちに聞いたニュアンスをまとめてみたのだが、とてもしっくりくる。つまり俺は馬鹿であり、間抜けである事に他ならない。

 ロレッソが聞いたら頭を抱えてシェルフに対する賠償金の計算を始めるかもしれない。

 これからそのスカートの中を見せてもらうそれ相応の理由を提示しなければならない……と考えると、些か武器が少ないのでは、と考えてしまう。

 これは、シェルフ側がどう受け取るかにもよるだろうが、必要な事である。仕方ないと思って割り切るしかない。


「『それ相応の理由』とは?」


 ローディ族長の口調が心なしか荒く、強いような気がする。

 理由は嫌って程わかっている。だから俺はソレを提示するだけだ。


「魔王を倒すため」

「「っ!?」」


 当然、【聖域】は過程である。

 ならば結果から言った方が三人には効果的だろう。

 ローディ族長はディーン、アイリスを見た後、再び俺を見た。その目は、先程より少しだけ柔和になっているように感じた。

 そして、立ち上がったローディ族長は、すんと鼻息を吐いた後、こう言った。


「茶を用意させよう」


 一国の元首相手に茶を用意しない外交なんてあってはいけないのだが、事が事だけに、三人は早々に俺を追い出したかったと見える。しかし、理由を聞いたのであればその限りではない。

 世界の窮地に【聖域】の調査が必要。

 種の未来を考える者たちにとって、これは聞くべき価値のある話だと思われた。そういう事だ。

 ローディ族長の後を追い、ディーンとアイリスも一旦席を立つ。

 張り詰めた空気がどこへやら。……これを理解したのか、ネムがこちらの世界に戻ってきた。


「ハッ!」

「おかえり」

「ど、どうなったんですっ?」


 ネムが小声で俺に聞く。


「ようやく交渉のテーブルについた」

「さっきまでの場は?」

「ちょっとした戦争だったかもね」

「そんなところに私を連れて来たんですかっ」

「大丈夫、死にはしないよ」

「寿命が縮んじゃうんですけどぉっ」

「美味しい店を紹介するから」

「そんなんで騙される私じゃないです。で、どこですか、そのお店っ?」

「これが終わったらね」

「さっさと終わらせましょうっ」


 ふんすと鼻息荒いネムだが、さっさと終わるかどうかは俺にもわからない。出来れば、別室から戻ったローディ族長が笑顔で「いいよ♪」とか言ってくれるのを期待しているのだが、そんな事ある訳がない。

 今頃、ローディ族長たちは茶を用意させながら「どう思う?」とか二人に聞いてるんだろう。俺が族長だったらそうだし、それしかないんだよ。

 で、結局答えが出なくて渋い顔をしながら出て来るのが……あのローディ族長たちって訳だ。


「お待たせしましたな」


 手伝いの者に茶を運ばせ、消えていく。

 この場の話は、現状どこにも漏らせない。族長の家にいるこの手伝いの方も、さぞや信頼に厚いエルフなのだろう。

 ま、お茶が出てきたところで、俺たちがそれに手を付けられる雰囲気ではない。

 早々に両者の間にあるわだかまりを解消しなければならない。完全には無理だろうけどな。


「魔王討伐のため【聖域】の調査が必要。ミケラルド殿の言い分はわかりました。ただ、それだけで我らが【聖域】の調査を許すかと言ったらそうでない。それはミケラルド殿にもわかっていらっしゃる事だろう」

「勿論です。そう言うだけの根拠を示せ。これはそういう場だと理解しています」

「うむ」


 ローディ族長の返答の後、俺は(ふところ)から一枚の羊皮紙を取り出した。丸まったソレを開くと、そこには何も書いていない。

 首を傾げる三人を前に、俺は言った。


「これは、法王国のSS(ダブル)ダンジョンの報酬で得たマジックスクロールです」

「ほぉ? しかし、それが何を?」

「これは特殊なマジックロールで、これに魔力を込めると、紙に円が描かれます。そして、その円の周囲を光の点が動く……こうしてどのように傾けても、この光の点は同じ方向を差します。そしてそれを示す先が――」

「シェルフの【聖域】だと?」

「えぇ、近付かないよう、国境に入らないように大回りして確かめたんですが、間違いないかと」

「なるほど、過分に配慮はして頂けた……と」

「だからこその交渉の席です」


 ここに至るまで何かと気を遣ったが、それ以上に気を遣うのがここである。多くの根回し、トップ会談にまで持ち込む交渉。ミナジリ共和国としての誠意は、ローディ族長たちにも届いているはず。


「……【聖域】に一体何があるというのです?」


 だからこそ、ローディ族長からこの言葉を引き出せたのだ。


「法王国のランクSダンジョンの攻略報酬は、SS(ダブル)ダンジョン最下層にある門の中へ入るための鍵がありました」

「ふむ?」


 最初、ローディ族長は俺の言葉の意味を理解していなかった。しかし、次第にその表情が驚きに変わる。


「そして、SS(ダブル)ダンジョンの報酬が、このマジックコンパス。それが示すシェルフの【聖域】には――」

「――ま……まさかっ……?」

「シェルフの【聖域】には、【SSS(トリプル)相当のダンジョン】がある。私はそう睨んでいます」


 まったく、霊龍も厄介なところにダンジョンを造ってくれる。

次回:「その642 トップ会談3」

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