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半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第二部

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その564 久しぶりのダンジョン攻略4

「へぇ、こういうタイプは初めてだな」


 俺は、アイスエレメンタルボアだけでは物足りないと思い、銀世界で雪だるまを作りながら【氷雪歩行】の具合を確かめてつつ他のモンスターを探していた。

 途中いくつかのアイスエレメンタルボアの群れと遭遇するも、やはりそれ以外のモンスターは発見出来なかった。この三階層には一種のみなのかと思っていたのだが、実はそうではなかった。

 四階層へ繋がる階段付近。つまり宝箱が出現する地点に、守護者のように仁王立ちする巨人がいたのだ。


 フロストジャイアント

 ◆魔法◆

 ダークヒール

 ◆固有能力◆

 氷の瞳


 回復持ちか。【氷の瞳】って固有能力はどういう効果を持つのだろうか。

 正直喰らってみたいところだが、想像出来ない攻撃を喰らう程、俺も馬鹿じゃない。


「一瞬でケリをつけよう……! ふっ!」


 瞬時に掛け、フロストジャイアントの背に回る。がら空きの背中に強烈な蹴りを放つも……!?


「へぇ、氷の鎧か」


 背中から浮き出るように現れた氷の膜。これにより俺の蹴りから瀕死を(まぬか)れたフロストジャイアント。なるほど、結構硬いな。

 まぁ、でも【解放】を使えば一瞬なんだけどな。

 蹴り足を引っ掛け、背中から肩へ駆けあがってからのサッカーボールキック。

 フロストジャイアントの首はダンジョンの天井にめり込み、落ちて来る事はなかったそうな。


「よし、【氷の瞳】げっと」


 ちょうど近くを走っていたアイスエレメンタルボアを発見したので、早速使ってみた。


「おぉ、凄いな。威圧とはちょっと違うタイプの麻痺攻撃に近い」


 確かに、フロストジャイアントの能力を手に入れればアイスエレメンタルボアを倒しやすいし、逆も然りだ。アイスエレメンタルボアの氷雪歩行は、フロストジャイアントが身体を氷で固めた時、その身体の上を駆ける上で非常に有用だろう。

 さて、宝箱の中身は――、


「【エリクサー】か。という事は、四階層は【イグドラシルの葉】かな?」


 もしかしなくとも五階層が最終階なのかもしれないな、このダンジョン。


 ◇◆◇ ◆◇◆


 四階層は以前も見かけた闘技場タイプの階だった。


「うーん、残念。確かに強いんだけど、そう来たか……」


 闘技場はとにかく広いものの、相手が相手なだけに狭く感じてしまう。

 相手はランクSダンジョンの最終階層――十一階層で待つ【ヒドラ】だった。

 単体でランクS最強のモンスター。それが十匹も集まれば、そりゃSS(ダブル)以上ですよ。

 ヒドラ――ヒュドラーとも呼ばれるこの個体は、九つの首を持った大蛇。神話お馴染みの怪物である。再生能力が高く、俺に【(きわみ)再生】をくれた優しいヤツだ。

 しかし、優しさにも種類がある。

 裏切る優しさもあれば、遠ざかる優しさもある。

 そして、()えて攻撃を選択する優しさもあるはずだ。

 このヒドラは正にそういうタイプで、「このダンジョンの平穏のためには、異物という名のミケラルドを排除するのは優しさであり効率的だよね」といった感性を持っているはずだ。

 ほら、九十の首がこちらを向いた。


「うぉっ!?」


 初手。九十のブレス攻撃が闘技場を燃やし、閃光を見せた。

【炎耐性】で防ぎつつ、覚えたばかりの【アイスウォール】を発動し、塀伝いに歩ける快適な道を作る。そして、これまた覚えたばかりの【氷の瞳】を使い、九十の首を硬直させるのだ。

 ヒドラの動きが止まればこちらのものである。後は横一線に首を薙ぎ払うだけである。

 ヒドラの倒し方は色々あるが、一番効率が良いのは九つの首を一気に刈る事である。勿論、斬った首を焼いて再生不能にする方法もあるが、それでは効率が悪い。

 中央の首が不死であるという伝説もあるが、何のことはない。他の首が再生中は中央の首に魔力が集中し、体表の硬度が上がっているのでそう見えるだけである。つまり、一気に首を刈れば、そんな手間も必要ないのだ。

 とはいえ、それが出来る存在も限られている。


「やっぱり【イグドラシルの葉】か。ヒドラは毒を持ってるし、その対処用なのかもな」


 四階層を攻略し、いよいよ最下層かと思っていたら――、


「やっぱり最下層でした。だけど……」


 不穏な魔力が漂っている。

 奥に見える扉は、おそらくランクSで手に入れた鍵を使うであろう巨大な扉が見える。しかし、それを守護するであろうSS(ダブル)モンスターを発見する事は出来ない。

 リーガル国のリーガルダンジョンのように、ある一定の距離を進めば出現する仕様なのかもしれない。

 そう思い、俺は慎重に歩を進めた。

 しかし、行けども行けどもモンスターは現れなかったのだ。


「もしかして……扉の奥にいるのか?」


 俺は鍵を取り出し、扉の鍵穴にそれを入れる。

 カチャリと開いた扉は、ゴゴゴと大きな音を発し、手前に向かってゆっくりと開いた。

 なるほど、手前に開かせ扉を開けた者を()えて後退させるのには、霊龍(れいりゅう)なりの気遣いがあるのだろう。

 ゴールではなく最下層のスタートだと示すために。

 そして、四階層にヒドラがいたのも、ある意味では親切設計なのだろう。

 奴との戦闘法を思い出すため。そうしなければ冒険者は生き残れないと判断した。そういう事なのだろう。

 まるで目の前にいるヒドラこそが真のヒドラと言わんばかりである。

 首の数が九つ……どころではない。ヒドラの十倍はでかい身体から生える首は百に届くだろう。


 アンセスターヒドラ

 ◆固有能力◆

 (きわみ)ブレス・(きわみ)再生・再生速度向上


「アンセスター……ヒドラの真祖ってところか」


 固有能力の三つ持ちは初めて見たが、二つは持ってない能力だから是非とも入手したいところだ。

次回:「その565 久しぶりのダンジョン攻略5」


ダンジョン編は次回で終わり・x・

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