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半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第一部

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56/917

その55 龍族

「私と交友のある龍族は二つ。一つは地龍、もう一つは霊龍だ」


 霊龍? 地龍のイメージはつくが、霊龍は聞いた事のない存在だな。


「霊龍……炎龍、水龍、地龍、木龍、雷龍の上位に位置する巨大な存在と聞きます」


 クロードが恐れを顔に浮かべながら言った。

 なるほど、リィたんより上の存在か。だからこそ交友があるんだろうな。


「あぁ、だから霊龍だけは紹介出来ない。ミックの言った鱗や卵は存在しないからな」

「確かに、実体が無さそうな名前だしな。でも会うくらいはいいんじゃないの?」

「無理だ。流石に霊龍相手では私がミックを守り切れない」


 リィたんがそこまで言う程の相手か。リィたんなら国を、霊龍なら大陸を滅ぼせるって事かな。それだけの実力者なら仕方ない。


「という事は、紹介出来るとしたら……」

「あぁ、地龍だけだ」


 でも、普通の人間であれば、コンタクトすらとれないはずだ。龍族の知り合いが増えるのは非常にありがたい。


「むぅ……確かに罰ゲームだ。これは肝が冷える」

「ははは、悪いなリィたん」

「ミックってやっぱり変だぞ! というかおかしいぞ!」


 どちらも同じ意味ではなかろうか。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 そんな夜を過ごした俺は、翌日、ナタリーに手を引かれながら訪れた開拓地を見て驚いた。

 整然とした水路、耕された農地、簡素ながらに組み立てられた木製の家屋。俺が【土塊操作】で作った家を中心に、集落が形成されつつあった。


「……すげぇ」

「どう! 驚いた!?」

「あぁ、すげぇよナタリー」

「へへーん! そうでしょそうでしょ!」


 胸を張り、鼻高々なナタリー。これをよく一週間程で作ったよな。

 勿論、ジェイル親分率いる元盗賊団の面々が活躍しているのもあるだろう。

 それに加え、クロードとエメラも手伝っていたのであれば、この成果は納得だ。

 どこに視界を向けても、苦労の跡が見てとれる。そう思いながら見渡していると、ナタリーの後ろに一人の男がやってきた。

 こいつは確か、俺が最初に血を舐めた男だ。


(あね)さん、おはようございやす」

「おはよう、レイド!」

(あね)さん!?」


 俺がナタリーの呼称について驚いていると、ナタリーは再び胸を張る。


「ふふーん! そうだよ! 私、現場監督なのっ!」


 こんな十代前半の現場監督がいてたまるか。

 そう思うも、親分であるジェイルの指示なのか、レイドと呼ばれた男はナタリーの指示にも従順だ。


「ミケラルド様」

「ん? あぁ、シュバイツか」

「この度は、このような土地を授けてくださり、本当にありがとうございます」

「といっても無許可だけどね」

「いえ、ここならば要所となり、たとえリーガル国が攻めてきても十分に戦えます」


 シュバイツは、おそらく俺の戦力を考慮して言ったんだろうな。だが、俺以上に強い男と女がいるのだ。

 そう言うって事は、それ以上に渡り合えるって事だ。

 戦力という面では、最初から見劣りしないし、存分に発揮するつもりでいる。勿論、それは攻撃を受けた場合だけどな。


「して、私はどうすれば?」

「ジェイルから聞いてないのか?」

「ジェイル様にもお伺いはしました。けれどジェイル様が『ミックに聞け』と」


 昨日のジェイルは寝床の案内だけに留まったか。


「今後部隊を作るかもしれない。ランドと共に空き時間を作ってよく鍛錬しておくように。優秀なマジックアイテムが手に入ったら、都度ナタリーやジェイルに渡しておく」

「かしこまりました」

「おう、頑張ってな!」

「過分なお言葉に存じます」


 気味が悪いくらい忠実だ。

 だが、裏切るような人物が裏切らなくなるというのは非常に重要だ。

 だからこそ魔王は、魔族のトップに立つ事が出来たのだろう。

 さて、リィたんには地龍とのアポイントをとってきてもらってるし、今日は何だかんだで一人なんだよな。

 勿論、やらない事がないという訳ではない。


 魔力の扱いも長けてきた。

 そして特殊能力や固有能力も増え、順調に強くなっている俺は、これまで以上に早くシェンドの町に着く事が出来た。


「ミケラルドさん!」


 冒険者ギルドに着くなり、ネムが立ち上がって俺を迎えた。

 その時の他の冒険者の視線は、やはり強く鋭いが、俺が視線を向けると、それは一気に緩和される。ランクAの冒険者っていうのは、こういうところでも便利なのだ。


「指名依頼がたっくさんきてますよー!」


 当然、こういう事も起こるものだ。

 ギルドとしては、リィたんよりも俺の方が使いやすいだろうからな。


「あぁ、ありがとう。それじゃあ見せてくれる?」


 多かったのはやはりモンスター討伐。

 どれもランクCやBの依頼ばかりだ。

 そうそうランクAの依頼なんてあるものじゃない。

 だからこそ、ランクBの依頼には目を通しておきたい。


「ん? これは?」

「あぁ、それやっぱり気になっちゃいます?」

「マッキリーまでの護衛がランクB? 報酬も金貨五十枚ってのは凄いな」

「ちっちっち。こっちを見ればそれも納得するんじゃないです?」


 ネムが見せたのは、別の依頼書。


「あぁ、そういう事か。マッキリーまでの街道にランクBモンスターが出るのね」

「この護衛依頼を出された方はリーガルでも大きな商会を持ってる方なんですよ。なので、お金払いがいいんですよー!」


 と、依頼主の情報まで出すネムの感性も大概だ。

 しかし、こういうものなのかもしれないな。優秀で信頼出来る冒険者にはギルド員も多く情報を渡す。

 でなければ、俺はともかく他の冒険者とかは、楽な依頼ばかりを受けてしまう。

 こう考えるべきだろう。「ネムがこういった情報を渡す時は、ギルド側が出来るだけ受けて欲しいと思っている依頼」だと。


「それじゃあ、街道の討伐依頼と、護衛依頼を受けちゃうよ。報告はマッキリーでもいいでしょ?」

「はい! そのように手配しておきます!」

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