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半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第二部

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466/917

◆その464 茶番1

 オリハルコンズのメンバーがオベイル、炎龍(ロイス)を取り囲む中、ミケラルドは一歩前に出た。これによりまず水龍リバイアタンがその存在に気付く。


「……ミック?」


 事前の打ち合わせはない。

 それは、ミケラルドが皆を信頼した証である。しかし、それ以上にミケラルドはこの茶番を楽しんでいた。


「我こそは【(とき)の番人】、デューク・スイカ・ウォーカー!」


 その宣言により皆が気付く。


「「ミケラルドさん?」」

「ミック?」


 皆が、ナタリーがそう呟く事で、オベイルとイヅナがデュークの中身を知る。


「あれがミックか。つーかアイツ今――」

「――刻の番人を名乗っておったな」


 そんな二人は、数拍の後ミケラルドの狙いに気付く。


邪魔な(、、、)炎龍ロードディザスターの命をもらいに参った! 命が惜しい者は手を出すなっ!」


 ミケラルドがそう言うと、ナタリーがメアリィに聞く。


「つまり、闇ギルドはロイスが邪魔って事だよね?」

「うん、成長したらZ区分(ゼットくぶん)に入るだろうからね」

「これって付き合わなくちゃいけないやつ?」

「うん、ミケ――あの人の任務を失敗させなくちゃいけないから」


 ミケラルドの意図に気付いた二人に続き、キッカが驚きを見せる。


「うっそ、あの人って闇ギルドにも入ってるの!?」

「想像も及ばない世界の住人だな……」


 呆れるラッツと、


「ノリは完全に冒険者だけどな」


 やはり呆れるハン。

 勇者エメリーが隣のクレアに言う。


「勝てますかね?」

「あちらが失敗しなくてはいけないので、ある程度は手を抜いて頂けるかと」

「まったく、本当によくわからない人ですね……」


 剣聖レミリアが呆れ、聖女アリスが大きく溜め息を吐く。


「いつの間にシギュン(あの人)と同じ立場になったの……」


 嘆きすら見せるアリス。

 炎龍(ロイス)は首を傾げミケラルドを見る。


「あれがミケラルドなのだ?」

「ロイス、ありゃデュークだ。あいつもそう名乗ってただろ」


 オベイルはロイスの口を塞ぐため、情報の上書きを行った。


「そうなのか?」

「そういう事なんだ」

「ふーん、人間はよくわからないのだ」

「今からアイツと遊ぶが……お前もヤルか?」

「火球なら得意なのだ!」

「んじゃ、お前からいってこい」

「なのだ!」


 直後、ロイスの身体と同じ大きさの火球が出現した。

 ロイスがそれを投げる事で、ミケラルドは動きを見せた。


「流石は音に聞く炎龍ロードディザスター! 凄まじい魔力だ! とおっ!」


 ミックが跳び上がり火球を空高く蹴り上げた。


「ほっほっほ、では次は私かな」


 剣神イヅナが駆ける。

 神速の抜刀を受けたミケラルドが後方へ飛ばされる。


「ぬおっ! 流石は音に聞く剣神イヅナ! 貴殿の実力は正に表の光と言えよう!」


 直後、剣鬼オベイルがミケラルドの背後に現れる。


「俺も音に聞くってか!?」

「ぬっ!?」


 振り下ろされた剣を手甲(てこう)で受けたミケラルド。

 足下の大地が砕け、()ぜる。


「ふっ! 剣鬼オベイル! …………強いな!」

「もっと褒め言葉のバリエーションを用意しとけや! 鬼剣、爆裂(ばくれつ)っ!」


 受け止めていた剣がミケラルドの身体を押し切り、その身体を大地に埋め、さらにそこから(すく)い上げるように剣が弧を描いた。

 剣はミケラルドを押し潰し地面へ、そこから弧を描き地上を目指す。

 空に打ち上げられたミケラルド。そこに向かって三つの光魔法が届く。


「「トリプレットライトボールッ!」」


 ナタリー、メアリィ、キッカによる巨大なライトボール。


「ぬんっ!」


 ミケラルドはそれを両手で叩き落とす。

 しかし、ライトボールの背後からは、クレアが放った三本の風の矢が迫っていた。


「ウィンドアロー!」

「んがっ!」

「嘘っ!?」


 ミケラルドは三本の矢をがぶりと噛んで受け止め、「ぺっ」と吐き出した。


「お二人共、いきます!」


 聖女アリスがラッツとハンに【聖加護】を施す。


「甘いぞ聖女アリス!」


 ミケラルドは着地と同時に大地を砕いた。

 その衝撃は大地を走り、三人を吹き飛ばす。


「きゃ!?」

「「ぐあっ!?」」


 三人がよろめくと同時、ミケラルドがニヤリと笑うも、その背後には二人の乙女が回り込んでいた。


「「はぁあああああああっ!!」」


 勇者エメリーと剣聖レミリアの渾身の一撃。


「はっ!」


 ミケラルドはすぐに反転し、二つの剣を掴む。

 皮膚にすら届かない強力な握力。力むエメリーとレミリアだが、剣はピクリとも動かない。


「聖加護はこの二人に掛けるべきだったな」


 そう言うも、エメリーとレミリアは何の反応も示さなかった。

 そして淡々と言うのだ。


「いいえ、私たちより適任がいます」

「ラッツさんたち、いえ、私たちすら囮ですから」


 ニヤリと笑った時にはもう遅かった。

 ミケラルドの頭上には強力な聖加護が施されたハルバードが見えたのだ。


「んな!?」


 ハルバードの持ち主は当然リィたん。

 腕を交叉させそれを受けるも、ミケラルドは衝撃を受け流せずに吹き飛ばされてしまう。

 地面が抉れる程の威力は、岩も木々も吹き飛ばしていく。

 土煙の中から咳き込んで現れるミケラルド。


「リィたんに聖女の【聖加護】は(ずる)いだろ。咄嗟の事なのにこのチームワークは何なの? 無敵なの?」


 ブツブツと愚痴を言うミケラルドの前にオベイルとイヅナが近付く。


「そりゃ日頃からとんでもない元首を見てるからな」

「皆、冒険者として生きている。その元首を自分ならどう倒してやろうか、と日頃より考えるものだ」


 ミケラルドがゴクリと喉を鳴らす。


「つまり、対某元首相手なら皆お手のものだと?」

「わかってるじゃねぇか」

「見せてもらおう、剣神十人分の働きをな」


 オベイルとイヅナがニコリと笑い、剣を振る。

 林が坊主になる程の斬撃を前に、ミケラルドが笑う。


「それじゃ、もう少しだけやりましょうか」

次回:「その465 茶番2」

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