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半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第二部

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451/917

その449 保護者募集中

「とりゃああああ!」

「甘い、それでは簡単に受けられてしまうぞ!」

「ならばこうなのだ!」

「鋭いだけだ! 緩急をつけろ!」


 と、【炎龍ロードディザスター】と【フェンリル】が火球キャッチボールをやっている中、俺は各方面に手を回していた。


『どうですかね、アーダインさん? このままじゃ死んじゃうんですよ』

『無理なものは無理だ。俺の立場を考えろ。因みにクルスにゃ言うんじゃないぞ』

『え、何でです?』

『クルスの立場が危うくなる』

『……確かに』

『まぁ責任とってミナジリ共和国に置くんだな』

『はぁ……』


 ぬぅ、冒険者ギルドマスターはダメだったか。

 しかし、他に頼めそうな相手がいないぞ?

 SSS(トリプル)に近い実力者っていえば……やっぱり剣神イヅナだろうか。


『どうもイヅナさん、お久しぶりです』

『ぬ? ボンか、ちょうどいい。鬼っ子がボンを探しているぞ』

『え、オベイルさんが? もしかしてご一緒なんですか?』

『聖騎士学校の特別講師があるからな。我らは二日連続で入ってるはずだ』

『あぁ、そういえば。じゃあ繋げちゃいますね』

『うむ』


 イヅナの許可を得たところで、俺は剣鬼オベイルにも【テレパシー】を発動した。


『どうもオベイルさん』

『お、ミックじゃねぇか! ハッハッハ、【テレパシー】とはな。いよいよお前も隠す気がなくなったみてぇだな!』


 そういわれてみれば、この二人に【テレパシー】を使うのは初めてか。

 俺が焦っているのを込みにしても、二人には開示してもいいと俺が無意識に判断したんだろうな。


『鬼っ子、ボンに話があったのだろう』

『お、そうだった! あれから更に力を付けたんだ! お前今どこにいるんだ? いっちょ勝負しようぜ!』

『ほっほっほ、いつも通りだったな』

『ですねぇ。ならお二人は今お暇なんですか?』

『これといって用事なないの』

『お、珍しく乗り気じゃねぇか!』

『エメラ商会からこっちに転移出来るようにしておくんで、時間みつけてどうぞ』

『こっちってどこだよ?』

『はははは、来ればわかりますよ』


 ◇◆◇ 三十分後 ◆◇◆


「おい、ミック……」

「ほっほっほっほ! 流石はボン、やる事が違うな!」


 呆れているのはオベイルで、少年のように目を輝かせているのがイヅナである。

 転移先は当然ココ、絶対災害地域(ディザスターエリア)である。

 人間の二人には居心地の悪い環境……というより生息出来ない場所である。

 しかし、ここに簡易的な家を建て、【冷蔵庫】用のマジックスクロールを貼り付ければ、外気とあわさってとても過ごしやすい環境となる。

 オベイルが首を傾げる二種のZ区分(ゼットくぶん)を見て言う。


「炎龍ロードディザスターとフェンリルだと?」

「なるほど、ここはディザスターエリアか」

「何だと!?」


 オベイルがドアを開ける。


「アッツッ!? 熱いわボケッ!」


 ドアをバタンと閉めるオベイル。

 以上、オベイルさんのオベイルさんによる一人コントでした。


「外は暑いですよ」

「先に言えよな! つーか、よく来られたな、お前」

「まぁ、吸血鬼なもんで」

「……吸血鬼が理由にならない事だからな、それ。ったく、それで、俺たちに何の用だよ?」

「おや、用があったのはオベイルさんじゃ?」

「何でお前は気易く殴れる実力じゃないんだ?」

「もしかして突っ込もうとしてくれました?」

「あぁ、グーでな」


 わなわな震えるオベイルをたしなめた後、俺はイヅナとオベイルの事の経緯を説明した。

 すると、二人は難しい顔をしながら互いに見合ったのだ。


「つまり、炎龍ロードディザスターの保護者を探してると」

「オベイルさん、十ポイント」

「もうポイントはいらねぇんだよ」

「オベイルさん、マイナス十ポイント……」

「はぁ……(じじい)、どうする?」

「どうするも何も、手に余ると思うがな」


 なるほど、イヅナにも厳しいか。


「確かに、今は俺たちより弱くても、その内俺たちより強くなっちまう。困ったもんだな。何でミナジリ共和国には置けないんだ?」

「勿論、連れて来る事は可能ですが、人間にも魔族にも常識外の存在なので、その常識を覚えるまでは厳しいかなーと」

「なるほどな、つまりは力のコントロールと人間の常識を覚えるまでは難しいって事か」

「かと言って放置すると力が悪用されたり、死んでしまいますからね」

「フェンリルはいいのにか?」

「大人と子供の差は大きいので」

「なるほど、責任能力ってやつか」


 オベイルが納得し、イヅナが補足する。


「訳がわからぬまま連れて行かれるのと、そうでないものの差。覚悟と認識の差異を尊重していると。なるほど、ボンらしい」

「ミックにしちゃ無計画だったがな」

「言い訳もないですね」


 せめて炎龍母が死んでいる事を知っていたら。

 いや、寧ろこの炎龍が心配で逆に来ていたかもしれないな。


「まずは野で慣らすところからだな。餌は何がいいんだ? 人間とか言わねぇだろうな?」

「……意外に乗り気ですね?」

「あん? ガキが困っていいのかもわからないような(つら)してんだ、それを何とかするのが大人の仕事だろうが」


 俺は目を見開いてイヅナを見る。見れば、イヅナも同じ目をしていた。

 そして二人してオベイルに視線を戻したのだ。


「そんで、強くなったら相手してもらう! 完璧じゃねぇか!」


 いつものオベイルに優しさを見つけた瞬間、優しさの中にいつものオベイルを見つけた瞬間でした。

次回:「その450 ミナジリ共和国の番犬」

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