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半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第二部

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437/917

その435 ライゼン

2020/11/29 本日二話目の投稿です。ご注意ください。

 これはどこかの大貴族の屋敷――だった場所だろうか。

 広大な敷地からして、かつてここにいた貴族がどれだけ権力(ちから)を持っていたのかがわかる。

 まったく、今日はこれからギャレット商会の事を調べようと思ってたのに、思ったよりも早くライゼン学校長が尻尾を出すもんだから、急遽予定を変更せざるを得なくなった。まぁ、餌をまいたのは俺だけどな。

 他の監視者が聖騎士学校の授業全てを監視する中、ライゼン学校長だけは俺の授業だけを監視していた。狙いがミナジリ共和国にあるのであれば、ジェイルにも目が向くはずだが、ライゼン学校長は俺だけを視ていた。

 その熱視線を向けてくるのが美少女なら嬉しいのだが、相手はゴリッゴリの爺さんだ。本当に困ったものだ。

 しかし、あの小屋……一体何がある?


「【探知】に反応無し。地下に潜ったな? なら【魔力探知】か」


 直後、俺は眉を(ひそ)める事となる。

 ……何だこの反応の数は? 百……いや二百はいるんじゃないか?

 となると正攻法で侵入するのは難しいか。


「ん?」


 俺は遠方に、小屋付近一帯が視界に入る高台を見つけた。

 そこに【魔力探知】による反応がいくつか確認出来たのだ。


「ふむ……まぁいつも通りだな」


 まず、小屋周辺をうろつき、遠方の監視者たちを挑発する。

 当然奴らはこれを警戒する。

 やって来た男は、下っ端感溢れるむさくるしい男だった。

 だが、気になる。下っ端にしては保有している魔力が中々に高い。


「おい貴様、ここで何をやっている?」


 当然、俺は【チェンジ】で顔をおっさんに変えている。

 テーマはそう、ルークが老けたらどうなるか。である。


「内見です。こちらの土地の保有者の許可を得て見に来たんですよ」

「そんな話は聞いてないな?」

「はぁ? 話は通してるので上の方に聞いてください」

「聞いてないって言ってるんだ」

「そもそも貴方どなたです?」

「くっ!」


 名前を言えない時点で怪しい。まぁ、人の事言えないけどな。

 俺は男を無視しながら小屋に近付く。


「へぇ、こんなところに小屋が――」

「――そこに近付くんじゃねぇ!!」


 と、勢いよく襲ってきたので、


「ウワー」


 監視ポイントから死角になる方へ逃げ、その死角までやってきた監視者その1を……こう、キュっと。

 そして俺はその男の血をペロっとし、【チェンジ】を発動。

 これで監視者その1に化けた俺は、監視ポイントへと移動。

 皆を油断させ、一人ずつペロペロしていくと、とある情報を入手した。


「ヒミツキチ! え、本当っ?」

「……はい」


 監視者のリーダーから得た情報によると、ここはライゼン学校長による秘密基地なのだと言う。

 あの年で秘密基地とは好感の持てる爺さんだ。

 まぁ、内容は()(かく)な。


「つまりお前たちは聖騎士になれなかった者の中で優秀だったと」

「はい。聖騎士学校は卒業時点で聖騎士、及び騎士の称号を得ます。しかし、その座を不服として聖騎士学校から去る者も少なくありません」

「まぁ毎年出るだろうな」

「えぇ、貴族とはいえ、そういったはみ出し者たちは家の恥さらし。そこに現れたのが、ライゼン校長です」


 なるほどな。つまりここはライゼン学校長の私兵たちがいる基地という事か。

 確かに監視者にしては実力者揃いだ。

 全員ランクA乃至(ないし)Sに近い実力を有している。

 ……失われし位階(ロストナンバー)ではないみたいだし、こいつらは一体?


「お前の身分でライゼン学校長の下へ行けるか?」

「可能です」

「ならお前たちは引き続き仕事をしていろ。俺は小屋へ入る」


 監視者リーダーの顔へと【チェンジ】した俺は、小屋の中へと入った。

 石造りの小屋の内部は、簡素に造られており、床はなく地面が続いていた。

 まぁ、地下を造るならこれが正解か。

 掘り起こされた地面から梯子(はしご)が見えた。

 そこから降り、地下へと足を踏み入れると、そこには坑道のような道に出た。

 通路を木材で補強し、人一人がギリギリ通れる程度の道。

 しばらく進むと、広い空間に出た。

 そこでは多くの者が食事をとっていた。

 凄いな、ここだけで五十人はいる。

 相手の身内に化けているとはいえ、目立たないように気配をおさえ、更に奥へと向かう。

 横穴という名の部屋があり、そこには食糧庫だったり、備品室だったり木材に書き込まれていた。そんな中、足を止めざるを得ない部屋を見つけた。


「……資料室」


 そこだけは扉まで造られており、鍵までついていた。

 見張りこそいないものの、ここは常時解放という訳にはいかないのだろう。

 周囲を確認し、壁抜けにより中へ入る。

 多くの羊皮紙が見える中、ひと(きわ)目立つ資料を見つけた。


「……木簡(もっかん)?」


 短冊状の木を連ねた記録媒体である。

 まだまだ羊皮紙は高いから珍しくもないのだが、人間の胴回り程の木簡となると気にならざるを得ない。

 中を少し覗いてみると、


「っ、これは……」


 そこには多くの名前が書かれていた。

 この組織メンバーの名前だろうか。それとも――?

 全てを広げてみても結局は知らない名前ばかり。念のため記録し、【闇空間】に保存した。

 そして紙の情報を見てみる事に。

 そこで俺はライゼン学校長が何を調べているのかを知った。


「……何だこれ、シギュンの事ばかりじゃないか」

ようやく十日程休んでいた分が追いつきました。

明日からまた一話ずつ投稿致します。

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― 新着の感想 ―
[一言] シギュンの血を吸えば全部配下に 全部Aからsだと相当なパワーアップ?
[一言] なるほど、地下ファンクラブだったと。アイドルか。
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