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半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第二部

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430/917

その429 囚われのミケラルド

2020/11/25 本日二話目の投稿です。ご注意ください。

 あの後、目を丸くしたシギュンは、それはもう大笑いしていました。そう、泣く程に。

 やっちまったと思い、リィたんの部屋へ相談に行ったら、そこにはナタリーもいた訳で、事の経緯を話せば正座必至な訳で、俺の頭はナタリーに対する言い訳でいっぱいな訳でして。


「それで『やります』って言っちゃったのっ!?」

「はい」

「何で断らなかったの!?」

「だって、ご褒美くれるって言うから」

「だってもかってもあるもんですか! 相手はシギュンなんだよっ!?」

「だって」

「鼻の下伸びてる!」


 凄い、ナタリーは俺の良心なのかもしれない。


「ミック、表情が緩んでるぞ」


 リィたんのご指摘もご(もっと)もだ。


「ミケラルドさん、(よだれ)出てますよ」

「……何でアリスさんがここにいるんですかね?」

「リィたんさんにご招待頂きました。それより――」


 アリスとナタリーの口が揃う。


「「最低」」


 何だこの息ピッタリのコンビは。


「いつの間に仲良くなったんですか、二人は」

「まったく、女の子ってものをわかってないね、ミックは」

「どういう事でしょう、ナタリー様?」

「それはまた今度説明してあげる」

「かしこまりました」


 目の端には、リィたんに耳打ちするアリスが見える。


「ミケラルドさんって、本当にミナジリ共和国の元首なんですか?」

「聞こえてますけど?」


 俺がそう言うと、アリスが微笑む。

 まるで「聞こえるように言ってますから」と言いたげな笑顔である。

 そんな空気にくすりと笑ったリィたんが言う。


「それでミック、ファーラという女の素性はわかったのか?」

「あ、それは明日ドマークさんに聞いてこようかなと」

「ドマーク? 何故リーガル国の王商(おうしょう)が出てくる」

「商人は情報を扱うものだよ。それに、どこかで聞いた事があると思ってたんだけど、さっきようやく思い出したんだ。ファーラって女の身元保証人の名前」

「名前?」

「名前はギャレット。商会じゃなく個人で通してるけど、リーガル国にあるギャレット商会の事だと思うんだよね」

「聞かない名だな」

「そ、俺としては気になる事もあるから調べたいんだよね」

「わかった。では明日は私がルナたちを――」

「――あー、大丈夫だよ。二人も連れて行っちゃうから」

「ふむ、確かにリーガル国はルナたちの国だしな。わかった、何かあればいつでも頼れ」

「うん、いつもありがとう。それで、昨日の件(、、、、)なんだけど……だ――」

「――まぁ待て、間もなく来る」


 なるほど、ここに呼んだのか。

 昨日、リィたんに炎龍と木龍の居場所を聞いた時、リィたんはその居場所を知っていそうな者に心当たりがありそうだった。

 だから俺はここに来たのだが……ん? という事は聖騎士学校関係者って事か?

 俺が首を傾げていると、リィたんの部屋にノック音が響いた。


『リィたんさん、メアリィです』


 何と驚きエルフのお姫様メアリィちゃん。


「失礼します」


 部屋の扉を開けたのは、メアリィの護衛兼同級生のクレアだった。彼女も相変わらず大変そうだが、メアリィ程手間のかからない護衛対象もいないだろう。


「わ、とても賑やかそうですね」


 扉を閉めたメアリィが、俺たちを見てそう言った。

 そして、クレアは俺を見て……少々警戒していた。

 あぁ、そうだった。この二人は知らないんだったな。


「メアリィさん、クレアさん、私です」


 と、声だけ元に戻して言うと、


「「っ!」」


 二人が驚き自身の口を塞ぐ。

 するとリィたんが、二人に言った。


「音は遮断してある。話してもいいぞ」


 口元から手を放したメアリィは、俺を見て言った。


「只者ではない方だとは思ってましたが、まさかミケラルド様だったとは」


 次にクレアが、


「レミリア殿もエメリー殿も、ルークさんの事を見る目が違いましたからね」


 そんな指摘に俺が首を傾げる。


「そんなに目立ってました?」

「ゲラルド殿の攻撃を防ぎつつ、まだ余力がありましたからね」


 クレアにそう言われ、俺はリィたんに視線を向ける。


「ミック、シギュンに手を抜いてるとバレたのはそれが原因だ」

「え?」

「あのゲラルドとミックの戦い、冒険者のほとんどがミックの手抜きを気付いていた」

「へ?」


 あれ、俺の演技、そんなにヘタクソだったかな?


「ゲラルドは魔力を帯び戦っていたのにも拘わらず、ミックは魔力を一切纏っていなかった」

「あ」

「そうだ、ミックは自分の肉体能力だけでゲラルドの一撃を防いだのだ。魔力放出に長けた冒険者が気付かぬ訳あるまい」

「あっちゃ~……」

「ゲラルドも気付いていたぞ」


 まぁ、そうですよね。

 参ったな、肝心なところで失敗してしまってたのか。

 演技云々じゃなく、ほんの基礎的なところか。俺もまだまだだな。

 ゲラルドにトイレに呼ばれたら大人しく謝ろう。


「それで、何故私が呼ばれたのでしょう?」


 エルフの姫を呼びつけるなんてリィたんにしか出来ないよな。

 視線を向けると、リィたんが言った。


「木龍【グランドホルツ】の縄張りを知りたい」

「「っ!?」」


 メアリィとクレアは目を見開き驚いた。

 なるほど、エルフは森の民。木を隠すなら森の中……という訳ではないが、木龍がいるのは森の中って訳か。ならばエルフが知っている可能性は非常に高いという訳だ。

 はてさて、メアリィたちは本当に木龍の居場所を知っているのだろうか。

ギャレット商会の名前は「その32 はじめてのおかいもの」にチラっと出てきます。

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