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半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第二部

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401/917

その400 呼び出し

やったぜ! 400話!!!

「待て、何も言うな」


 まだ微動だにしていないというのに?

 そもそもディックのヤツ、俺を呼び出したというのに開口一番コレなのはいかがなものだろうか?

 ここはリーガル国の首都リーガルの冒険者ギルド。

 顔見知りはいるが、親しい間柄の友人はディックのみ。

 本日は何故冒険者ギルドに呼ばれたのか、俺は皆目見当もつかなかった。

 この半年間いくつかのSS(ダブル)の依頼は受けたものの、まだ俺をSSS(トリプル)に上げるには早いような気がする。


「よし、喋れ。慎重にな」


 まるでディックのペットにでもなったかのようだ。


「私が何をしたって言うんですかねぇ?」

「ナタリーちゃんから聞いてるぞ。今日はリィたんとの勝負の日だってな」

「あぁ、そういう? ん? それがディックさんと何の関係が?」

「いいか、勝敗の事はぜった――」

「――勝ちました」

「言うんじゃねぇよ!」


 胸倉まで掴まれてるのに、泣きそうなのはディックの方である。


「斬新な悲しみ方ですね? 最近の流行ですか?」

「最新のだ! 何で言うかな、そういう大事な事!」


 おかしい、俺が聞き慣れてたり見慣れている言葉は「何で言わないかな、そういう大事な事!」だと思うのだが、どうやらこの情報はディックにとって世界一いらない情報だったようだ。

 顔でわかる、怒りと悲しみで全体のパーツが何か中央に寄っちゃってる感じだ。


「参考までに、何で言っちゃいけなかったんですかね?」


 すると、ディックは溜め息を吐きながらソファに腰を下ろした。


「あのな、リィたんは水龍リバイアタンだぞ? それに勝つってお前……ふざけてんのか?」


 昨今では水龍に勝つ事がおふざけの領域のようだ。


「まぁ、リィたん自らが負けを認めてくれたので、本気……とまではいかなかったかもしれませんね」

「ミック、私語禁止!」


 相手の疑問にすら反応を許されないようだ。


「いいか? お前は俺の友人だ。魔族だろうがそれがかわる事はない」

「ありがとうございます」

「禁止!」


 礼すらもダメか。

 仕方ない、ここは黙っておくか。


「だがな、たとえ友人だろうと、ここは冒険者ギルドだ。どうも、その冒険者ギルドのギルドマスターのディックです」


 コクコク頷く俺。


「そのギルドマスターにお前は『水龍リバイアタンを超える力を身に付けました』って言ったんだぞ? この意味がわかるか?」

『あぁ、つまり、その報告を上にあげなくちゃいけなくなったって事ですね?』

「おい! 【テレパシー】はずるいだろうが!」

『はて?』

「……まぁつまり、そういう事だ。アーダインのおっさんに何言われるかわからねぇ。ミナジリ共和国にZ区分(ゼットくぶん)が二人……いや、三人か」

『まぁ、ジェイルさんもその域にはいるでしょうね。ピンキリはあるでしょうけど』

「で、お前はそこのピンになっちまった訳だ」

『そういう事になりますね』

「……もう喋っていいから肉声で話せ」

「どうも、ミケラルドです」

「はぁ、何でこんなヤツがZ区分(ゼットくぶん)なんだ……?」


 額を抱えるディック君の未来が、とても明るくなる事を祈っておこう。


「大丈夫です、まだSS(ダブル)ですから」

「……おそらく、この依頼が終わったらお前はSSS(トリプル)だよ」

「…………あの、もうすぐ聖騎士学校案件でクソ忙しくなるんですけど?」

「安心しろ、その話だ」


 俺の記憶が正しければ、どこかの総括ギルドマスターに過去同じような台詞を言われた事があるな。

 俺が渋面を向けていると、ディックが依頼票を渡してきた。


「これを読んだら、リーガル城へ行け」


 ……え、絶対見たくない。


 ◇◆◇ ◆◇◆


 ディックの押し出しという強引な決まり手により、俺はリーガル城までやって来ていた。どんなネマワシをしたのかはわからなかったが、俺はあっという間にブライアン王の自室まで連れられて来ていた。

 他国の元首を自室に招き入れる王族って……まぁ、信用はされてるって事か。され過ぎているって事もあるけどな。


「で、何でランドルフ殿が?」


 扉を開き出迎えたのは、リーガル国の公爵――ランドルフ・オード・サマリアだった。


「はっはっはっは! やっと来たかミック!」


 豪快な笑い声と豪快なハグ。ここで俺を「ミック」呼びするという事は、冒険者として迎え入れられたという事か。

 まぁ、冒険者ギルドから依頼票持って来たし、そういう事なんだろう。

 奥に見えるブライアン王もニヤニヤと笑っている。あの頬はそろそろつねってもいいのではないだろうか?


「依頼は見たか、ミック?」


 対面の椅子に座ると、ブライアン王が聞いた。


「ルナ王女とレティシア嬢の護衛……とありますね」


 報酬額が破格じゃなければ受けないところだ。

 いや、まぁそれは冗談だ。どちらも未来溢れる知り合い。受けるは受けるけどな。

 頷いたランドルフがブライアン王に目配せをした後、話し始めた。


「護衛というのは他でもない。二人の聖騎士学校入学についてだ」

「…………それは初耳ですね。え、レティシアも入学するんですか?」

「うむ」


 リプトゥア戦争時、リーガル国からの支援物資襲撃犯について調べていた存在がいた。それがブライアン王の娘――ルナ王女だ。中々猪突猛進な性格だったが、助け船を出した事で、ドマーク商会とブライアン王が仕組んだ事だと理解したようだった。おそらく彼女は行く事になるとは思っていた。

 しかしまさか公爵令嬢のレティシアまで行くとは思わなかった。


「……なるほど、法王国までお二人を護衛しろという事ですね?」


 と聞くも、ランドルフとブライアン王は目を丸くして見合った。

 …………ん? 何? 違うの?

次回:「その401 愛娘」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 400話おめでとうございます!アズリーの頃からファンで全て読んでます!これからも頑張ってください(^-^)/
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