表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

373/917

その372 六階層

2020/9/26 本日二話目の投稿です。ご注意ください。

 相手は三体、苦戦は必至だな。


「レミリア、そっちお願い!」

「任せろ! ハァッ!」


 エメリーの指示でレミリアがフードマントのアンデッド――【エルデッドウィザード】を牽制するも、奴はふわりと後退しながら跳び、同時にフレイムボールを放った。


「ファストエアロ!」


 そのフレイムボールをクレアの風魔法【ファストエアロ】で防ぐ。

 エメリーが虚を衝き、一体のエルデッドウィザードを斬るも、浅かったようで先のエルデッドウィザード同様ふわりと後退しニヤついた。


「「ツインシュート!」」


 ナタリーとメアリィの合体魔法。

 これはアリスの得意魔法【ライトシュート】を合わせたものか。

 高威力だが、いかんせん速度が足りない。


「「ここだ!」」


 と、思ったが、その【ツインシュート】のケツを引っ(ぱた)くかのように、エメリーとレミリアは、剣の面を使い魔法(ツインシュート)を打ったのだ。

 すげぇ、これで速度が伴った。

 これにより、一体のエルデッドウィザードが灰と化す。

 残り二体のエルデッドウィザードは、仲間の消失にポカンと口を開けているばかりだった。

 一体の背後に回り込んリィたんが、新調したハルバードでこれを瞬殺。

 残り一体。

 クレアが弓でエルデッドウィザードの足下を狙えば、かわさざるを得ないエルデッドウィザードがふわりと跳ぶ。

 そこに狙いをつけていた勇者エメリーの一刀両断。


「お見事」


 彼女たちに称賛を送る以外に何があろうか。

 これまでの五階層が生ぬるかったと思える程、ガーディアンズはこの六階層でしっかりとしたパーティワークを見せた。

 それも、リィたんの実力に甘えず、だ。

 リィたんにおんぶにだっこな、どこかの国の元首に見せてやりたいくらいだ。

 ところで、この調子でいくと皆、聖騎士学校に入学する事になるんだけど、どうするんだろう。

 ロレッソがいるから国の内政については問題ないとは思うんだが、リィたんが聖騎士学校に? 俺から何を学ぶっていうんだろう?

 まぁ、どんな結果になろうと、面白い事にはなりそうだ。


「……はぁはぁ……か、勝てた!」


 と、息切れを見せながらも喜びを露わにしたのはシェルフ族長ローディの孫――メアリィだった。

 この中では戦闘経験が一番浅いながらも、ポーションやマナポーションを飲みながら何とか付いて来たが、そろそろ限界の模様。

 当然、それはリィたんも気付いていた。

 リィたんがメアリィ側付きのクレアにちらりと目をやる。

 そのアイコンタクトに気付いたクレアが、メアリィに耳打ちする。

 それは当然、ギブアップ申告の提案。

 歯痒そうなメアリィだったが、自分の無理はパーティを危険に晒す事になる。クレアの意思ではなく、メアリィ自身の意思が重要となる。何故ならば彼女は今、シェルフの姫である以上に、冒険者だから。

 これだけのパーティにいるのだ。それがわからないメアリィでもない。


「……うん。皆さん、ごめんなさい。どうやら私、限界みたいです……」


 振り返るエメリーとレミリア。

 そしてナタリーは……ふむ、あの微笑みを見るからにメアリィの申告を待ってたな。ある意味真のリーダーはナタリーだったのかもしれない。


「うん、それじゃあ帰ろう!」


 まったく、自分も無理してるくせに意地っ張りなお嬢様だ事。

 だがしかし、六階層の宝箱出現まで活躍を見せた【ガーディアンズ】は、暫定一位の冒険者パーティである。スケジュールも半分に差し掛かっているのだ。聖騎士学校への枠は固いと言わざるを得ないだろう。


 ◇◆◇ ◆◇◆


「はい、お見事でした。見事過ぎて目ん玉飛び出るかと思いました。ランクAどころかランクSパーティと言われても納得の結果でした」

「デュークさん、冒険者ギルドの依頼なんでしょう? そんな事言っていいの?」


 パーティを称賛する俺に、周囲を気にしたナタリーが申し訳なさそうに言う。


「問題ありません、パーティをけなしたり褒めたりしちゃ駄目なんて契約は結んでませんから」

「ふふふ、ナタリーさんはそういう事を言ったんじゃないと思いますよ」


 メアリィも俺の性格を知って尚、こういう事を言ったのだろう。

 しかしこのパーティ……改めて見てもレベルが高い。

 そう、実力以上にルックスが。

 強きな褐色お姉さんのリィたん。

 (したたか)かなハーフエルフの子供のナタリー。

 活発なエルフの幼い姫君メアリィ。

 寡黙な護衛のクレア。

 ドジっ子勇者のエメリー。

 そして、美しさで言えば右に出る者がいない剣聖レミリア。

 何だこのパーティは? 見てるだけでご褒美だぞ?

 同じ空気を吸っていていいのだろうか?

 この空間の空気をビンに詰め込んで売れば儲かるのでは?


「あ、いけない事考えてる顔ですね?」

「そんな事はありません。新たな嗜好品誕生の瞬間だっただけですよ、エメリーさん」

「それってつまり、いけない事ですよね?」


 エメリーがナタリーを見ながら言うと、彼女はそれを否定するように首を振った。


「これはいけない事を考えている顔じゃない」


 そして自身の肩を抱きながら言ったのだ。


「いやらしい事を考えてる顔」


 おかしい、【チェンジ】した状態でもナタリーは俺の全てを理解しているのだろうか。


「はい、改めます」

「よろしい」


 そんなやり取りを見せた俺とナタリーに、皆がくすりと笑う。


「どうです、午後のパーティの審査が終わった後、お食事でも?」

「やったー!」


 と、最初に喜びを見せたのがエメリー。


「ふむ、では武具店を覗いてからギルドに向かおう」


 たまにはドレスを買ってみてはいかがだろうか、レミリアさん。


「では、ご相伴にあずかりましょう。ね、クレア」

「はい、メアリィ様。甘味処のリサーチを先に済ませてしまいましょう」


 俺もリサーチには付き合いたいところだ。


「リィたんはどうするの?」

「現代の聖女というのに興味がある。オベイルたちのところに行ってみるか」

「あ、私も行きたい!」


 ナタリーとリィたんは、最初から食事を共にする予定だったようだ。

 がしかし、全員参加とはありがたい事だ。

 この場にいるとどうしても顔がニヤケてしまうな。

 午後の審査が甘くならないように気を引き締めねば。

次回:「その373 午後の予定」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓連載中です↓

『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』
【天才×秀才】全ての天才を呑み込む、秀才の歩み。

『善良なる隣人 ~魔王よ、勇者よ、これが獣だ~』
獣の本当の強さを、我々はまだ知らない。

『使い魔は使い魔使い(完結済)』
召喚士の主人公が召喚した使い魔は召喚士だった!? 熱い現代ファンタジーならこれ!

↓第1~2巻が発売中です↓
『がけっぷち冒険者の魔王体験』
冴えない冒険者と、マントの姿となってしまった魔王の、地獄のブートキャンプ。
がけっぷち冒険者が半ば強制的に強くなっていくさまを是非見てください。

↓原作小説第1~14巻(完結)・コミック1~9巻が発売中です↓
『悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ』
神薬【悠久の雫】を飲んで不老となったアズリーとポチのドタバタコメディ!

↓原作小説第1~3巻が発売中です↓
『転生したら孤児になった!魔物に育てられた魔物使い(剣士)』
壱弐参の処女作! 書籍化不可能と言われた問題作が、書籍化しちゃったコメディ冒険譚!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ