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半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第一部

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370/917

その369 初任務

2020/9/24 本日一話目の投稿です。ご注意ください。

 案外……思ったより……予想以上に……粒がいない。

剣弓斧魔(けんきゅうふま)】、【青雷(せいらい)】ときて多くの冒険者を見ているはずなのだが、粒揃いというのは、基本的にアーダインがある程度選別しているのだ。

 当然、その中に闇人(やみうど)もいるが、血をぺろっとしてみれば、皆、俺より序列が低い事がわかった。まぁ、タヒムの実力を考えれば、それ以上を望むのは難しいのだろう。

 がしかし、解せない点もある。それは、ランクSに該当する実力者タヒムが序列四百台である事だ。聞いてみたところ、序列にも当然抜けた番号こそあるものの、百人近く在籍しているとの事。それはどの序列も同じだそうだ。(ちな)みに、ミケラルドの偽名「デューク」の序列は【四百五十】である。

 つまり、序列四百より上は、ほぼ同数に近い実力者がいるのだ。当然、下位の序列も同じなのだが、それ以上にランクS以上の実力者が五百人近くいるとなると、おじさんは眩暈(めまい)がするのである。


「気疲れか?」


 と、溜め息を吐いていると、冒険者ギルド本部長室でアーダインが俺に言った。


「闇ギルド員、多過ぎません? オベイルさんとそこそこ良い勝負してた拳鬼でさえ【序列百(ハンドレッド)】って事がビックリですわ」

「だが、その拳鬼は序列百(ハンドレッド)の中でも上位だったそうじゃないか。となれば、その上は【(とき)の番人】の十二人だろう」

「その間がいなければいいですねぇ」

「現状、確認はされてないのだ。いる、いないではなく、不確定要素と割り切るのがいいだろう。安心しろ、ミックのおかげで助かっている。どうだ、今夜慰労を兼ねて食事でも?」

「ありがたい申し出ですが、今夜は予定があるのです」

「一国の元首に無理を言ったか」

「いえ、闇ギルドの初任務が」


 ピクリと反応するアーダイン。


「内容は?」

「商人ギルド襲撃の補助……?」

「なっ! 何でそれを報告しない!」

「今してるじゃないですか。これでも任務が入ってすぐに来たんですよ? それに、商人ギルドには商人ギルドのマスターもいるんでしょう? あの人、アーダインさん並みに強いですよ?」

「あ、会ったのか!? あの【白き魔女リルハ】にっ?」

「こっちに来た時、ミナジリの貨幣を広めてもらうために一度。別途注文もあったので」

「注文? い、いや、今それを聞いている場合ではない。早速リルハに連格――」

「――お待ちください、既に手は打ってあります」

「……何だと?」


 ◇◆◇ ◆◇◆


「もう一度言ってみろ?」


 目を鋭くさせ、殺気を放つ目出しフードの男。


「嫌だと言ったんだ。何故俺がこんなチンケな仕事をしなくちゃならない? 商人ギルドの襲撃補助? ただの強盗のバックアップじゃないか。それも俺の上席がこんな雑魚とくれば、悪態も吐きたくなるものだ」

「序列四百五十が()めた口を……!」


 襲撃補助の任、当然俺が強盗に参加する訳も、その補助に参加する訳にもいかないし、したくもない。大きいお金はバルト商会のバルトとか、ドマーク商会のドマークにイイモノを売れば手に入るのだ。そもそも、何故悪人が現金を必要とするのか。モノを盗んだり、踏み倒したりしないのか。がしかし、「闇組織の超大物! 食い逃げ!!」とかの見出し新聞は確かに嫌だな。逆に見てみたい気もするが、必要に応じて金は使うという事だな。

 その多くは表で活動する資金……といったところか。

 まぁ、今回は場所が場所だけに、俺も強硬手段をとらざるを得ない。

 補助メンバーは俺を含め五人。主な任務は主要メンバーの脱出経路の確保、周囲の監視である。主要メンバーは実行犯だからおそらくハンドレッドが動いているのだろう。俺もあちらに行きたかった。


「命令違反は重罪、入る時に審査官に聞いたよな?」


 ジリと構える四人。

 重罪とは(すなわ)ち即刻処刑の意味。それを知らない俺ではない。

 しかし、これは非常に有用なリクルート機会。

 こんなところに、優秀な人材が転がっているじゃないか……!


「ひっ! お、おい、こんな気味悪い奴、さっさと()っちまおう! 任務に支障が出る!」


 そんなに酷い笑みを浮かべていたのか、俺は。

 何て事だ、威嚇に使えるじゃないか。


「仕方ない、()るぞ!」


 ◇◆◇ ◆◇◆


「「ご命令を」」


 こういうのを(てのひら)ドリルというかもしれない。

 いやまぁ、俺のせいなんだけどな。

 まぁ、俺も吸血鬼が板についてきたって事だろう。


「主要メンバーの脱出経路の候補地を教えろ」


 補助班のリーダーを介し知った情報を元に、内部で護衛を担っている仲間に連絡。追い出し方を工夫してもらえれば……!

 必然的に、俺が張っていた脱出経路にハンドレッドの連中が通る訳だ。

 なるほど、どれもランクS上位といったところか。

 お、一人SS(ダブル)と言えるだけの実力者が交じってるな。

 まぁ、リルハには帰ってもらってるからこれで事足りるという判断か。

 それだけに拳鬼が優秀だった事が窺える。

 今度イチロウとジロウ、ラジーンに詳しい話を聞いてみるか。


「何だ、あの化け物たちは!?」

「青雷だけって話じゃなかったのか!?」


 青雷のパーティメンバーであるタヒムは闇人(やみうど)である。

 当然、今回の襲撃要員でもある。がしかし、それは青雷のメンバーとしての参加だ。戦闘中、味方のフォローをするはずの仲間が、本来の力を出さなければ……、それは青雷にとって強い毒となる。

 つまり、青雷は彼等を前に負けるはずだった。

 しかし、そうはならなかった。


「こちらです! 安全な場所へ誘導します!」


 等と、デューク(ミケラルド)が言うも、


「助かる!」


 通された路地裏には……ミナジリ共和国の守護者たち。


「な、何故ここに……!?」

「さて、どうしてだろうな」


 一枠一番、水龍リバイアタンことリィたん。


「お前はさっきの……!?」

「お前たちのおかげで我が国が潤うらしいぞ」


 二枠二番、リザードマンのジェイル。


「お前! 何故笑っている!? ま、まさか裏切ったのかっ!?」

「いやいや、真っ当な生き方を裏切ってるのはあなたたちでしょう」


 三枠三番、オレ。


「簡単な話です、ちょっと血を恵んでくれません?」


 さぁ、デッドヒートの始まりです。

昨日更新出来なかったので、本日二話更新します。


次回:「その370 闇人狩りという名の強制リクルート」

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― 新着の感想 ―
[一言] ゲーム18時間しかしてないんですかぁw それは短か……くねぇ! ですが更新ありがとうございます。 体早く治して更新待ってます(ハート)
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