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半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第一部

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362/917

その361 査定官ミケラルド

2020/9/15 本日二話目の更新です。ご注意ください。

「えー初めまして。デューク・スイカ・ウォーカーといいます。アーダイン氏からの依頼により、あなた方の査定をさせて頂きます」


 (かん)(ぺき)と言わざるを得ない俺の偽名。

 だが、いかんせん周囲の反応は微妙極まりない。

 何故ならば、どこの馬の骨ともわからない男にパーティの査定を任せなければならないのだ。だからこそ最初は(、、、)とアーダインが気を遣ったのだろう。


「今回のパーティはランクAの【剣弓斧魔(けんきゅうふま)】の四名」


 そう、最初に呼んだのはランクAパーティなのだ。

 ランクSパーティではなく、ランクAパーティを先に呼んだのには理由がある。

 俺の同席がないとランクSダンジョンに潜れない連中である。当然、当日の緊張はかつてないものになるだろう。

 だからこそ、俺の偽名【デューク・スイカ・ウォーカー】の名を売るチャンスとなる。

剣弓斧魔(けんきゅうふま)】の四人は、文字通り剣を扱うダイン、弓を扱うリーファ、斧を扱う巨漢のエリオット、魔法を扱うタバサで構成されたバランスの良いパーティである。男二人、女二人というのは、パーティとしてバランスがいいのかは不明だが、見た感じパーティ内の仲は悪くはなさそうだ。


「今回の査定でランクAパーティが私と一緒に潜れるのは六階層までです。六階層に潜るまでの過程で、パーティの質や各々の実力を見させて頂きます。六階層までに出現する詳細な情報を記載した紙をお渡しします。目を通しておくように。当然、いきなり戦えという訳ではありません。階層ごとに、最初は私がモンスターを倒します。その後、適宜(てきぎ)皆さんで攻略していきましょう。何か質問は?」

「あの」


 当然、リーダーのダインから手が挙がる。


「途中で引き返したい場合はどうすればいいのでしょう」

「勿論、引き返して頂いて結構です」

「でもその場合、査定に響きますよね?」

「響きます。ですが、好判断としての撤退はマイナスにはなりませんのでご安心ください」


 冒険者は生き残ってナンボである。勇気と無謀は別物である事を彼らは知っている。それを否定する事は出来ないし、してはいけないのだ。

 ホッとしたダインがパーティメンバーに向き直る。

 皆が頷き合う。それは、ダンジョンへ入場を決意した瞬間だった。


 ◇◆◇ ◆◇◆


「第一階層はダブルヘッドセンチピード。巨体から繰り出すその突進力は脅威です。ランクSともなれば、壁役(タンク)一人で何とか受けられますが、ランクAでは何かと工夫が必要でしょう」

「デュークさん! 前前前っ!?」

「まずは私からですね」

「「嘘ぉ!?」」

「はい、このようにしっかりと受けられれば、スピードを出していたダブルヘッドセンチピードさんにとっては大事故ですね。今、ダブルヘッドセンチピードさんには物凄い衝撃が伝わっている事でしょう。こうして怯んだ時、後は隙を()いてちょんぱです」


 初手、わからせなければいけないのは、俺への信頼感である。

 ランクA、S、SS(ダブル)でも不可能と思えるような倒し方をすれば、それは同時に不信感を消し去る安心へと変わる。

 一瞬でダブルヘッドセンチピードを倒した後、俺はわざとらしく言った。


「おっと、間違えて倒してしまいました。次は参考になるように戦いますね」


 力を見せつけ、査定官としての面目を保つ。

 更に、ランクAの冒険者でも倒せるような倒し方をアピールする事によって、パーティに「戦略の余地有り」と理解させる事が出来るのだ。

 相手が一匹であればそれはランクS。ランクAの四人が集えばそれを上回る事は可能なのだ。


「リーファ、牽制頼む! エリオット、頭部に集中! タバサ、外殻が硬い! 魔法は強化を優先しろ!」

「「おうっ!」」


 ふむ、優秀だな。

 さてはアーダインのヤツ、最初って事で優良パーティを選んだな?

 まぁ、それはわからないでもないが、こうも優秀だと振るい(、、、)に掛ける事すらないだろう。ランクAとしての必要基準を満たしているし、【看破】の反応もないから闇ギルドという心配もない。ゲオルグ王みたいな俺から見た悪を正義と思っているヤツは特殊だしな。

 現状、列挙すべき事はない。

 査定までの間に【緋焔】がこれくらいまで育ってくれていたら、心配はないのだが、オベイルとグラムスは上手くやっているだろうか。


「次に第二階層です。ここにはゴブリンチャンピオンが出現しますが、その膂力はランクAでは脅威と言わざるを得ないでしょう。硬質の鎧も纏っており、局所的にしかダメージを与えられません。こん棒を振りかぶった瞬間に恐れず前へ出る事が勝利への鍵となるでしょう」


 ゴブリンチャンピオンは凶悪な顔をした巨大ゴブリン。こん棒とは言ったが、どこで手に入れたか金属製だし、一撃でも喰らえば致命傷待ったなしである。

 因みに、この法王国ダンジョンにいるランクSモンスターは【固有能力】が一つしかない。しかし、それだけに強力な固有能力ばかりである。

 ダブルヘッドセンチピードからは【超調整(バランス)】という体幹強化にもってこいの能力が頂けたし、このゴブリンチャンピオンからは【超怪力】をゲット出来た。戦争時、加減をしなければいけなかった事もあり、日の目を見る事がなかった固有能力ではあるが、これから戦う強敵を前に有用な能力と言えるだろう。


「よし! 密集隊形を維持しつつ各自警戒!」


 複数匹のモンスターが現れたところで、上手く対処出来ている。

剣弓斧魔(けんきゅうふま)】……か、お見事。

 さぁ、次は第三階層だ。

次回:「その362 マスターゴブリン」


マスターゴブリンは「その304 ご招待」で登場してるのでネタバレにはならないよね……?

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 見たことも無い冒険者で名前も聞いたことも無い。それでいて桁違いの強さ。チェンジもばれてるし余計にばれる。闇ギルドが気づかないほうがおかしい。
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