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半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第一部

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その35 宝箱の謎

本日二話目の投稿です。ご注意下さい。

 ダンジョンは、屋内なだけあってアンデッド系のモンスターが多い。直射日光に弱いモンスターが屋内に出現するという理屈はわかるのだが、ダンジョンのモンスター出現のカラクリがわからない。

 カミナに聞いたところ、外のモンスターが「迷い込む」という話だが、それを目撃した人の話は聞かないそうだ。

 これに関しては、何か神聖的な理由もあるのかもしれない。


「この下が二階層です。ここから先は暗くなるので注意してください」


 一階層にはお宝などなく、何事もなくクリア出来た。

 下へと続く階段を前に、カミナは松明に火をつけようとしていた。


「あぁ、カミナ。松明はいいよ。ほら、トーチ」

「え? えぇっ?」


 毎回驚いてくれるのは中々新鮮だ。

 最近、ナタリーは全然驚いてくれないからな。


「ミケラルド様、凄いです。闇魔法に続き光魔法までも……!」

「出来るだけ内緒でお願いね」


 ……ん? でもさっきヒールが使えるって教えたはずだな? 聞き流してたのかな?

 まぁ人間ってそういう事もあるよな。


「はい! 勿論です!」


 闇魔法については、闇空間を使う以上、どうしてもカミナの前で発動する必要があった。この光魔法についても、円滑にダンジョンを攻略する上では、松明の火では困るのだ。

 因みに、トーチの魔法に関しては自分で思いついたんだ。

 世の物語には、光を照らす魔法はありふれているから、イメージがしやすく簡単に使う事が出来た。


「それで、マッキリーのダンジョンは、何階層まであるんだい?」

「七階層です。ランクDの冒険者だと、普通は四階層で引き返します」

「ランクDのダンジョンなのに、変な話だね」

「出現するモンスターの最高難度がDなので、そう決まっているだけです。ただ、ランクDのモンスターが群れれば、その脅威はCやBに届きます。当然、しっかり準備して的確に動けばランクDパーティでも攻略出来るので、依頼の難度も変わらないのです」


 なるほど、そういう事か。

 攻略出来てしまうからこそ、ランクDの依頼なのか。

 だからレッドたちもあんな風に絡んだ、そういう事だ。


「宝箱なんかは、何階層あたりから見つかるの?」

「運がよければ三階層から見つかると言われています。四階層ではよく見つかり、五階層ではほぼ発見出来ます。六階層と最終階層には必ずあると言われてますね」


 という事は、毎回ランダムで宝箱が出現するのか。

 一体どういう理屈だ? 無理矢理こじつけるとしたら、モンスターの数……か。

 モンスターを倒した数で宝箱の出現が決まるとしたら、もしかしたら一階層でも宝箱が出現するんじゃないか?


「ツイてますね! 三階層で宝箱発見です!」


 宝箱は、四階層への階段の前に出現していた。


「うん、罠はないみたいだ」

「わぁ、ミケラルド様は罠感知の特殊能力もっ? 注意しようと思ったのに残念ですっ」


 微笑むカミナ。懐いてくれるのは嬉しいが、先程からリィたんが無言なのが気になるところだ。

 ここは話していかないとな。


「リィたん、この階層で倒したモンスターの数、種類は覚えてる?」

「あぁ、わかるぞ。マミーが七体、スケルトンが八体、ホブゴブリンが三体だ」

「合計十八匹か……その中で一番強いのはランクDのスケルトンか」

「何かあるのか、ミック?」

「うん。ちょっとだけ実験かな。カミナ、三階層でこの量は多い方?」

「え? えぇ、少し多いと思います」

「よし、リィたん。次は、三階層で倒したモンスターの数と種類、同じだけ倒して五階層の階段を目指そう」


 俺は、カミナに聞こえないよう、リィたんにそう耳打ちする。


「ほぉ、そういう事か。面白い」


 と、俺の考えがわかったのか、リィたんはニヤリと笑った。

 さて、宝箱の中身は何かな?


「ん? 何だろう、これ?」


 出て来たのは一足の靴。

 あれ? この靴、どこかで?


「あぁ! それ私の靴と一緒です!」

「そうか、【隠密ブーツ】ってやつだね。という事は結構レアだったのか」

「ここでは【吸魔のダガー】と同じで一番レア度が高いのです! 売れば金貨百枚にはなりますよ!」


 おぉ、カミナの喜び方が尋常じゃない。

 中々出ないって事なんだろう。これは幸先がいいな。

 そうか、カミナはここで【隠密ブーツ】を手に入れたのか。


「分配は最後って事でいいのかな?」

「ですね!」


 俺は【隠密ブーツ】を闇空間にしまい、四階層への階段を下りた。


「よし、それじゃあリィたん。さっき言った通り、お願い」

「うむ、任せるといいっ。ふふふ」


 ふむ、リィたんは頼ると非常に機嫌がよくなるな。

 おそらく、カミナにばかり質問したのを拗ねていたのだろう。

 初めてのダンジョンだから、ダンジョン経験者にばかり質問が集中してしまうのは仕方ないが、こういうところは気を付けないといけないな。パーティリーダーというのも大変なものだ。


「これで、マミーが七体、スケルトンが八体、ホブゴブリンが三体だな。五階層の階段に行ってみよう」


 三階層よりモンスターの出現頻度は高かったが、リィたんの探知のおかげで、余計なモンスターに遭遇する事もなく、目標数のモンスターを倒す事が出来た。

 風魔法があれば、階段を見つける事も結構簡単だとの事だが、そんな広範囲で風魔法を操れるヤツってリィたんくらいしかいないだろうに。


「む、ミック。信憑性が出てきたな」

「だね~」

「おぉ! 二連続ですね!」


 どうやらカミナは気付いてないみたいだな。

 俺はリィたんに向き、一度だけ頷く。

 とりあえず今日の実験はこんなもんでいいだろう。

 次回、一階層でゆっくり実験すれば、結果もわかるというものだ。


「ん、罠だね」

「どんな罠です?」

「何かが噴出するタイプの罠だ。おそらく毒系だな」

「なら私が開けよう。エアウォール!」


 リィたんは全員に風の壁を発動する。俺とカミナは離れた場所から見守り、リィたんは蹴って宝箱を開く。

 予想通り出て来た紫煙の毒。


「むん!」


 リィたんが力んだ瞬間、エアウォールは大きく弾け、各通路に毒を押し流していった。

 俺たちにもエアウォールが発動していたのはこういう訳か。

 さて、宝箱の中身はなんだろう。

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