表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

343/931

◆その342 サプライズ

入れるならここかなと思ったお語です。

 これは、戦争開始直前に起きた話である。


「ここにきて作戦変更だぁ?」


 リプトゥア軍がリーガル国の国境を越えた頃、オベイルは顔を歪ませていた。

 それは、ミケラルドが土壇場(どたんば)になって作戦変更を提案したからである。

 集められたのは戦争に参加する六名。

 リィたん、ジェイル、エメリー、レミリア、オベイル、イヅナである。

 ミケラルド商店の一号(ミナジリ)店の地下、その会議室の中央に立ったミケラルドが六人を前にオベイルの疑問を肯定する。


「えぇ、新魔法の開発に成功した(、、、、)ので、作戦を大きく変えます。とりあえず、エメリーさんとレミリアさん。最初から全力で飛ばしてください」

「そ、それは当然です……よね?」


 レミリアに(うかが)うように小首を傾げ聞くエメリー。


「勿論です。ですが、それよりも気になるのは、他の四人には全力を出すなと言ってるようにも聞こえるのですが?」

「その通りです。レミリアさん十ポイント」

「……何のポイントかわかりませんが、頂けるのなら頂きましょう」


 顔を渋くさせたオベイルがミケラルドを睨む。


「楽しくクイズやってる場合じゃねぇんだよ」

「その通りです。オベイルさん十ポイント」

「駄目だこりゃ……」


 呆れたオベイルが手で額を抱え、溜め息を吐く。


「先程、ミナジリ国境の手前に要塞を造ってきました」

「国境手前? わざわざ敵国を自国の領土に入れると言うのか、ボン?」

「その通りです。イヅナさん十ポイント」


 ここでジェイルが手を挙げる。


「まず、そのポイントが何に使えるのか聞きたい」

「良い質問です、ジェイルさん五ポイント。五十ポイントまで溜めればお好きな武具、アクセサリー、何でも無料で一つお造りします」


 瞬間、エメリーが勢いよく手を挙げる。


「はい! 続き聞きたいです!」

「んも~、エメリーさん現金ですねー。可愛いので五ポイントあげちゃいます」

「わーい!」


 エメリーが喜んでいる間にオベイルが小さく(、、、)手を挙げる。


「じ、自国に入れるメリットは何だ?」

「オベイルさん五ポイント」


 オベイルが小さく挙げた手をそのまま強く握る。


「ガンドフダンジョンに詳しいオベイルさんならわかると思うんですが、キマイラアンデッドの固有能力知ってますか?」

「おいおい、まさかミックが【領域(テリトリー)】持ちだなんて言うんじゃねぇだろうな?」

「正解! オベイルさん十ポイント!」

「……まじかよ」


 そうは言うものの、拳が二つに増えているオベイル。


「それと、ゴブリンゾンビの【徒党の親玉】を使います」

「ほっ! それで我らの戦力を底上げし、領域(テリトリー)で相手の戦力を下げるのか」

「素晴らしい、イヅナさん十ポイント」


 イヅナの説明の後、レミリアが呟くように言う。


「確かに、それならば余裕が生まれる。我らが実力として足りない点、理解出来ます。しかし、他の四人が全力を出さない理由は?」

「レミリアさん五ポイント。開戦して……そう、一時間くらいですかね? 敵が退却を始めます」

「「一時間でっ!?」」


 驚き立ち上がるエメリーとレミリア。


「二人共、反応がとても可愛いので十ポイントずつ」

「わーい!」


 エメリーは喜ぶが、


「そ、そんな事はどうでもいい! いや、確かにありがたいが、本当に敵が逃げるとっ!?」

「正確には闇ギルドが手を引きます」

「「なるほどな」」


 息が揃ったのはイヅナとジェイル。

 二人は横目に睨み合い、そして目を背ける。


「二人共カッコいいので十ポイントずつ」


 遅れて気付いたオベイルが焦りながら言う。


「つまりアレだろっ、その何だ! その撤退時に全力を出して、虚を突いて捕まえちまえばいいって事だろ? なっ!?」

「素晴らしい! オベイルさん十ポイント!」

「しゃっ!」


 オベイルの両の拳が力強く、小刻みに震える。


「この戦争時、エメリーさんは殺される事はないでしょう。やるならばとっくにやっていますから。なので、エメリーさんの行動方針としては極力レミリアさんの援護をお願いします」

「わかりました!」

「返事が良い! 五ポイント!」

「やったー!」


 喜ぶエメリーを前に、ミケラルドが続ける。


「つまる事の、闇ギルド相手のサプライズミッションです。エメリーさんとレミリアさん、死ななかったら百ポイントです。オベイルさんとイヅナさん、もし捕えられたら百ポイント。敵も必死に逃げるでしょうから難しい場合は最悪手傷を負わせてください」

「「わかりました!」」

「わ、わかったぜ!」

「エメリーさん、レミリアさん、とても良い返事です。オベイルさん、元気が良くていいですね。各々五ポイントずつ」

「しかし解せない」


 オベイルが「よし、よしっ!」と言ってる間に、イヅナが聞く。


「何故相手が撤退すると?」

「良い質問ですね、イヅナさん十ポイント。これは、今日のミケラルド商店の新聞です」


 新聞を受け取るイヅナ。


「裏を」


 ひっくり返し見た新聞にはこう書かれていた。


 ――ミナジリ共和国VSリプトゥア国! 果たして勝敗の行方は!? 明日の続報を待て!!


 その文字を見たイヅナが、珍しく小さな溜め息を吐く。


「……買えと?」

「正解! イヅナさんに二十ポイント!」

「あ、ずりぃぞ爺! 俺も気付いてたぜ!」

「流石オベイルさん! おまけして十ポイント!」

「おぉおおおおおっしゃああ!」

「買います!」

「ありがとうございます! エメリーさんに五ポイント!」

「これは気になる。私も買います」

「ありがとうございます! レミリアさんに五ポイント!」


 と、盛り上がっている中、一向に喋らないリィたんを見て、ジェイルが首を傾げる。


「珍しく何も言わないのだな?」

「ジェイル、お前は何か勘違いをしている」

「何?」

「私が頼めばミックは何でも作ってくれるぞ」


 ピタリと凍り付く空間。

「そうだった」とジェイルが納得し、ミケラルドが微笑む。


「正解! リィたんに二百ポイント!」

「ふっ」


 全てをかっさらうかのようなリィたんの笑みに、オベイルとエメリーが突っかかる。


「おい! 会議はまだ終わってないんだろ!? 続けるぞ!」

「そうです! 後三時間くらい出来ますよ!」


 そしてレミリアが、


軽鎧(けいがい)を新調したい。続けましょう」


 その後、かつてない程の綿密な作戦会議が行われたのだった。

次回「◆その343 勝利」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓連載中です↓

『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』
【天才×秀才】全ての天才を呑み込む、秀才の歩み。

『善良なる隣人 ~魔王よ、勇者よ、これが獣だ~』
獣の本当の強さを、我々はまだ知らない。

『使い魔は使い魔使い(完結済)』
召喚士の主人公が召喚した使い魔は召喚士だった!? 熱い現代ファンタジーならこれ!

↓第1~2巻が発売中です↓
『がけっぷち冒険者の魔王体験』
冴えない冒険者と、マントの姿となってしまった魔王の、地獄のブートキャンプ。
がけっぷち冒険者が半ば強制的に強くなっていくさまを是非見てください。

↓原作小説第1~14巻(完結)・コミック1~9巻が発売中です↓
『悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ』
神薬【悠久の雫】を飲んで不老となったアズリーとポチのドタバタコメディ!

↓原作小説第1~3巻が発売中です↓
『転生したら孤児になった!魔物に育てられた魔物使い(剣士)』
壱弐参の処女作! 書籍化不可能と言われた問題作が、書籍化しちゃったコメディ冒険譚!
― 新着の感想 ―
[良い点]  ミケラルド本当に皆を乗せるのが上手い! 一万ポイント! >オベイルが小さく挙げた手をそのまま強く握る。  特にオベイルが可愛い!
[一言] 戦争前なので全員の装備を変えて準備万端にするのが王からすると当たり前の話だが、そうすると施しのようで受け取らないやからが時々いたりする、そんな時ミケラルドマジック、自分でポイントを貯めさせる…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ