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半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第一部

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302/930

その301 勇者と聖女

勇者(エメリー)さんと聖女(わたし)の事?」

「そうです。聖女には勇者の力を増幅させる力があると聞いています。それは聖加護に更なる力が宿るという事でしょうか?」

「皇后アイビス様が言うには、他の冒険者に与える力以上の力を付与出来ると聞いています。聖加護を宿した勇者の剣、覚醒した勇者、そして聖加護を扱える聖女。この三つの条件が重なった時、その力は最強の魔王に届くと言われています。けれど勇者レックスが倒され、魔王は休眠期に入った。新たな勇者と聖女の誕生は、魔族にとって大きな脅威でしょう」

「の割には魔族の攻勢はそこまででもない」


 俺の言葉に、アリスがキョトンとした顔をする。


「え?」

「魔族がガンドフに攻め入った件はご存知です?」

「勿論です」

「ガンドフに攻め入った理由は?」

「それは、勇者の剣の製作を止めるため……でしょうか?」

「魔族も一枚岩ではないのでしょうが、これまで侵攻しなかった魔族が、たったそれだけのために軍勢を割いた」

「でも、勇者の剣ですよっ?」

「力を失ったアイビス殿の聖加護です。完璧な勇者の剣とは言えませんよ」

「さーま!」

「アイビス様」

「はい!」

「つまり、それ程までに勇者の剣の製作を止めたい理由が気になってるんですよ」

「エメリーさんの力が増すのが嫌なだけでしょう? 寧ろ、それ以外に理由がありますか?」

「いえ、それだけならばオベイルさんやイヅナさんの方が圧倒的に驚異です。勇者エメリーが勇者の剣を持つ事で得られる恩恵とは?」


 アリスは顎先に指を当て、ダンジョンの天井を見上げて唸る。


「んー……伝承では、勇者の剣を手にした勇者は覚醒に近付くとありますね」

「外的要因による戦力増強。それにより更なる難敵に挑める。練達した勇者は覚醒へと至る。つまり、魔族は勇者の覚醒を拒んでいる?」

「そういう事でしょう。勇者が覚醒すれば魔王の休眠期も解かれますからね」


 …………何だって?


「え、ちょっと待ってください。それって本当ですか?」

「私、どこかのパーティメンバーと違って冗談言わないですよ」


 おかしい。オリハルコンズは二人パーティだったはず?

 まさか、第三のメンバーが?


「いないいない」

「でもよく考えてみてください。ガンドフにやってきた魔族を」

「何かおかしい事でも?」

「魔族は魔王復活を阻止しようとしたって事では?」


 キョトンとしたアリスが目を丸くし、やがて神妙な面持ちへと変わる。


「……あれ?」

「勇者の覚醒が、魔王復活のキー。そうだとしたら、何故人類は勇者の覚醒を目指すんです? そうだとしたら、何故魔族は魔王復活を阻止するんです?」

「……わからない……です」


 なんとも言いようのない表情のアリスは、自分でも確かめるようにそう言った。


「勇者が覚醒し、魔王を倒す事によって世界が平和になるのであれば、人類の考えは間違いじゃないと言えます。少々恐ろしい賭けではありますが」

「じゃあ不可解なのは……」

「魔族とそれに協力する闇ギルドってところでしょうか」


 俺がそう説明を終えると、アリスは自身の肩を抱いた。


「何か、凄く不安です……このままで本当にいいんでしょうか……」

「聖女が力を付ける事に何の矛盾もないですよ。今は自分を高めましょう。私も私で色々調べてみますから」

「……はい」


 力なき声にもまだ彼女の意思はあった。

 だが、それはやはり十三、四の子供の意思なのだ。

 何とかしてテコ入れをしたいところだが、何がいいだろうか。


 ◇◆◇ ◆◇◆


 ダンジョンの二階層から戻り、打ち上げ用のお金稼ぎに、法王国の外に出た俺は、アリスに一つ提案をした。


「ゲーム?」

「えぇ、打ち上げ前にちょっとしたゲームをしましょう」


 そう言った瞬間、アリスの頬がぷくりと膨れ上がった。


「子供扱いですかー?」


 おじさんは、そんなアリスが中々に愛らしいと思います。


「ゲームとはいってもちょっとした訓練ですよ。これは最近出来るようになったんですけどね。あ、当然、私対アリスさんですよ」

「訓練……と言われればやらなくちゃいけない気がします。不本意ながら」

「アリスさんの攻撃手段は、オリハルコンの杖による撲殺と――」

「言い方、もうちょっと何とかなりませんでした?」

「――光魔法【ライトシュート】の二つ。こちらは土塊(つちくれ)操作です」

「ミケラルドさんは土塊操作で何をするんですか?」

「こうします」


 土魔法【土塊操作】を発動し、地面から生えるように現れる土人形。


「わ、わ? 凄い……!」

「面白いのはこれからですよ」


 次々と現れる土人形の数は二十体。


「足はないんですね」

「これから動かすんで、地面と密着してないと操作が難しいんですよ」

「動かす……? そんな事が出来るんですか?」

「こういう風に……!」


 これは……中々難しいが、俺にとっても良い訓練になる。


「っ! 嘘っ?」


 二列横隊の土人形が、ゆっくりとアリスに向かい動き始める。


「まずはこの十体二列の二十体を相手に、アリスさん自身を守ってください」

「私自身を……?」

戦略(ストラテジー)ゲームっていうんですけどね? この土人形がアリスさんに触れたら私の勝ち。全て倒したらアリスさんの勝ちです」

「おー、確かに面白そうです」

「攻撃でも魔法でも、一撃入れれば土人形が壊れます。当然、難度は徐々に上げていきますよ」


 テコ入れ第一弾、聖女ゴリラ計画。

 というのは冗談だが、まずはその実力を限りなく勇者に近付けようと思う。


次回:「その302 聖女ゴリラ計画」

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