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半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第一部

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272/917

その271 ガンドフダンジョンの謎

 ジェネラルゾンビから覚えた固有能力は【気付(きつ)け】と【不死者の防気(オーラ)】。

 なるほど、これがジェネラルゾンビたちが何度も起き上がった理由か。

 気付けは気絶し難い固有能力。そして不死者の防気(オーラ)は防御力の底上げ。

 奴らの動きこそわかっているが、ここはまずダンジョンの謎を解く事から始めよう。先程と同じ武装をした四体のジェネラルゾンビ。これを、先程と同じように的確に倒す。


「さて、また同じ武装の奴らがやってくれば……回答が絞れそうなんだが……?」


 うん、やっぱり剣、短剣、斧、そして盾を持った四体のジェネラルゾンビが現れた。やはりこれはダンジョンの仕掛け(ギミック)

 確実に同じ奴らが現れている。死体はあるが、ダンジョンがモンスターを生成しているかのようだ。つまり、相手は四体しかいない。【探知】で調べようにも、奴らからしか反応がないのだ。


「答えは二つ。どっちが正解か、それともどちらも外れか……」


 まずは奴らが出現した場所を探る。俺はジェネラルゾンビから逃げ回りながら【探知】で奴らが出現したであろうポイントまでやって来た。


「何もない……な。って事はもう一つの方か」


 出現ポイントに何らかの仕掛け(ギミック)があると思ったのだが、どうもそうではなかったようだ。

 だが、この回答だと、他の冒険者には荷が重いような気がする。

 何故ならこれが出来る者は、俺が考えうる限り、この世に三人しかいないからだ。

 まだ見ぬ【聖女】、そして【元聖女】、最後に、その元聖女から勇者の剣を受け取った勇者エメリーである。

 そう、俺が導き出した答えとは【聖加護】の事である。

 アンデットの弱点中の弱点。これで倒せば、きっと……!

 聖加護を施したメイスで追いかけて来た奴らを滅多打ち。

 これまでとは違う悲痛の叫びをあげ、ジェネラルゾンビが融解するように消えていく。


「やっぱりこっちが正解か……」


 つまり、浄化という選択がこのダンジョンのキーワードなのだ。

 おそらく一階層のソルジャースケルトンも、最初から聖加護を付与した武器で倒していれば百体も倒す必要はなかったはずだ。

 数が多いのではない。モンスターが何回か復活する仕掛け(ギミック)がダンジョン自体に施されている。

 一階層が百でピタリと止まったのなら、答えは早く出るかもな。

 しかしこれ、光魔法でも代用出来るのか? もしそうなら汎用性が出てくるが、二階層までしか潜らない話を聞くに、可能性は低そうだな。

 つまり、現段階で言える事は、このダンジョンを攻略するならば、圧倒的な武力で打ち止めまでモンスターを倒し続けられるようなオベイル並みの戦闘力の持ち主か、聖加護を施せる聖女とパーティを組んだ者か、そういった武具を持った勇者だけに絞られる訳だ。

 何とも難儀なダンジョンである。

 しかしこうとも取れる。

 条件さえ満たせば、このダンジョンは非常に楽に攻略出来るという事だ。

 まぁ、これからの三階層以降でアンデッド系以外のモンスターが出ないとも限らない。ダンジョンの私的難度を語るのは、攻略した後の方がいいかもしれない。


「お、やっぱりそういう事か」


 二階層の宝箱を開けて出て来たのは【聖水】。これを武器に振りかければ簡易的な聖加護武器の出来上がりである。だが、これを戦闘中に行うにはかなりの戦略と根気がいるだろう。


「さて、お次は何だ?」


 三階層に潜り周囲を見渡す。

 だが、視界より早く入ってきたのはドギツイ腐臭だった。


「くっさ!?」


 臭いの元が何なのかはわからない。【探知】は反応しているが、周囲にそれっぽい存在は…………とっ? お!? おぉ!?!?

 瞬間、地面が揺れ、視界が揺れた。

 それは大地が動いているからに他ならなかった。


「こいつか! オベイルが言ってた硬い皮膚のモンスターって!」


 これまでが硬くなかった訳ではない。

 しかし、オベイルは皮膚と言ったのだ。

 一階層はソルジャースケルトンで骨。皮膚なんてない。

 二階層のジェネラルゾンビは、防具を剥がせばそりゃ皮膚は見えるだろうが、そんな面倒な戦い方をするヤツはいない。

 だからきっと、オベイルはこの事について触れたのだ。

 確かに、こいつのインパクトはこのダンジョンで一番だからだ。


「初めて見たな……無機物系アンデッド」


 揺れる大地から降り、本物の大地に着地して見上げるは巨大な身体。

 十メートル程の体躯、頭部には一つ目の如く赤く光る目が見える。

 ゴーレムアンデッド、それが奴の個体名だ。


「なるほど、こりゃ硬そうだな」


 行動パターンはそんなに多くないはずだ。


「ほっ、よっと」


 (はた)き攻撃と振り払い、突進、ボディプレスと想像し易い攻撃ばかり。……ふむ、所詮はゴーレムの上位互換か。

 アンデッド化によって攻撃力と耐久力が上がっていたとしても、俺の敵じゃない……か。

 聖加護付与したメイスでぼっこんぼっこん叩き、異臭漂うゴーレムアンデッドの身体を壊し、削る。


「ガァアアアアアアアアッ!」


 本来ゴーレムには痛覚などないはずなのだが、ゴーレムアンデッドは痛覚があるようだ。何だこの間違った進化のような残念モンスターは?

 ゴーレムアンデッドから【地泳(ちえい)】と【腐臭毒】をゲット。

 ついに臭いだけで人を葬れるようになったミケラルド君の成長は、まだまだ続く。

次回:「その272 不死者の行進」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ゴーレムは生物ではないのでアンデッドというのは間違い。
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