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半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第一部

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236/930

その235 KY

「ちぃ! 分が悪いか……! 者共退()けぃ!」


 やはり、サブロウがリーダーだったのか。

 確かに彼の実力は俺が倒しきれない相手と言えた。

 逃げ帰って行く闇人(やみうど)たちの錬度は凄まじく、全てが徹底されていた。

 彼らがこれで諦めてくれればいいのだが、それは難しいのだろう。まぁこの問題はまず置いとくとしよう。

 今は、それ以上の問題が起きているのだから。


「おい爺、何だよその目は?」


 剣神イヅナの視線が文字通り剣のように鋭いのだ。

 向かう先は勿論……このトカゲ師匠。


『さっきの、絶対わざとでしょう?』


 テレパシーで聞くと、ジェイルは俺を見ずに答えた。


『すまん、イヅナを見ていたら興奮してな。ついやってしまった』


 ジェイル氏は(興奮して)(やった)と供述しており……。

 いやまぁ、ジェイルでもそういう時があるんだろうな。

 だが、この剣気の嵐はどうやって止めればいいのだろう?


「おいおい、穏やかじゃねぇな? 一体何なんだよこりゃ?」


 オベイルの言葉はどちらにも届かない。彼らには、今、どんな雑音も入らない。

 目と目で通じ合っている達人(ジェイル)達人(イヅナ)

 俺は溜め息を吐きながらその間に人間大の土壁を造った。

 が、その土壁は一瞬で十字に斬られた。

 縦一閃、ジェイルの剛剣。

 横一閃、イヅナの柔剣。


「邪魔をするなミック。師匠命令だ」


 珍しくジェイルが熱くなっている。


「ボン、茶々(ちゃちゃ)を入れてくれるな」


 なるほど、達人同士の熱き戦いが始まっちゃう訳ですか。


「おい……何かヤバくねぇか?」


 オベイルが俺のところまで下がってくる。

 彼程の男でも、この殺気のぶつかり合いはまずいと判断したのだろう。


「ふむ……」


 そんな中、腕を組んで沈黙を貫いていたリィたんが足下の小石を拾った。

 後方へ歩きながらそれをぽいと投げた時、俺とオベイルは確信した。


「「ヤバ……!」」


 小石落下の直前、俺とオベイルはリィたんのところまで下がった。

 というか、下がるしかなかった。

 直後、斬り結ばれた剣と剣は、甲高い音を発し、周囲の窓ガラスを割った。


「なんつう衝撃だ……! あぁ? 何してんだミケラルド?」


 耳を抑えるオベイル。

 そして、【超聴覚】を発動したままにしておいた俺は、悶死する一歩手前である。


「両者の実力は拮抗していると言っていいな」

「そ、そんなに……?」


 鍔迫り合いが続く中、リィたんの言葉が俺とオベイルを驚かせる。


「マジかよ……強ぇとは思ってたが、爺レベルのヤツがまだいたとはな……」


 そして、俺の感想は逆。

 ジェイル程の実力者は、魔族四天王のスパニッシュ以外見た事がない。

 当然、リィたんは除外である。


「破壊魔パーシバルは軽く超えてますね」

「うむ、SSS(トリプル)の中でもやはり優劣はあるようだな」


 魔力だけでは判断出来ない個の実力。

 殲滅という括りで言えば、パーシバルの実力はSSS(トリプル)随一かもしれない。

 だが、個の戦闘力で言えば、この剣神イヅナは正にトップなのだ。


「っ! 動くぞ!」


 オベイルがイヅナの動きを読んだ。

 常々行動を共にしているからか、読みやすいのかもしれない。

 一瞬脱力したイヅナは、ジェイルの剣をわざと走らせ、その横を通り抜けるように進んだ。


「正に機を見るに敏……」


 リィたんの言葉通り、イヅナの剣はジェイルの剣を走り終えると同時、ジェイルの上段を狙った。


「神剣、雷槌(らいつい)!」


 迫るイヅナの剣。しかし、ジェイルはイヅナの剣を的確に払ったのだ。


「あれを拳で払うかよ!」


 オベイルの驚きも(もっと)もだ。

 振り下りてくる剣に向かい、素手で剣の面を捉え、手の甲で押し払う。


竜爪(りゅうそう)叉拏(しゃな)掌底(しょうてい)……!」


 何あれ、私まだ習ってない。

 つまりあれか、竜剣の素手バージョンというやつか。


「ぬん!」


 それを起点とし、イヅナが横から払う。


「はっ!」


 残った右腕でジェイルが上段からそれを迎え撃つ。

 一手一手が強力かつ繊細。これは……勿体ない。


「ミック、何だそのだらしない顔は?」


 リィたんが聞く。


「いや、この戦闘、金をとらずに見るのはどうかと思いまして」

「帰ったらミナジリ領にコロセウムを造るか」

「そうしましょう」


 俺のこのどうしようもない商売根性を受け、動じないあたり、リィたんも成長しているのだろう。

 ドゥムガとかレミリアの戦闘も、考えてみれば興業になるじゃないか。

 何て勿体ない事をしていたんだ、俺は。


「お前等の感性は一体どうなってんだ……?」


 珍しくオベイルが呆れている。


「ギルドの武闘大会も良い宣伝ですからね。個別でそれを開催すれば、人も集まるし強者も集まる――ん?」


 と言ったところでオベイルが俺の胸倉を掴む。


「お前んとこの領……リーガル国のミナジリ領だったな?」

「えぇ」

「コロセウムが出来たら教えろ。遊びに行ってやる」

「お待ちしております」


 と言ったところでオベイルは俺の胸倉から手を放してくれた。

 なるほど、彼程の強者なら戦いの場がなくて困るのか。それは良い事を聞いた。

 さて、一向に決着のつかないこの戦闘をどう止めようか。

 そう思うのも束の間、とある一声(いっせい)によって戦闘が止められる。


「何をしておる?」


 ガイアスの作業場から出てきたのは、皇后アイビス。

 皇后という印象からかけ離れている炭で黒ずんだ顔。

 剣を止めたのはイヅナ。それに呼応してジェイルが剣を納める。

 視線は鋭いまま……だが、いち早くジェイルが言った。


「イヅナよ、我が剣の秘密を知りたくばミナジリ領へ来い」


 ジェイル師匠、宣伝ありがとうございます。

次回:「その236 完成! 勇者の剣(仮)!」

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