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半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第一部

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231/930

その230 魔族四天王

 他の魔族たちが俺を襲う事はない。

 何故なら、近付けば一瞬でミンチにされる事を理解しているからだ。

 それだけ俺とスパニッシュが纏う魔力の渦は、濃く、殺意に満ちていた。

 睨み合うは一瞬。しかし、その沈黙は悠久のように長く感じた。

 二つの殺意が重なる刹那(せつな)、俺はスパニッシュに吸い込まれるように駆けだしていた。

 打刀(うちがたな)を振り上げた上段からの一撃、スパニッシュは余裕をもってそれを受ける。


「フン!」


 オリハルコンで出来た刀身を掴むと、スパニッシュは笑みを見せて言った。


「やはり大した事ないな」


 スパニッシュは片手でそれを引き、俺の身体をたぐり寄せ、強烈な拳を俺の頬に放った。


「っ!」


 吹き飛ぶ身体は水面で跳ねる小石の如く俺を大地に転がす。

 追撃に走るスパニッシュが跳び上がり鋭利な爪を伸ばす。


「くっ!」


 自ら転がりそれをかわすも、大地には爪で穿たれた大穴が形成されていた。

 なんつう馬鹿げた威力だ。こりゃ、戦力把握をしている余裕はないな。

 更に迫る攻撃を打刀(うちがたな)で受けるも。その威力凄まじく、一撃一撃に鈍痛が残る。


「カカカカカッ! 受けてばかりではないか!」


【解放】は勿論、【疾風迅雷】、【ヘルメスの靴】を発動。


「まずは! 受けられている事に驚くべきでは!?」

「くっ! 猪口才(ちょこざい)な!」


【パワーアップ】、【スピードアップ】、【ダークオーラ】を発動。

 これで何とか余裕が出来る。だが、実力を出し切っていないのは相手も同じ。


「カァアアアアアアッ!!」


 スパニッシュの両手に渦状の雷が(ほとばし)る。

 これは……【風雷(ふうらい)双手(そうしゅ)】!?

 その一撃を受けた瞬間、俺は一瞬にしてかち上げられ、上空へ飛ばされてしまった。


「っ! さ、流石……腐っても魔族四天王って事ね……!」

「まだ言うか貴様っ!」


 上空まで跳んで追い掛けてきたスパニッシュが肉薄する。

 がしかし――、


「くっ! 【サイコキネシス】か!」


【サイコキネシス】によるスパニッシュへの捕縛。だが、それはやはり一瞬。


「いやぁ……! ほんと……参っちゃいますね!」


 スパニッシュによる【サイコキネシス】が発動し、その捕縛が徐々に解かれていく。

 互いに降下しながら【サイコキネシス】をぶつけ合うも、やはりスパニッシュに一日(いちじつ)(ちょう)がある。


「クククク、大した成長だが……やはり赤子の如き児戯」

「それは……朗報……ですね」


 だが、それはわかっていた事。


「何?」

「これで赤子なら……私が成人になれば、貴方を一瞬で葬れる力を持つ事になる……ははは!」

「減らず口を。はぁああああ!」

「ぬ、くくくっ!」


 余り使いたくないが、使う他ない。


「っ! はっ!」

「馬鹿な!? それは火魔法の【ヒートアップ】!? それに何だその蒸気は……!?」


 身体を炎の如く熱くし、身体能力を向上させるジェイルの魔法。

 正直、これと【解放】の併用はしたくなかった。何故ならこの二つは、同系統の効果をもっているからだ。【解放】は血の巡りを加速させる能力。【ヒートアップ】は外部からそれを行う魔法。併用すれば身体の負荷が尋常じゃない。

 だが、いくしかないし、やるしかないのが戦争だ。

 互いに着地した時、俺は顔を上げてスパニッシュに言った。


「父上……攻守交代です」

「吸血鬼のなり損ないが、ぬかせ!」


 今度は両者が駆け出す。

 一合、また一合ぶつかるオリハルコンの刀身が、何度も鈍い音を発する。


「後手の(きわ)み、竜剣、流舞!」


 流水のように動き、スパニッシュの無数の攻撃にカウンターで食らいつく。


「フハハハ! ジェイルの剣か! 吸血鬼ならばその手で、その牙で勝負してみろ!」

「そんな安い挑発に乗るほど甘くありませんよ!」

「ならば今一度食らえ!」


 再び【風雷(ふうらい)双手(そうしゅ)】! だが、二度同じ手は食わない。

【身体能力強化】、【身体能力超強化】、【瞬発力向上】を発動!

 (ねじ)り込むようなスパニッシュの一撃に対し、強引に合わせる。


「「オォオオオオオオオオッ!!」」


 直後、周囲に爆風ともいえる突風が拡散した。

 吹き飛ぶ魔族やモンスター。その中心には俺とスパニッシュ二人だけ。

 衝突がバチンと弾け互いに後方に跳ぶも、再度大地を蹴ってぶつかる。

 三度(みたび)それが繰り返された(のち)、スパニッシュがピタリと止まる。


「……ふん、確かに異常な成長とも言える。だが、その程度では我に傷一つ負わせる事も出来ぬわ!」


 スパニッシュの体表に異常な太さの血管が浮き上がる。

 来る……!


「っ!? ぐはっ!?」


 瞬間、俺の腹部にとてつもない衝撃が走る。

 全ての耐性能力を発動していてもこの威力。

 俺は血反吐を吐きながらよろよろと後退する。


「はぁはぁはぁ……一瞬気を失いかけましたよ……」

「これが我の【解放】だ」


 これこそが、魔族四天王――スパニッシュ・ヴァンプ・ワラキエルの本気。

次回:「その231 激闘」

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― 新着の感想 ―
[良い点] ストーリーテリングがうまいですね。さすが現役ラノベ作家といったところでしょうか。 [気になる点] 物語序盤の導入がちょっとあれですね。魔族が人を食べる理由が何なのか、納得できる説明がないと…
2020/10/20 03:48 退会済み
管理
[一言] まんまギア2か血壊じゃないですか
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