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その22 ミケラルド様の異能

 ジェイルに言われるがままにリーガル国への国境を目指していた俺たちだが、先日の冒険者たちとの遭遇以来、どうしても人間たちと出会ってしまう。

 何故ならここは魔界ではなく人界だから。人間だった俺が言うのもなんだが、人間って本当にどこにでもいるんだなと思う。

 そんな中、俺たちは変な冒険者たちと出会ったのだ。いや、変だったのは四人の内一人の冒険者の事だ。

 勿論、戦力自体は先日の冒険者たちと何ら遜色ないレベルだ。当然、いつものように俺たちに襲い掛かってきたのだが、その中の一人だけ、やたらビビっている盗賊風の軽装の男がいた。主にビビっていたのは、リィたんを見た時だ。最終的に腰を抜かしたくらいだ。

 何故ビビったのかは、血を吸い、血の呪縛によって記憶を操作し、彼らを解放した後に気付いた。


「何だこれ?」


 ミケラルド:吸血鬼

 ◆魔法◆

 火魔法:フレイム・フレイムボール・フレイムランス・ヒートアップ・ブレス

 土魔法:砲岩・地走る蛇・土塊(つちくれ)操作

 雷魔法:サンダー・疾風迅雷・雷の領域(スパークホール)

 風魔法:エアスライス・浮遊滑空・ヘルメスの靴

 闇魔法:ダークヒール・暗衣(あんい)

 光魔法:天使の囁き(エンジェリックヒール)・アシスト・ヒール・パワーアップ・スピードアップ

 ◆技◆

 竜剣

 ◆特殊能力◆

 血鎖の転換(ブラッドコントロール)・解放・呪縛・超能力・身体能力強化・バイトクラッシュ・硬化・身体能力超強化・破魔の一矢・強撃・三連撃・罠感知・鑑定

 ◆固有能力◆

 超聴覚・嗅魔・超回復・威光・闘志


 視界に広がる数多き情報。

 俺は首を捻らせながら間の抜けた声を出してしまった。


「どうしたミック?」

「リィたん、何か視界に俺の情報がずらっと出て来たんだが、何だかわかる?」

「何?」


 そう言ったのはジェイルだった。

 俺に近付き、しゃがんで俺の目を覗き込む。

 あの、すみません。顔が怖いっす。


「やはりか」

「何がやはりなんでしょう?」

「人間の特殊能力『鑑定』の力だ。自身に発動している時は、その者の目を注視すれば多少の情報は読み取れる。まぁ、そこまでやる者はそういないがな」

「それが何故ミックに現れている?」


 リィたんは不可解そうな顔をしてジェイルに聞いた。


「……ミック、微かにお前の瞳から火魔法の情報を読み取れた。他に何がある?」

「え? えっと、土、雷、風、闇、光魔法ですね。それと……竜剣?」


 俺がそう言った瞬間、ジェイルの目が物凄く怖くなった。

 そして、リィたんの目も、やたらマジになっているのだ。

 ポケっと突っ立っている俺とナタリーを置いてかないで欲しい。


「水属性以外全ての魔法を使える吸血鬼だと? 私は未だかつてそんな存在を知らぬな」

「何故ミックが竜剣を……? いや、まさか」


 ジェイルとリィたんはハッとした様子で互いに見合った。

 え、いつの間にそんなに仲良くなったの?

 そんな事を考えていたら、リィたんが俺に近付いて来た。


「よ、よろしいのですか?」


 何かジェイルだけがリィたんの行動の意図に気付いているようだった。


「構わぬ、どうせ添い遂げると決めた身だ。ミック、上を向いて口を開けろ」

「え、こうれすは?」


 するとリィたんは、俺の口の上に拳を近付け、強く握ったのだ。直後、俺の舌先に赤い雫が落ちた。


「うぇ!? ちょ、な!? 何やってくれちゃってんですか!?」


 リィたんの血を飲んでしまった!?

 困惑する俺だったが、リィたんとジェイルの顔は至って真面目である。


「ミック、もう一度鑑定を使え」

「え? えっと……こう、かな?」


 と言われた直後、目を凝らすようにすると、俺は再び鑑定を発動する事が出来た。


 ミケラルド:吸血鬼

 ◆魔法◆

 火魔法:フレイム・フレイムボール・フレイムランス・ヒートアップ・ブレス

 水魔法:ウォーター・水球・金剛斬・津波・大津波

 土魔法:砲岩・地走る蛇・土塊(つちくれ)操作

 雷魔法:サンダー・疾風迅雷・雷の領域(スパークホール)

 風魔法:エアスライス・浮遊滑空・ヘルメスの靴・突風・エアウォール・呼び戻しの風・探知

 闇魔法:ダークヒール・暗衣(あんい)

 光魔法:天使の囁き(エンジェリックヒール)・アシスト・ヒール・パワーアップ・スピードアップ

 ◆技◆

 竜剣

 ◆特殊能力◆

 血鎖の転換(ブラッドコントロール)・解放・呪縛・超能力・身体能力強化・バイトクラッシュ・硬化・身体能力超強化・破魔の一矢・強撃・三連撃・罠感知・鑑定・水龍眼

 ◆固有能力◆

 超聴覚・嗅魔・超回復・威光・闘志・龍の血


 ……ふむ、お馬鹿な俺でもわかってきたぞ。

 これはもしかして、相当チートな能力なのではなかろうか?


「どうやらまさかのようだな」


 ジェイルは再び俺を覗き込む。しかし、今度は先程のような怖さはなかった。リィたんも腰を下ろし、優しく、しかし強い目で俺を見た。


血鎖の転換(ブラッドコントロール)か。あやつ以来初めての出現だな」

「えぇ、人界に入った後でよかったです」


 血鎖の転換(ブラッドコントロール)……はて、どこかで聞いた事があるような気がする。

 あぁ、そうだ。ワラキエル家の書庫に忍び込んだ時、読んだ本の最後に書いてあったやつだ。


「ミック、お前のその特殊能力は、魔王陛下と同じ能力だ」


 と言われた直後、ナタリーは顔をヒクつかせながら一歩引いた。


「おいちょっと待てナタリー! おかしいだろその反応!」

「だ、だってミックが魔王と同じ能力持ってるんでしょっ? 怖がらない方がおかしいって!」

「くそ! 何も言い返せない!」


 そんな一瞬のやり取りを見てか、ジェイルとリィたんは苦笑する。はて、何か寒いギャグでもかましてしまったのだろうか?


「ミックはミックで変わりないという事だ」

「そう、私と共に生涯を過ごすのだ。それくらいでなくては困る」


 ったく、リィたんからのストーキングはいつまでも続きそうだな、これ。そうか、だからさっきの盗賊風の冒険者はリィたんを見て怖がってたんだな。

 確かに、大津波とか放たれた日には町一つ陥落するだろうな。

 しかし、驚いた。まさか魔王と同じ特殊能力を持っていたとは。

 なるほど、だからナタリーを助けた時、光魔法を使えたのか。言われてみれば、ドゥムガのバイトクラッシュや嗅魔、アンドゥの硬化、そして使えなかった超回復まで覚えている。

 雷魔法はまだ使えなかったはずだが、これもドゥムガの血を吸った事が原因で使えるようになっていたのか。アンドゥ戦の時、これに気付いていれば楽が出来たのに……!

 となると、身体能力強化はナタリーの血で得たものか。並び順から考えておそらくそうだな。という事は超聴覚もナタリーからだな。ハーフエルフのナタリーの固有能力みたいだが、エルフとは違うのだろうか。謎い。

 身体能力超強化の方はジェイルの血か。竜剣ってのと、威光もそうだろうな。

 それ以降の特殊能力は、これまで出会った冒険者からだろう。そう考えると、人間の固有能力は闘志って事になるのか。

 んで、リィたんから得た水魔法と風魔法、そして水龍眼と龍の血か。

 威光とか含めてジェイルたちに色々聞かなくちゃいけないな。

 まぁ、とりあえず、今後も出来る限り血を吸った方が、俺は長生き出来るって事に繋がるんだろうな。

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