表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

228/930

その227 辞退の理由

 神速で胸倉を掴まれた俺は、背中と壁が絶賛濃厚接触中である。

 俺の胸倉を掴んでいる鬼は剣というオベイルでした。


「どこか間違ってると思わないか?」


 読心術だろうか。

 まぁ、彼は俺のオベイル配列に気付いた訳ではない。

 俺の選択に対して間違っていると言っているのだ。


「ここを守る訳でもなし、北東で軍隊を迎え撃つ訳でもない。尻尾巻いて逃げ出すってか? あぁ!?」

「誰も逃げるなんて言ってないですよ」


 俺はオベイルのゴツゴツの手の上に、自らの手を置き、それを引き剥がした。


「ボン、何か策があるのだな?」

「別に、策という程のものではありませんよ」

「聞かせろ」


 根っこの部分は熱血漢だよな、オベイルって。


「私が辞退するのは冒険者としての仕事です。そうすればここを守らずに北東に行ける」

「おいおい、お前ぇだけ抜け駆けかよ!?」

「いやいや、オベイルさんはここを守ってくださいよ」

「確かに俺と爺ならよく勝負してっから連携はとりやすい。お前がいない方が動けるだろう。だが、お前一人で行かせる程、俺も爺も腑抜けてねぇぞ?」


 あらやだ、意外にかっこいいじゃない、この人。

 俺の中でオベイルの株が徐々に上がっている中、アイビス皇后が俺に言った。


「それは、我が法王国の総意に対する返答という事でいいのか? ミケラルド殿」


 今アイビス皇后は、「たとえ冒険者だろうが、法王国との関係が悪化するぞ」と遠回しな脅迫をしている。だが、それも想定済みだし、国としては当然の事なのだろう。


「とんでもない事でございます。この【ミケラルド(、、、、、)オード(、、、)ミナジリ(、、、、)】、是非法王国に協力させて頂きたく存じます」


 この芝居がかった言葉で皆気付いたのだろう。

 ストラッグが驚きを露わにして言った。


「まさかリーガル国としてこの戦に参加されると仰るのか、貴方は!?」

「法王国とガンドフ両国の窮地とあらば、陛下も参戦を望まれる事でしょう」


 まぁ、念のためランドルフに確認はとったけどな。

 丁度ブライアン王と一緒にいたらしいからその場で許可が下りた。

 というか、これでブライアン王に俺がテレパシーを使える事がバレてしまったのだ。

 まぁ、言っても問題ないし別にいいだろう。


「随分と妙な事を言う。個が国だと?」

「いえいえそんな事を言うつもりはありません。ミナジリ領の配下がいます」

「今から間に合う訳が――」

「――おそらく、アイビス皇后の実力を考えると……冒険者時代はSSS(トリプル)だったのでは?」

「それが今何の関係がある?」

「「――っ!?」」


 最初に気付いたのは剣神イヅナだった。

 次に剣鬼(けんき)オベイル。そして、年齢により実力がSS(ダブル)程になったアイビスが気付く。

 きょろきょろと皆を見るマイア、そしてストラッグが気付く。


何奴(なにやつ)っ!?」


 ゲストルームの扉に向かって叫んだ。

 そう、扉の外に俺の仲間がいるのだ。俺とアイビス皇后の会話から、仲間はアイビス皇后の実力でも察知出来るよう、気配を表に出したのだ。

 アイビス皇后は俺を見ると共に、その中身すら覗こうとするような目を向けた。

 是非そういう目はやめていただきたい。

 俺は案内するように手の平で扉を指し、言った。


「配下です。不測の事態故、待機させておりました」


 アイビス皇后は許可の頷きを見せると、ストラッグが恐る恐るその扉を開けた。


「ほぉ? やけに面白い面子だな、ミック(、、、)?」


 こんな態度、誰にでも許されるはずがない。

 だが、彼女(、、)なら許されてしまうのだ。


「ふむ……確かに面白い」


 きっと、()の記憶に残っているのだろう。


「ご紹介します、リィたん(、、、、)ジェイル(、、、、)です」


 沈黙は破られない。

 何故ならイヅナ、アイビス皇后、オベイルという実力者は皆沈黙を貫いているからだ。

 いや、そうじゃない。剣神イヅナでさえ気付けなかった二人の実力に驚愕しているのだ。


「爺……気付いてたのか……?」

「いんや? だが、ボンの策に確実性が増したのは事実だな」


 オベイルとイヅナの反応を見るに、既に血が騒いでるみたいだな。

 今にもリィたんに襲いかかろうとしているようにしか見えない。ったく、どっちが魔族かわからんな、こりゃ。


「リィたん……聞いてるぜ? Z区分(ゼットくぶん)なんだってな、アンタ? で、そこの仏頂面のジェイルって男は何だ?」

「私の師匠です」

「……なるほど? いや全然わかんねーけどな」

「実力は示したはずですよ」

「で、その二人が何故ここにいる?」

「護衛の仕事が終わったらガンドフで合流する約束をしていたので」


 ついさっき転移してきたから、めっちゃ大嘘なんだけどな。

 そろそろミックスマイルに(ひび)が入りそうだが、アイビスがその緊張を解いてくれた。


「……わかった、ウェイド(、、、、)殿に連絡をつけよう」


【ウェイド・ガンドフ】……このガンドフの国王か。

 どうやらガンドフにはミドルネームの文化はないようだ。

 ゲストルームから出て行ったアイビス皇后の連絡次第だが、いかんせんもう時間がない。

 おそらくリーガル国の戦争介入には、許可が下りるだろう。

 だが、このゲストルームの緊張感という名の幕は、誰が下ろしてくれるのだろう。

次回:「その228 出陣、ミナジリ軍!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓連載中です↓

『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』
【天才×秀才】全ての天才を呑み込む、秀才の歩み。

『善良なる隣人 ~魔王よ、勇者よ、これが獣だ~』
獣の本当の強さを、我々はまだ知らない。

『使い魔は使い魔使い(完結済)』
召喚士の主人公が召喚した使い魔は召喚士だった!? 熱い現代ファンタジーならこれ!

↓第1~2巻が発売中です↓
『がけっぷち冒険者の魔王体験』
冴えない冒険者と、マントの姿となってしまった魔王の、地獄のブートキャンプ。
がけっぷち冒険者が半ば強制的に強くなっていくさまを是非見てください。

↓原作小説第1~14巻(完結)・コミック1~9巻が発売中です↓
『悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ』
神薬【悠久の雫】を飲んで不老となったアズリーとポチのドタバタコメディ!

↓原作小説第1~3巻が発売中です↓
『転生したら孤児になった!魔物に育てられた魔物使い(剣士)』
壱弐参の処女作! 書籍化不可能と言われた問題作が、書籍化しちゃったコメディ冒険譚!
― 新着の感想 ―
[良い点] やっと展開が動きそうでオラわくわくすっぞ! [気になる点] 俺の胸倉を掴んでいる鬼は剣というオベイルでした。 「どこか間違ってると思わないか?」  読心術だろうか。  まぁ、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ