表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

215/930

その214 リプトゥアのダンジョン4

「さて、最後のゾーンだな」


 そう言いながら二十六階層へ降りると、そこはランクA冒険者にとっては正に地獄のような場所だった。


「うわぁ……オールスターじゃないか」


 グリーンワーム亜種、ロックキューブ、エビルゾンビ、キラービーエース、銀狼に金狼。サイクロプス、レッドデッドボア、リンクモンキーにアサルトカメレオンと勢揃いである。

 この二十六階層含め五階層もこいつらとやり合うと考えた時、俺の肩はガクリと下がる他なかった。


「なら、これまで使わなかったコレかな!」


 大きく息を吸い込む。そして極大の音圧と共にそれを吐き出す。


「オォオオオオオオオオオオオッ!!!!」


 この【遠吠え威嚇】により、周囲の緊張が明らかとなる。眼下に見えるアサルトカメレオンは、完全に萎縮してしまっている。

 俺が駆けると同時に、緊張の糸が切れるも混乱は避け得なかった。

 銀狼を斬り、ロックキューブを斬る。

 他のロックキューブの反応により、熱光線が照射。

 しかし、その熱光線を上手く誘導すれば、サイクロプスの背中に直撃する。

 サイクロプスはロックキューブを睨み、敵と認識したのか、叫び声を上げながらロックキューブを掴み、放り投げた。

 これによりロックキューブたちの攻撃対象は俺からサイクロプスに移る。

 それを他のモンスターでもやってやれば、辺り一面大混乱祭りである。

 ロックキューブという獲物の取り合いでモンスター同士の抗争が起き、更に別種が参戦すれば抗争は大抗争へと変わり、エビルゾンビの強酸が吐かれればその異臭を攻撃と判断したリンクモンキーが仲間を呼んで波となる。

 俺はそれを横目に見ながら呟く。


「なるほど、これは設計ミスだな」


 とは言え、この大乱闘地帯を超えるのは至難の業と言えるだろう。

 邪魔な奴だけ倒し、手に入れたばかりの【擬態(あらた)】を使い、周囲の警戒には【散眼】を使う。そして、鼻歌交じりに階段へ向かえばこの階層の攻略は成ったようなものだ。

 階段が見えると同時に宝箱の出現。モンスター同士が倒し合っても数にはカウントされるという新たな知見を得る。

【遠吠え威嚇】の意外な使用方法だったが、今後も役に立ってくれそうだ。


「残念、外れ」


 そんな流れを繰り返し、あっという間に三十階層を攻略し、最終階層へと着くのだった。


 ◇◆◇ ◆◇◆


「……神殿?」


 階段を降りると、造形が凝った神殿のような建物が目の前に見えた。

 水色に統一された人工的とも言える石柱を横目に、俺は溜め息を吐いてしまった。


「何か、出現するモンスターが想像出来てしまう……」


 このゲーム脳をどうにかしたいものだが、この世界から見ればこれは過去の遺産。当然、攻略には役立つ。しかし、同時に落胆してしまうのも無理はない。

 神殿に入るなり見えたのは巨大なプール――もとい水浴び場のような一帯だった。

 奥にはやはり宝箱と光り輝く大きな葉が見える。あれが【イグドラシルの葉】だろう。

 相手モンスターが水属性だという事は明らかだった。

 プールに近付くと姿を表す巨大な黒い(かに)

【鑑定】情報によると【デスクロークラブ】と見えたが、それはどうでもよかった。

 何故なら俺は、水龍リバイアタンの血を吸った男。

 水龍リバイアタン……リィたんから得た能力は二つ。【龍の血】と……、


「水龍眼」


 俺がデスクロークラブを見るや否や、奴の動きはピタリと止まってしまった。

 水龍眼――下位モンスターへの絶対威嚇と萎縮。

 実力的に勝っているであろう俺が発動してしまえば、ランクAダンジョンのボスであろうとそれは下位扱いなのだ。


「とんだ肩すかしだった……」


 そう、俺が落胆した理由は、相手が水属性モンスターだったからだ。

 だが、水龍眼の威力も確認する事が出来たし悪い結果ではない。


「二週目に攻撃パターンと対策を検証するかー」


 そうぼやきながら、蟹ちゃんの体液をじゅるり。


「うま!? いやうま!? めっちゃ美味い!」


 すまん、デスクロークラブ……落胆したのは間違いだった。

 今日は……蟹鍋だ!


 ◇◆◇ ◆◇◆


「美味い」

「いやジェイルさん、そんな真顔で言われても……」

「超美味い」


 黙々と蟹の身を食べ続けるジェイルを脇目に、俺は頬杖を突きながら隣を見る。


「はぐ! はむ! んん~~~っ!」


 どこぞのハーフエルフもとても嬉しそうである。

 デスクロークラブのサイズは水龍バージョンのリィたんの半分程。

 身だけで言えば、かなりの量になるだろう。

 ドゥムガやクロードたちにも差し入れし、何故かネムはナタリーの隣で同じように唸っている。


「確かに美味。ミナジリ領の食糧問題……というより名産になるのではありませんか?」


 そして何故かシレっといるニコルから(もっと)もな意見が出る。


「やっぱりそう思います?」

「えぇ。あ、おかわりです」


 仮にも貴族という事を忘れられている気がする。

 まぁ、相手はニコルんである。俺は笑顔でおかわりを盛り付けるのだ。


「ならば私が潜ろう」

「うぇ、本当ですか?」

「食料調達はシェフの仕事だ。それに、そこであればドゥムガとレミリアのいい訓練となるだろう」

「確かに」


 ちゃっかりレミリアを労働力として考えてるあたり、ジェイルも人間界が板についてきたのだろう。

 イグドラシルの葉とデスクロークラブという食材に、リプトゥア国ダンジョンの真価を見出した俺たちは、着々と立国への準備を進めるのだった。

次回:「その215 旨味出汁」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓連載中です↓

『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』
【天才×秀才】全ての天才を呑み込む、秀才の歩み。

『善良なる隣人 ~魔王よ、勇者よ、これが獣だ~』
獣の本当の強さを、我々はまだ知らない。

『使い魔は使い魔使い(完結済)』
召喚士の主人公が召喚した使い魔は召喚士だった!? 熱い現代ファンタジーならこれ!

↓第1~2巻が発売中です↓
『がけっぷち冒険者の魔王体験』
冴えない冒険者と、マントの姿となってしまった魔王の、地獄のブートキャンプ。
がけっぷち冒険者が半ば強制的に強くなっていくさまを是非見てください。

↓原作小説第1~14巻(完結)・コミック1~9巻が発売中です↓
『悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ』
神薬【悠久の雫】を飲んで不老となったアズリーとポチのドタバタコメディ!

↓原作小説第1~3巻が発売中です↓
『転生したら孤児になった!魔物に育てられた魔物使い(剣士)』
壱弐参の処女作! 書籍化不可能と言われた問題作が、書籍化しちゃったコメディ冒険譚!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ