表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

212/917

その211 リプトゥアのダンジョン1

「ちょっとちょっと! 本当に一人で行く気ですか!?」なんてキッカに言われたけど、ランクBとランクAのダンジョンでそう変わるとは思えない俺は、止めるキッカをさらりと受け流してダンジョンへ入って行った。

 キッカ、ラッツ、ハンで構成されたパーティー――緋焔(ひえん)。彼らがダンジョンをクリアしたという情報は得られなかった。何故なら彼らが潜ったのは二十階層まで。

 クリアした冒険者は限りなく少ないそうで、やはりその報酬は莫大なものだった。


「最下層にある【イグドラシルの葉】は、煎じて飲めばどんな病気や怪我もたちどころに治ってしまうんですよ!」


 そんなキッカの説明を思い出す。

 回復に関しては天使の囁き(エンジェリックヒール)があれば問題ないと思っていたが、病気に効くと聞けば、それはそれで非常に有用である。

 是非ともいくつかストックしておきたいところだ。

 そう思い、歩を進める事数分。

 早速新モンスターと対面する事が出来た。

 現れたのは……グリーンワーム亜種。


「え、キモい」


 そう零してしまったのも無理はないだろう。

 通路の八割を占領した巨大な身体でこちらへ向かってくるのだから。

 しかし、こいつはかつてドマーク商会の護衛をした後に倒しているモンスターだ。

 動きもある程度予測がつくし、バージョンアップしたオリハルコンの打刀(うちがたな)を使えば……あっという間に輪切りワームへと変わる。

 しかし流石ランクA。これ一般の冒険者はどうやって戦うんだろうか。

 緋焔(ひえん)ならばと考えると、ラッツがグリーンワーム亜種の攻撃を引き受け、ハンが攪乱しつつ遊撃し、キッカが補助といった具合か。

 ランクSのダンジョンくらいになると、俺もパーティーを組むべきなんだろうなと、思いつつ先を急ぐ。


「これか、キッカが言ってたランクAのご褒美モンスターってのは」


 別に何かくれる訳ではない。攻撃しない限り全く動かないというだけで、流れ弾もとい流れ魔法でも当たれば、非常に強力なモンスター……それがこのロックキューブだ。

 一メートル程の立方体の身体を通路の至る場所に置き、中央にある一つ目だけがこちらを向いている。


「これも中々キモい……」


 この場には五匹。ならばと思い、攻撃を仕掛けてみる。

 一瞬で二匹を切断するも、三匹目が反応した。


「おっと、同種が攻撃を受けた場合でも反応するのか!」


 一つ目部分が細くなり、中心から光線が放たれる。

 岩肌の壁を一瞬で焦がす程の威力。強力な熱光線だな。

 かわしながら距離を詰め別の攻撃を待つも、それが変わる事がなかった。

 ロックキューブの攻撃手段は熱光線のみだと理解する。


「固定型砲台みたいなモンスターだったな」


 五匹倒し、一匹の破片をすりつぶして水で溶いてごっくん。

【熱光線】と【静音】の【固有能力】を得る。

 一階層を練り歩き、別のモンスターを探すも、グリーンワーム亜種とロックキューブ以外は見当たらなかったので二階層への階段前にやってくる。


「【技工師の首輪】? こりゃ領地の発展に使えそうだな」


 二階、三階とモンスターの数を調整をしながら潜り、宝箱の出現条件にある程度の目算がつくもモンスターの種類は変わらず。


「【怪力の指輪】と【怪力の腕輪】に【豪魔の腕輪】ね~、マッキリーで手に入れたアイテムの上位互換かな」


 と、肩すかしをくらいながらダンジョンを進むも、五階の宝箱は外れだった。

 残念に思いつつも、ここは全三十階層と非常に難度の高いダンジョンである。

 警戒しながら六階層へ降りると、ようやく新たなるモンスターを発見した。


「もしかして五階層毎にモンスターが変わるのか?」


 現れたモンスターはエビルゾンビとキラービーエース。

 エビルゾンビは悪魔的筋力を持った怪力ゾンビ。

 キラービーエースは非常に素早い赤いキラービーである。


「うぉ!? 強っ!?」


 エビルゾンビの一撃を打刀(うちがたな)で受けるも、その威力凄まじく俺は後方へ押されてしまった。

【解放】だけでは対応しきれないと判断し、ここからは【いつものセット】で身体の強化を図る。


「エビルゾンビ、通常攻撃と……稀に酸を吐く、か」


 モンスターの攻撃を理解し、倒す。初回はやはり慎重になってしまう。

 だが、これをやるだけで、後の周回の速度が上がる。

 このキラービーエースもしっかり観察しなくては。

 ぶんぶんぶんと消えては現れるキラービーエース。確かに速い。

 フラッシュのように数メートルを移動する速度は侮れないが、弱点はその現れた瞬間だという事は明白だった。


「よっ!」


 指から出した【熱光線】でキラービーエースの羽を捉えると、その機動力は一瞬にして失われた。


「的確に遠距離狙えるヤツがいたら、楽勝だな」


 エビルゾンビからは【怪力】と【強酸】。

 キラービーエースからは【瞬歩】と【猛毒】の【固有能力】をゲット。

 まだ先は長そうだが、ちょっと面白くなってきたぞ。

 自己鑑定をして固有能力を見ながら俺は、いよいよ化け物染みてきた自分から目を背けつつ、更なる深部を目指した。

次回「その212 リプトゥアのダンジョン2」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓連載中です↓

『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』
【天才×秀才】全ての天才を呑み込む、秀才の歩み。

『善良なる隣人 ~魔王よ、勇者よ、これが獣だ~』
獣の本当の強さを、我々はまだ知らない。

『使い魔は使い魔使い(完結済)』
召喚士の主人公が召喚した使い魔は召喚士だった!? 熱い現代ファンタジーならこれ!

↓第1~2巻が発売中です↓
『がけっぷち冒険者の魔王体験』
冴えない冒険者と、マントの姿となってしまった魔王の、地獄のブートキャンプ。
がけっぷち冒険者が半ば強制的に強くなっていくさまを是非見てください。

↓原作小説第1~14巻(完結)・コミック1~9巻が発売中です↓
『悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ』
神薬【悠久の雫】を飲んで不老となったアズリーとポチのドタバタコメディ!

↓原作小説第1~3巻が発売中です↓
『転生したら孤児になった!魔物に育てられた魔物使い(剣士)』
壱弐参の処女作! 書籍化不可能と言われた問題作が、書籍化しちゃったコメディ冒険譚!
― 新着の感想 ―
[気になる点] エビルゾンビからどうやって力を得たのか創造すると……。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ