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半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第一部

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206/930

その205 破壊魔の動向

 ジェイルが出て行った後、俺とグラムスは互いに溜め息を吐いた。


「何故リィたんを下げた? 事と次第によっては袂を分かつ事になるぞ?」


 どの口が言うか。


「いつ我々が仲間になったんですかねぇ?」

「儂の視線を追いつつもリィたんの胸を見ていたじゃろう? 主はどう見ても我が同胞(はらから)よ」

「これだから人生経験豊富な爺は嫌いだ」


 俺は頬杖(ほおづえ)を突きながら悪態を吐く。


「ほっ、どうやら先にボロを出したのは坊主のようじゃったな! がははははは!」

「ボロじゃない。こうした方が手っ取り早いと踏んだだけの事さ」


 相手が相手だ。ここは貴族や商人ではなく、冒険者として話した方がいいだろう。


「その判断は間違いじゃないぞ? 儂もこちらの坊主のが話しやすいでな」

「それじゃ早速、別の用件について聞きたいね」

「ほう? 何故儂に別件があると?」


 グラムスが片眉を上げながら聞く。


「まだ帰れないって顔してるからだよ」

「……なるほど、素に戻った分、読みづらくなっとるな」

「化かし合いで年長者に勝てると思う程馬鹿じゃない。でも、精一杯抵抗はしてみるつもりだよ」

「ふ……良き判断よ」


 これまでの豪快な笑いではない、狸爺の笑みをようやく見た所で、話が前へ進み始めた。


「先に言っておくが、儂とて化かし合いをしに来た訳ではない」

「それじゃどんなお話で?」

「我が弟子についてじゃ」

「弟子?」

「先の武闘大会でケチョンケチョンにされたと聞いてな。そんな傑物がいるのかと好奇心が湧いてな。ハンニバル家の事はついでにここまで来てしもうた」

「武闘大会に魔帝の弟子が?」

「何じゃ? 破壊魔パーシバルを知らんのか?」

「…………いや、知ってる。すっごく」


 なるほど、師をあっという間に追い越したパターンか。

 破壊魔パーシバルが魔帝グラムスの弟子だったとは驚きだ。


「あぁ見えて義理堅い部分もあってのう。パーシバルめ、儂に告げ口しに来おった」


 発想はやっぱり子供だな。


「じゃが、その義理も最後だったようじゃ」

「どういう事で?」

「あれを最後に消息を絶った」

「まだ武闘大会から間もないはず。早計では?」

「普段言うはずの行き先をな、此度は言わなんだ。ありゃ危険じゃのう」

「だからと言って、俺たちはパーシバルの情報は持ってないよ?」

「そんな事はわかっておる。だからこそこの目で見に来たまでよ。パーシバルを追い詰めた理由をな」

「ま、それが俺じゃないって事は明白だよね」

「いや、あながちそうとは言い切れん」

「というと?」

「結果だけ言えばリィたんの実力が原因。だが、リィたんを従えているのは坊主……お主と聞いているが?」

「なるほどね、リィたんを従えた実力外の力も、パーシバルにとっては厄介……か」

「左様。リィたんの(あるじ)を知ればパーシバルの行き先も(おの)ずとわかると思ってここへやって来たが……――」

「――わからないと」

「お手上げじゃ」


 グラムスは両手を小さく挙げながらそう言った。

 すると、屋根裏から俺たちの下へ声が届いたのだ。


『ミケラルド様』

「……ラジーンか、いいよ降りて来て」


 すとんと着地するラジーンにグラムスが目を向ける。


「やはり只者ではないのう……」

「申し訳ありません。私の失策です」


 ラジーンはグラムスの侵入を自身の非として謝罪する。


「いや、相手が(まさ)ってただけでしょう。光魔法の【歪曲の変化】を使われたんじゃないかな? 実力ではラジーンが勝っていても、魔力量の多寡で見破れるか決まるあの魔法なら、屋敷に忍び込めても不思議はないよ」

「ほぉ、儂が使った魔法を読んでいたか」

「たまたまその魔法を知ってただけだよ。それに、最終的には捕まえられたしね」


 俺がそう言うと、ラジーンは小さく頭を下げた。


「ご配慮痛み入ります」

「そう簡単にラジーン部隊の警備をかいくぐるなんて出来ないんだよ。それでも抜かれたのであれば、それは相手が優秀だったに過ぎない」

「確かに、魔に通ずる優秀な警備がもう一人いれば、儂の侵入は失敗していたじゃろう」

「今後の警備の参考になったよ、ありがとう。それで、どうしたの?」


 ラジーンに聞く。


「破壊魔パーシバル――SSS(トリプル)の危険因子として存在する冒険者ギルドの(がん)。我らの間では彼はそう呼ばれていました」

「我ら?」


 グラムスの疑問を俺が止め、ラジーンは言葉を続けた。


「リィたんがZ区分(ゼットくぶん)の実力を有し、それを従えるSSS(トリプル)相当の実力者。この二つが揃い、破壊魔パーシバルが屈辱に塗れた時、行き着く先は一つだけ」


 ラジーンがそう言い切った時、俺は脳裏に過ぎってしまう。

 これまでラジーンが所属していた団体を。パーシバルならあり得ると思い浮かんでしまう行き先を。


「まさかっ!」


 俺が立ち上がりラジーンを見る。


「お、おい! どういう事じゃ! 我らとは一体何者の事なのじゃ!?」


 グラムスの荒ぶる声以上に、俺の身体が震える。


「破壊魔パーシバルが……闇ギルドに接触した可能性がある」


 あんなのが闇ギルドに入ったら、下手すりゃ国が一つ滅ぶぞ。

次回:「その206 集う傑人」

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