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半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第一部

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197/917

その196 帰還の祝い

「ただいまーっと」

「「おかえりなさいませ、ご主人様」」


 ハの字になり整列した使用人たち。中央で待つシュバイツが再度頭を下げる。


「ランクSに昇格なさったそうで、本当におめでとうございます。ミケラルド様」

「情報が早いね、ナタリーから?」

「えぇ、奥でお待ちにございます」


 テレパシーを使い、ナタリーには結果を報告している訳だが……はてさて、どこまで広まっている事やら。

 俺はシュバイツの後に続き、広間へ向かう。

 …………ん? 広間?

 扉を開けるや否や、俺の身体を叩く盛大な賛辞。


「「ミック! ランクS昇格おめでとう!!」」


 ナタリー指揮の下、ジェイル、クロード、エメラ、ランドルフ、ラファエロ、レティシア、リンダ、コリンが拍手しながら俺を迎える。

 余りの出来事に俺は目を丸くしていた。


「ふふ~ん! どう? 私とレティシア、それとコリンのアイディアなんだよ!」


 ナタリーが小走りにやってきて、先日の落成式に負けない料理の数々に手を向ける。


「いや……驚いた。うん」


 それ以外、言葉に出来ない俺を見て、ナタリーがくすりと笑う。

 そして俺の手を引き、皆の下へ(いざな)うのだ。


「ほら、今日は主賓なんだからドンと構えて! ね、ご主人様♪」


 心なしか、ナタリーがいつもより優しい気がする。


「はっはっはっは! どうだ、ミック! レティシアとナタリー、そしてコリンのアイディアだぞ!」

「ランドルフ様、今しがたナタリーに聞きました」

「そうかそうか! はっはっはっはっは!」

「でも何故ここに? シェルフと同盟を組んで間もない今の時期は、かなりお忙しいのでは?」

「流石よくわかっているな。何、間もなくシェルフより視察団がやって来るのでな。首都リーガルに移り住むエルフが何人かいるらしい」

「へぇ、リーガル国にも……」

「ふふふふ、ミナジリ領はまだリーガル国だったはずだが?」

「おっと、これは失礼しました」

「構わんよ。バルト殿の話では、ミナジリ領への移住希望者は殺到していたそうだぞ」

「という事は……」

「うむ、その余剰希望者を首都リーガルにという話だ」

「つまり、視察団とは言っても、その方々は移住希望者……って事ですか」

「自分が住むかもしれない地を見たいというのは至極当然の事だ」

「その通りですね」

「さぁ、パーティだぞ! この前呑めなかった分、今日は付き合ってもらうぞ、ミック! ははははははっ!」


 このおっさん、あの落成式、本当に楽しみにしてたんだな。

 なるほど、だからこのメンバーか。

 その後俺は出稼ぎに向かったリィたんを呼び戻し、パーティーを楽しんだ。


 ◇◆◇ ◆◇◆


Z区分(ゼットくぶん)? 何だそれは?」


 パーティーが落ち着いた頃、俺、ジェイル、ナタリー、リィたんの初期メンバーはバルコニーに集い、冒険者ギルドで聞いた事を二人に話していた。

 ジェイルの疑問にリィたんが肩を竦めて答える。


SSS(トリプル)の冒険者で対処出来ない……まぁ規格外の存在の事だ」

「つまり、リィたんがそれに該当すると?」


 ジェイルが聞く。


「間違いなく。五色の龍が該当するので、霊龍もそうなんでしょうね」


 俺の説明に、リィたんがすんと鼻を鳴らす。


「霊龍が聞いたら天か地が割れるな」


 どちらにしろ割れるんだ。


「それ以外にはどんな事聞いたのー?」


 ナタリーが顔を覗かせるように聞く。


「ん~、ランクの上げ方とか?」

「あ、それ気になる!」

「ギルドが回すランクSの依頼をこなすだけ」

「何それ? いつもと同じじゃない?」

「こちらが選ぶ事は出来ない指名制の依頼だよ。しかも、範囲は世界中」

「うぇ!? 世界中!?」

「考えてもみなよ、ランクAの依頼ですらまだ受けた事ないんだよ? ランクSの依頼なんてほとんどないよ。それに、十年待てばランクAの冒険者がランクSに上がれるんだから、俺たちに回ってくる事なんてほとんどないって」

「おっと、そいつはわかんねぇぞ」


 そんな俺の話を割って入るような声が聞こえた。

 振り返るとそこには、首都リーガルのギルドマスター、ディックがいた。


「あれ、ディックさん? いらっしゃい」

「ミケラルド、お仲間とはいえZ区分(ゼットくぶん)の話をするのは頂けねぇぞ。ちゃんとその話は聞いたんだろ?」

「えぇ、『あらぬ混乱を招くため、口外はご遠慮ください』って言われました」

「で、話したと?」

「禁止はされなかったのでいいのかと」

「ぐっ……! そ、その件については後程修正を加えよう」

「それで、『そいつはわからねぇ』ってどういう意味ですか?」


 先の話に焦点を向けると、ディックは溜め息を吐いた後話してくれた。


「十年ランクAだった人間のほとんどは、それ以上(、、、、)を望んでいない場合がほとんどだ。だから、必然的に武闘大会の上位入賞者が指名される事が多い」

「へぇ」

「その上位入賞者、そして覇者もランクSの依頼には手を焼いている状況。その中で健闘してるのがあの【剣聖】や【魔帝】って話だな」


 やっぱり、ランクSの中でもレミリアは優秀だったんだな。


「で、その魔帝が失敗した依頼ってのを俺が持って来たって訳だ」

「「……へ?」」


 最近戦い通しだからそういうのはちょっと……。

次回:「その197 強い癖」

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