表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/917

その18 来たぞ人界!

 下乳!

 おっと、これ以上見ると、ナタリーに引っかかれてしまう。

 しかし話すとなると、身長から見上げなければいけないからどうしても下乳が見えてしまう。

 リバイアタンのやつ、俺に話しかけてくれないものか……。


「おいミック」

「はい喜んで!」

「ミックゥウウウウッ?」

「あー、ごめんごめんごめん! えー、で、なんでしょうか?」

「これから先どうするのだ? 我はこれより先の土地に明るくないのだ」

「とりあえずはナタリーの家に向かいます。場所はわかる? ナタリー?」

「んー、近くの町まで行ければ後はわかるよ」

「町の名は?」


 ジェイルがナタリーに聞く。


「シェンドの町」

「知ってますか、ジェイルさん?」

「少し遠いな。リーガル国の辺境の町の名前だ」

「国の名前はあってる? ナタリー?」


 念のため俺はナタリーに国の名前を確認した。いざ行って違いましたってのは怖いからな。


「うん、リーガル国であってるよ」

「リーガル国へはここから北、リプトゥア国を跨いで向かわねばなるまい」

「…………」

「どうしたミック?」

「そのリプトゥア国……紅茶が有名じゃありませんか?」

「よく知ってるな?」

「いや、なんでもありません」


 ミルクティーが飲めるといいな。

 その後、俺たちはオリンダル高山の高所にある洞窟を通り、何事もなく中を潜り抜けた。

 道中暗かったが、いつの間にか芽生えた俺の光魔法で洞窟内を照らすことが出来た。

 これにはリバイアタンも驚き、「面白い吸血鬼」だと言った。

 オリンダル高山の洞窟を出ると、そこは雪の白面が続く平原だった。

 ジェイルの話だと、この白面が途切れ、草原となったらそこは人界なんだという話だ。

 最初足取りは重かったが、徐々に、本当に少しずつだが、雪で足をとられなくなっていった。

 積雪が段々と浅くなっているのだろう。

 ナタリーはとても寒そうで、俺の上着を貸してやった。リバイアタンは全く寒がらず、もうホント、ごちそうさまです。


「ところでリバイアタンさん」

「なんだ?」

「自分の名前、呼びにくいと思った事ありませんか?」

「常々だ」


 変えろよ。


「ナタリーが愛称付けるのが得意なんですよ。リバイアタンさんがもしよろしければ……いかがでしょうか?」

「ふむ、悪くないかもしれんな」

「ほら、ナタリー」

「えーっとね~…………リィタン!」


 まんま過ぎてどうしようもない。

 これを元リバイアサンに名付けるとか喧嘩を売ってるとしかいいようがないぞ!?


「気に入った」


 本人が受け入れました。


「我はこれよりリィタンだ。各々忘れるでないぞ」

「……かしこまりました」


 ……気のせいかジェイルが緊張しているようにも見える。

 いや、それもそうか。怪獣というか海獣様だ。緊張しない方がおかしい。


「おいミック……」


 案の定ジェイルが小声で話しかけてきた。


「あの方をこれからどうするつもりだ。旅を共にするにしても緊張でこちらの神経がもたんぞ」

「そんなにヤバいんですかね?」

「性格はまだつかめぬが、もし怒らせれば町一つ、いや、国一つ崩壊させる力は持ってるぞ」


 神経がスーパノヴァ起こしそうだなそれ。


「実際リィタンって魔族四天王と戦ったら勝てるんですかね?」

「言っただろう? 嘆きの渓谷に入ろうとする魔族はいないと」


 魔族四天王ですら躊躇う実力の持ち主って事か。

 味方なのがせめてもの救い。いや、しかしこれが交渉の力って事だな。暴力以外の力って何て素晴らしいんだ。

 だけど……人界に行っても俺たちの居場所なんてないんだろうな。

 ナタリーの話を聞いた感じ、ハーフエルフであるだけで迫害。人里離れた場所でしか生活が出来ない。

 なら魔族だったらもう最悪って感じだよな。

 だからやるしかないんだ。自分だけの力で、自分の道を進むしか……!


「――っ!」


 うほ、雪に足をとられて……転ぶ! ……!?


「気を付けろ。少しの傷で旅には障害となるぞ」

「あ、ありがとうございます。ジェイルさん」

「もう、気を付けてよね、ミック!」

「ミック、そんなところで死ぬのではないぞ。お前は私が看取るのだからな」


 咄嗟に支えてくれたジェイルの腕に助けられた。

 いや……力を貸してくれる仲間がいる。皆でなんとかしなくちゃいけないよな。

 頑張ろう……絶対にこの世界で生き残ってやる!


 ◇◆◇ ◆◇◆


 旅をして初めて気付いた。

 ジェイルって本当にすげぇ……。狩りからモンスターの習性の把握、危険地帯の横断、その全てが的確で説明も上手い。

 ジェイルの火魔法と、リィタンの水魔法・風魔法のおかげで、狩りで得た毛皮を簡単になめしてしまった。

 流石リィタンだな。水魔法以外に風魔法も使えるのか。

 自身の体毛を魔力で硬質化させ、それを毛皮に通してナタリーとリィタンの衣服を作ってしまった。

 何このかっこいいお父さん?


 リィタンの下乳が見れなくなってしまったのは残念だけど、一言だけ、一言だけ言わせてください。

 横乳最高です!


「……ん?」


 先に見えるのは……緑?


「ほぉ、どうやら着いたようだな。ジェイル、そうだろう?」

「えぇ、ようやくというところでしょう」

「ナタリー! 人界だぞ!」

「うん!」


 魔界を追われ、吸血鬼、ハーフエルフ、リザードマン、リバイアサンの四人は、ようやく人界に着きました。

頑張って更新します。

1話2000字程度になりますが、応援宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓連載中です↓

『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』
【天才×秀才】全ての天才を呑み込む、秀才の歩み。

『善良なる隣人 ~魔王よ、勇者よ、これが獣だ~』
獣の本当の強さを、我々はまだ知らない。

『使い魔は使い魔使い(完結済)』
召喚士の主人公が召喚した使い魔は召喚士だった!? 熱い現代ファンタジーならこれ!

↓第1~2巻が発売中です↓
『がけっぷち冒険者の魔王体験』
冴えない冒険者と、マントの姿となってしまった魔王の、地獄のブートキャンプ。
がけっぷち冒険者が半ば強制的に強くなっていくさまを是非見てください。

↓原作小説第1~14巻(完結)・コミック1~9巻が発売中です↓
『悠久の愚者アズリーの、賢者のすゝめ』
神薬【悠久の雫】を飲んで不老となったアズリーとポチのドタバタコメディ!

↓原作小説第1~3巻が発売中です↓
『転生したら孤児になった!魔物に育てられた魔物使い(剣士)』
壱弐参の処女作! 書籍化不可能と言われた問題作が、書籍化しちゃったコメディ冒険譚!
― 新着の感想 ―
[気になる点] 吸血鬼って夜目が効かない設定? 「気を付けろ。少しの傷で旅には障害となるぞ」 ダークヒールは?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ