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半端でハンパないおっさんの吸血鬼生 ~最強を目指す吸血鬼の第三勢力~  作者: 壱弐参
第一部

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132/917

その131 会談と会議

「無論、時間は掛かるだろう。子爵とはいえ、下級貴族にも領地が与えられれば領民を守る義務がある。それを怠れば方々から糾弾されるしな」

「それについてはご安心ください。こちらにも考えがございます」

「ふっ、わかっておる。ミックの手際を疑ったりはせぬ。が、ランドルフの子飼い(、、、)として難癖を付けてくる貴族も多かろう。対応を違えるでないぞ」


 はい、その時は血を吸います。


「領土を明かしたからには、そこへやって来る貴族もいる。忍び込む輩もいる。領民を厳しく責め立てる者もいるだろう。ミックにとっては些細な事であろうが、領民にとってはそうでないかもしれぬ。それを、努々忘れるでないぞ」

「は、はい。ありがとうございます」

「領土の詳しい範囲は追って知らせる。その他質問があればランドルフに聞くといい」


 何とも……意外だったな。


 ◇◆◇ ◆◇◆


 そんな会談の後、俺はランドルフと一緒に、ゼフが御者を務める馬車に乗っていた。

 馬車の中で、ランドルフが俺に言う。


「考え事かなミック?」

「あ、いえ……陛下のお話がちょっと意外だったもので」

「ふふふ、それは私もだよ」

「え?」

「リーガル国は親政(しんせい)。陛下ご自身が政治を行う国だ。当然、我ら貴族への仕事を命じるのも陛下だ……がしかし、あそこまでミックに肩入れするとは思わなんだ」

「ですよね。こっちはその内建国するって宣言してる魔族ですよ?」

「当然、ただの厚意という訳ではあるまい。陛下のお考えの中には欲もあろう。だが、欲以上の厚意を……私は感じたがね」


 勿論、それは俺もだ。

 ここまで俺にブライアン王の余力を割く理由は当然あるだろう。


「これまで、リーガル国とリプトゥア国は交易こそすれ剣呑(けんのん)な状態にあった。しかし、今回の同盟が成り、ミックの国が立国したとなれば話は一変する」

「同盟……リーガル……三国……」


 何気なく言った一言でランドルフは確信した様子で言った。


「っ! そういう事か!」

「どういう事です?」

「当初、陛下がミックの国を推奨するような話をしていたのは、リーガルとシェルフで挟み、魔族(ミック)を監視する目的だと我々は踏んでいた。しかしそうではなかった」

「大きな後ろ盾と共に、リプトゥア国を牽制する事が出来る……」

「き、気付かなかった! 本当ならばアルフレド公爵家の国家転覆の時に気付くべきだった! あの時動いていたのはアルフレド公爵家だけではない! リプトゥア国も動いていた! こ、これはつまり……――」

「――陛下は押し殺していた。溢れんばかりの怒りを。矛先は当然……リプトゥア国」

「陛下は……リプトゥア国に報復をするつもりだ……!」


 なるほど、やられたらやり返せ。

 当然ではあるが、気の長い壮大な計画だな。

 まぁ、一国を相手に戦うのであれば、この下準備は当然必要なのだろう。

 単純な厚意だけでなくて本当によかった。少し不気味だったからな、ブライアン王のあの優しさは。


 ◇◆◇ ◆◇◆


「――と、いう訳でミナジリ村が私の領土になりました! いぇい!」

「「いぇい!」」

「いぇい」


 凄い、最後のジェイル以外は皆ノリノリである。

 今回は第三回のミナジリ会議という事で、クロードも慣れたものである。


「今回の問題点は沢山です! もうめっちゃあります!」

「なになにー?」


 ナタリーの聞き方が芝居がかってる。


「領土とはいえ、人の往来が増えます。つまり、どういう事でしょう! はいリィたん!」

「となれば、ナタリーやジェイル、ドゥムガや、新たなダークマーダラーたちは問題になるだろうな」

「素晴らしい!」

「ふっ、当然だ!」

「手配中の人間にまで気を配ってくれれば最高だったよ!」

「ぬ、ぬぅっ!」


 そう、外部の人間の目に触れるという事は、つまりそういう事なのだ。

 建国したならば全て突っぱねられるが、まだ我々はリーガル国民。

 リーガル国民に魔族がいるのは流石にまずい。

 頬を膨らませてむくれるリィたんに、俺は更なる質問を続けた。


「サマリア公爵家はともかく、私より格上の他の貴族がやって来た時これでは非常に困ります。事前通知で来るならいいけど、『様子見に来た』とかで村の様子を覗かれると、情報は一瞬で広がります。こういう場合どうすればいいのかな、リィたん?」

「むぅ……殺してはまずいのだろう?」


 そこまで成長してくれて、おじさん嬉しいよ。ほんと。


「そうだね、結果的に人間と敵対する事になるよ。因みに、【呪縛】を使うのは最終手段だと思ってね」


【チェンジ】で顔を隠すのも出来ればその段階だろう。

 長年付き合った顔を変えるというものは、意外にストレスが溜まる。

 俺でさえ未だに鏡の自分を見て驚くのだから。


「では人の目に触れないようにすればいいのではないか?」

「お、いい線いってるね」

「ふふん! どうだジェイル!」

「見事だな」


 ジェイルも随分とリィたんに慣れてくれた。

 やはり、初期メンバーとの長旅はリィたんに良い影響を与えてくれたようだ。


「でもミック? どうやって皆を隠すの?」

「隔離区画を作るんだよ、ナタリー」

「それって、罪人の人とそうじゃない人を分けるって事?」

「そういう事。それにもう一つ」

「もう一つって?」

「領土を全て囲う」

「……え?」


 一瞬どん引きしたかのようなナタリーの顔が、とても印象的でした。

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