表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

超能力使いの少年

〈超能力〉普通では有り得ない能力

神に赦された人智を超える力

その力を手にした者は絶対的力を持つようになる

例えば手を触れずに物を浮かしたり、吹き飛ばすとこもできる

更に相手の考えていることを読みとったり、数秒先の未来を予知したりと使える力は様々ある

まぁ、アニメなどで主人公とかが使うチート技的なのを想像して貰えると分かりやすいだろう

その力を手に入れた少年、〈野々竈真琴〉通称 ノコ 歳は16

生まれながら絶対的力、超能力をもったノコはやることなすこと全て無気力

口癖は「眠い…」

そんな無気力なノコを気にかける人は家族くらいで、ノコは他人と遊んだことは疎か会話もろくにしたことがなかった

俗に言うコミュ症とは違う

会話をするまでもなく相手の考えていることがわかるからコミュニケーションなど必要ないのである

別に寂しいと感じたことはない

ただ、退屈なだけ

(なんか面白いことないかな…)

退屈な世界に飽き飽きしてしまったノコの唯一の楽しみは夢を見ること

夢は退屈をさせない、そんな夢が好きだ

最近のお気に入りはファンタジー系の夢だ

襲い迫る魔物を一掃する夢、まだ見ぬ地を冒険する夢、国の一大事を救う夢

ファンタジーの夢を見ている時が自分が一番楽しく、輝いていると思う

(今日もファンタジーの夢がいいな…)

何故か最近見るファンタジーはストーリー性があって特別楽しみなのだ


ーキーンコーンカーンコーン

学校の音で一番素晴らしい音、終業のベルが鳴った

(やっと終わったか)

ノコは荷物を鞄に詰めて席を立ち急いで帰路へ着いた

本来ならば帰りの会という名称のホームルームがあるのだがそれは毎度のこと不参加

理由は面倒だからだ

特に担任の熱血爽やか系な感じが苦手だ

以前虐められてないか、家庭は上手くいっているのかなどと質問攻めにされてから苦手になった

サイコメトリー〈心透視能力〉で見たのだが純粋に心配しているらしい

だが正直、ウザい

自分に関わっても得がないのに一々面倒くさい

(はぁー、テレポートでさっさと帰ろ)

ノコはテレポート〈瞬間移動能力〉を使うために細い路地へ進んだ

テレポート〈瞬間移動〉は一度記憶した場所へと瞬間的に移動する能力でノコもその便利さのためよく使用する

手頃な細路地を見つけそこへ身を隠すとそこには猫がいた

(!? ね、ねこ!)

ノコは後ろへ退いた

超能力者だからといっても最強ではない

弱点だってある

ノコの弱点、それは猫だ

それは小学3年生の頃の事 ノコ8歳

小学生低学年ながら人の闇の部分を知ってしまっていたエスパー少年は人間の友達を持つのを止めた

代わりに動物を友人にしていた

動物は本能で動き、人のように騙したり、裏切らない

そんな動物をノコは好いていた

特に猫が大好きで、毎日のように近所の野良ネコたちと遊んだ

中でも白い子猫と仲良くなり、その猫をキューと名付けた

名前の由来はきゅーきゅーと面白い鳴き方をしたからだ

キューは親とはぐれてひとりぼっちだった、だからか自分と重ねて見ていたのだろう

キューとの日々は今までにないほどに充実していて、毎日が輝いて見えた

だがそれも長くは続かなかった

キューは殺された

目の前で飼い犬に噛み殺された

一瞬の出来事だった

犬もその飼い主も何事もなかったかの様にその場を立ち去ろうとした

そんなクズをノコは許せなかった

許せなかった故に殺した

とても脆いものだった

飼い主と飼い犬は打ち上げ花火のように爆ぜた

脆い、実に脆い

こんなに脆い奴に唯一の親友を殺されただなんてやるせない

失うくらいならいっそ手に入れないほうがいい

失うのが怖い…だから好きだったネコを拒絶し続け、いつしか拒絶は恐怖へと変わった

ネコが怖い…

それから8年間、未だにネコ恐怖症は治っていない

「歩いて帰るかな…」


家に着くと四時半頃だった

ノコには両親はいないノコがまだ幼い頃に不慮の事故で行方不明になってしまったのだ

それ以来ノコは、父の兄の野々竈駿河と二人で暮らしている

駿河はとても良い人でノコも気に入っている

内気なノコに対して明るく接してくれて、よく一緒に遊んでくれる

心からノコの事を好いてくれている

「ただいま、スルガ」

リビングのソファで横たわっている駿河に声をかける

「おー、おかえりーノコ」

それに返答する駿河

駿河の仕事は小説家の為、基本いつでも家にいる

そのためかなりのマイペースな性格だ

まぁ、そこも駿河の良いところであり悪いところでもあるとノコは思っている

「んぁ、そぉーだ!ノコ、小説の続き書けたから読んでみてくれ」

そういって駿河は小説の原稿を手渡した

駿河はファンタジー小説ファンなら誰でも知っている有名作家だ

今までにも数々のファンタジー作品を執筆し、どれも大好評だ

そんな駿河の作品を一番に読めることはノコにとって喜びであり自慢だ

「読み終わったらまた感想よろしくな!」

そう言うと駿河は自室へと戻っていった

(夕飯まで時間あるし、早速読んでみようかな)

小説を読むためにノコも自室へといくことにした

服を普段着に着替えてベッドに寝転がり乍ら読んだ


ーピピピッ

時計のアラームが鳴った

6:00

(もう6時か…やっぱり楽しいと時間って直ぐ過ぎちゃうな)

「ノコ〜、もうそろ飯の支度頼むわ〜」

駿河の声がドアの前から聞こえた

ノコと駿河は二人で暮らしているのでそれぞれ家事をやる家事当番制度を設けた

とは言っても基本的には殆ど家にいる駿河がやっていて、ノコは朝と夜の炊事だけが担当といっても過言ではない

「りょーかい、スルガ。直ぐやるよ」

駿河に応答して一階のキッチンまでテレポートした

(さて、今日は何を作ろうかな)

そう考えながら冷蔵庫の中身を吟味する

卵にバター、マヨネーズにケチャップ、ハムに冷えた白米、そして醤油と味醂。以上

冷蔵庫の中身が淋しいのは二人暮らしの影響である

(んー、この材料だと...。プレーンオムライスでいいかな)

オムライスの材料を取り出すと早速調理を始めた

10分程でオムライスは完成した

『スルガ、晩御飯できたよ』

ノコの超能力の一つ〈念話〉

相手の脳に直接話しかけることのできる能力

その人物の顔を知っていて半径30km内に対象者がいる場合に使用可能

『おう、今いく~』

スルガが応答した

これは〈心透視能力〉の応用技で使用制限は〈念話〉と同じだ

両方とも便利な能力だ

二階から駿河が下りてきて席に着いた

「おぉ!今日はオムライスか!俺オムライス大好きなんよ~」

「スルガ、手洗ってない」

ノコが指摘すると駿河は苦笑いをして

「お前は俺のお袋かよw」

と、ぼやいた

駿河はあまり清潔には気を配らないのでノコが注意しているのだが、本人は学習していないようだ

駿河は言われた通り手を洗い、再び席に着いた

「よし!手、綺麗!食ってもいい?」

ノコは頷いた

それと同時にスプーンを手に取り

「いただきます!!」

オムライスにがっついた

(まるで犬である...)

「うめぇ!この卵のフワフワ感、そして丁度俺好みの味加減!美味い!流石ノコシェフ!」

ノコの料理の腕は三ツ星シェフと同等レベルだ、不味い筈がないのだ

超能力者に不可能はないのだ

ぶっちゃっけ、頭の中でイメージすれば料理だろうがなんだろうが出現させることができるから作る必要はない

〈物質創造念力〉を使って作るのも別に悪くわないけれどノコは料理を作るのが楽しいので、わざわざ自分の手で作っている、ただそれだけだ

なんでもできる超能力者は趣味を見つけるのが大変なのだ


晩御飯を食べ終えて、食器を洗い直ぐさま読みかけの小説を読みに部屋へと戻った

部屋に戻る途中、ノコはふとあることを思いついた

(もしかすると超能力でファンタジーの世界とかいけるのではないか…)

その疑問は好奇心へと変わり、それが行動に移されるのに時間はかからなかった

部屋に戻り一目散にベッドに仰向けになり、瞑想を始めた

すると、様々な景色が見え始めた

だがその様々な景色はどれも今いる世界とは掛け離れたような異質な何かを感じさせた

そのどれもがノコの好奇心を刺激させ、胸を高ぶらせた

ドラゴンやグリフォンが飛んでいる景色、ゴブリンやトロールが暮らしている森の景色、魔法使いが大鍋で怪しげな薬を作っている景色などなど

ノコは確信した、今自分が見ている世界は

〈幻想世界〉なのだと

そしてこう考えた

この素晴らしい世界へ行きたいと…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ