第7羽
エイザブロー率いる南極越冬隊が、日本に帰ることになったのです。
悪天候をついて、雪上機による砕氷船「宗谷」とのピストン輸送には限界があり、樺太犬達や、多くの電子機材(無線の交換部品など)を置いて去っていきました。
エイザブローは、ペンギン達に、電子機材は自由に使っていいこと、樺太犬が生き残れるよう支援を頼んでから機上の人となりました。
ペンギン達は、早速大きな洞穴のある山(ペンギン達は、「シャイアン山」と呼んでいました)に、電子機材ををそっくり持っていきました。
そして樺太犬救助ですが、鎖を外すとほとんどの樺太犬は、明後日の方向へ走っていきました。ペンギン達は、追いません。彼らに待っているのは、クレバスや薄氷の下の海水による死だけであることを知っていたからです。
ペンギン達は、残った2頭の樺太犬、「タロ」と「ジロ」を連れてペンギン達のコロニーに連れていきました。
1年後、日本の観測隊が帰ってきました。その時、隊員達は、2つの奇跡を目にしました。
1つは、「タロ」と「ジロ」が生きていたこと。
もう1つは、ペンギンが空を飛んでいたことです。
観測隊員は、栄三郎 前越冬隊長からペンギンの話を聞いていたとはいえ、その不思議な光景に目を奪われていました。
「この素晴らしい南極の自然を守らなくては!」
日本の越冬隊員は、心に強く思いました。
しかし、この光景を別の視点で見ている一群が居ました。