第5羽
北の浦のヒゲに引き続き、北の浦のハゲも同様に飛び始めました。その様は、子供が自転車に乗れるようになった瞬間よりも、ずっと呆気ないものでした。
エイザブローは、2羽を呼んで、更にアドバイスをしました。
滑らか旋回の方法。
腹で滑らず両足でチョコンと着陸する方法。
水面に着水する際、ポーポイジング(水切りみたいに水面で跳ねること)を押さえる方法。
2羽と1人は、熱心に実験し、記録し、成果を上げてゆきました。
夕方。2羽と1人は、コーヒーを飲みながら、今日の素晴らしい1日を振り返りました。
「まさか、1日でここまで進むとは、思ってもいなかったよ!」
エイザブローが言うと、酔っぱらい加減の北の浦のヒゲ(ペンギンは、コーヒーを飲むと酔っぱらうのです)は、
「ホント、びっくりしましたよ!走っているうちに、スウッと足元が軽くなり、気がついたら飛んでいたんですから!」
続いて北の浦のハゲは、
「鳥類にとっては短い飛行だが、ペンギンにとっては大きな進歩だ!」
皆は、大きく頷きました。
そうした中、エイザブローは提案をしました。
「なあ君達、これを記念に改名しないか?北の浦のハゲは、ウィルバー。北の浦のヒゲは、オービル。なんてどうだい?」
2羽は、そろって答えました。
「ありがとう!素敵な名前です。これからエイザブローさんにもらった名前にします!」
こうして、世界で初めて空を飛んだペンギン達は、ウィルバーとオービルとして、歴史に名を残すことになりました。