第22羽
「ジョナサン・リビングストンだって!」
6羽のペンギンは、声を上げ、息を飲みました。なぜなら、ジョナサンと言えば、空飛ぶ鳥にとって、人間におけるライト兄弟と、月に初めて降り立ったニール・アームストロングを足して、1000かけたような伝説的な鳥だったからです。
ジャンが、手を挙げて質問をしました。
「ジョナサンは、瞬間移動が出来るというのは、ホントですか?」
その刹那、目の前に居たジョナサンは姿を消えました。
「君の質問の回答だよ。」
ジョナサンは、ジャンの左側に立ってニッコリ笑いました。それを見てジャンは、驚きを通り越して固まってしまいました。
続いてレニが、
「時間を超えた飛行も出来るそうですが?」
「過去に飛ぶことは出来ない。時間は一方向に流れているからね。でも未来には飛べる。現に、私が本当に生まれた年から、地球が公転1周して1歳年を取るよう勘定していったら、本当の私の年は、何百歳、何千歳になっているだろう。」
ジョナサンは、静かに答えました。
次にコンが質問しました。
「宇宙や海底を飛ぶことは出来ますか?」
「海中の飛行は、ペンギンの十八番じゃないか!でも、私は、0気圧の宇宙から、数百気圧の海底まで飛行できる。未来への飛行や、岩を貫通する飛行もそうだが、自分の周りに自分が心地よく生きるための強固な「場」Fieldを形成して体を保護し、明晰な頭脳を維持するんだ。」
そしてペドロが、一番重要な質問をしました。
「私たちも、ジョナサンのようになれますか?」
ジョナサンは、ニッコリ笑って答えました。
「君たちは、もう近くまで来ている。あとは胎動"Quickening"が来るのを待つのみだ。」