表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/28

第21羽

 それは、6羽のペンギンが、ライトエシュロン(右斜め一列の編隊)とレフトエシュロン(左斜め一列の編隊)の2つの編隊に分かれて、夜間飛行の訓練をしている時でした。

 先行するライトエシュロンの1番鳥(1番前の鳥)レニが、2時方向上方に明るく輝く光を見つけました。

「2時方向上方に、明かりを捕捉。星ではない模様。」

 すると他のペンギンも、明かり捕捉の報告を次々と上げてきました。

 後続のレフトエシュロン2番鳥のティムと、同じく3番鳥のペドロが、

「あの明かりに接近して、正体を確認しましょう!」

と提案しました。

 全編隊のリーダーでもあったレニは、

「ゆっくり接近しましょう。私に続いて!」

 レニがわずかに右へバンクした瞬間、明かりはフッと消えました。

 レニは、かすかな動揺を覚えながら、

「全員、急速降下!高度5m!ロッテ(2羽編隊のこと)を組んで、周囲の警戒を怠るな!その後、シャイアン山入口跡に集合!」

 ペンギンは、初めて実践する緊急回避行動に神経をすり減らしながら必死に飛びました。


 8分後、6羽のペンギンは、シャイアン山の入口跡に集合していました。

「あの明かりは、何だったのだろう?飛行機かな?」

コンが言うと、セルゲイは、

「北極を飛行する飛行機は沢山あるけど、南極を飛ぶ飛行機は、まれだよ。それに飛行中に照明を消すことは、人間のルールに反した行為だ。」

 皆が納得しながらたたずんでいると、急に頭上が明るくなりました。

「なに?」

 レニが目を細めながら明かりの方を見ると、それは1羽のカモメでした。カモメは、翼を広げたまま、羽ばたくことなくペンギンの目の前に降りました。

 6羽のペンギンは、いつも以上に目を丸くしてカモメを凝視しました。

「特別講師が来たようだね!」

 ペンギン達の後ろにいつの間にか来ていたウィルバーが、言いました。

「彼が伝説のカモメ。ジョナサン・リビングストンだ。」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ