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第1羽

 1950年代末の南極。

 そこは、野生動物のパラダイスでした。いつも環境を壊す人間も、少数の観測隊員のみで、南極に与える影響は、ごく僅かでした。

 彼が来る前は。

 彼の名前は、エイザブロー。日本からやってきた、南極越冬隊の隊長です。彼は、登山を愛し、学ぶことを愛し、何よりもペンギンを愛していました。

 ですから、彼が南極に来てペンギンと接触するのは、ごく自然なことでした。

 程なく、エイザブローには、2羽の友達が出来ました。皇帝ペンギンの「北の浦のハゲ」と「北の浦のヒゲ」です(昔のペンギン達は、地名と体の特徴をくっつけて名前にしていました)。

 エイザブローは早速、2羽のペンギンに日本語を教えました。彼は、事前の研究で、ペンギンの体が人間の言葉を話しうる事を知っていたからでした。すると、「北の浦のハゲ」と「北の浦のヒゲ」は、あっさり日本語を話し始めました。

「君たち、どうしてそんなに日本語が上手いんだい?」

エイザブローが聞くと、「北の浦のハゲ」の答えは、エイザブローを驚かせました。

「私のひいひい爺さんが、日本語を教わったんです。ノブさんから。」

そう、既にペンギンに日本語を教えた日本人が居たのです。日本人で初めて南極に来たノブさんから。

 すると、エイザブローのメガネの奥の目が、キラリと光りました。先輩がペンギンに日本語を教えられたなら、私は、ペンギンに高度な知識を教えてみよう!

<人物紹介>

・エイザブロー:南極第1次越冬隊隊長の西堀栄三郎氏に相当する人。西堀栄三郎氏は、大戦中に高性能真空管を開発し軍から表彰を受ける一方、登山家としても有名。「雪山讃歌」の作詩もしている。

・ノブさん:日本初の南極観測隊隊長 白瀬矗氏に相当する人。

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