第16羽
「さあ、座りたまえ!」
ウィルバーに誘われるまま、ジャンとコンは、イスに座り、あたりをキョロキョロ見回していました。
するとオービルが、ティーポットと沢山のティーカップを持ってやってきました。
「ティーカップが、3個多いようですが?」
コンが訪ねると、オービルがニコニコしながら答えました。
「うちのエース達が、そろそろ通信教育を終えて、2階から降りてくるはずなんだよ。」
ウィルバーとオービルが共同で7杯の紅茶を入れ終わった頃、ペタペタとペンギンの足音が聞こえてきました。
ジャンとコンの目の前に現れた3羽のペンギン。
ウィルバーが、紹介し始めました。
「右から、カニンガム、トーン、そしてラモンだ。」
「つまりこの3羽が、天才的な3羽のペンギン?」
ジャンとコンが、声を震わせながら聞きました。
「天才的は言い過ぎだけど、いかにも私達は、シャイアン山に閉じこめられた、3羽のペンギンだよ。」
カニンガムが答えました。
「実はわしらは、皇帝ペンギンのリーダーだったレオニダスから、頼まれたんじゃ。仲間のペンギンがシャイアン山を離れた後、すぐに秘密の通気口から、彼らを助けるように。」
オービルが、説明しました。
ジャンとコンは、名君だが冷酷と言われたレオニダスが、決して冷酷ではない、心の優しいペンギンだと知って尊敬の念をより深めました。
「ところで、通信教育ってなんですか?」
コンが質問すると、トーンが答えました。
「私達は、短波無線機を持っていて、世界中の人々と会話を楽しんでいるんだ。もちろん彼らは、私達を人間だと思っているけどね!ただ、私達をペンギンだと見破った唯一の人間が居るんだ。カルテック(カリフォルニア工科大学)の物理の先生のワインマンさんだよ。ノーベル賞も取っているすごい先生さ。私達は、彼の授業を週に2回受けているんだよ。」
驚くジャンとコン。ニヤニヤするその他5羽。
ラモンが、ジャンとコンに勧めました。
「どうだい、私達と飛行術と勉強をしないか?」
コンが即答しました。
「私達も仲間に入れてください!」
その後コンは、言い加えました。
「冷めた紅茶、入れ直しましょうか?」