第15羽
2羽のペンギンが入ると、ウィルバーは、さっとドアを閉めました。
家の中は薄暗く、入り口を入ると、侵入者の侵攻を防ぐように本棚の壁がそびえ立っていました。ウィルバーは、本棚を迂回し、奥へと進んでいきました。
「ウィルバーさん、何でこんな本棚の置き方をしてるんですか?」
ジャンが聞くと、ウィルバーは、嬉しそうに、
「これはじゃな、外気の侵入方向に対し本棚を直角に配することによって、コンダクタンスが激減し、それでじゃな・・・・」
話を遮るように、オービルが説明を始めた。
「外気が部屋に入りにくくするためじゃよ。ペンギンには快適な外気も、部屋の中の機器には、少々冷たすぎるんでね。ウィルバー、もっと簡潔に話さないと!エイザブローさんから、よく注意されたじゃないか!」
「そうだったね、久しぶりの来客で、興奮してしまったんだよ!」
「シャーウッドの森」(大量の本棚)を抜けると、そこには見たことがないもので溢れていました。
つまみや様々な見たことのない物が付いた金属の箱が並んでいて、光と熱を発しています。そして、それぞれから沢山の電線が出ています。
2羽のペンギンがポカンとしていると、ウィルバーが声をかけました。
「紅茶を飲みたいんだろ?うちの連中は、トワイニングのプリンス オブ ウェールズしか飲まないけどいいかな?」
「はい、結構です。」
ジャンは、答えた。
「ところで皇帝ペンギン君、まだ名前を聞いておらなかったな?」
ウィルバーは、ニヤニヤしながら聞きました。
「コンです。彼の名前は、コン。」
ジャンが、割って入って答えました。
「コン?変な名前じゃな?」
「そうですか?私の名前がジャンで、友人の名前がコンなら・・・・」
「なるほど、そう言うことか!コン君、君は博学な友人を持って良かったな!」
2人の会話を聞いていて、チンプンカンプンなコン。
ただ言えることは、2つ。
ジャンは、いい友人であり、それを誉められたことは嬉しい。
そして、「コン」って名前は、あまりセンスが良くないこと。