第13羽
向かった先は、皇帝ペンギンE-800206Mの自宅。父親から情報を得ようと言うのです。
「父さん、ただいま!」
「おかえり、息子よ。今日は、アデリーペンギンの友達も一緒だね。」
「はい、おじさん。実は僕たちは、人の名前の付いたペンギンを探しているのです。」
「何故だい?」
「父さん。彼らは、物知りで、空も飛べると言うじゃありませんか!私達も学び、海中を泳ぐように空を飛びたいのです!」
「ウ~ム」
父さんは、少し困ったように黙り込みました。
「お前達の夢は、半分かなえられるが、半分は無理だ。」
「おじさん、どういうことですか?」
「人間の名前が付いたペンギンは、確かに居る。ウィルバーとオービルの兄弟だ。ジイ様になったが、まだピンピンしている。二人が初めて空を飛んだことは知られているが、まだ飛べるかは、分からない。」
「おじさん、他には居ないの?」
「ここから北の方にあるシャイアン山に閉じこめられた、天才的なペンギンが居たよ。カニンガムと、トーンと、ラモンだ。彼らは幼鳥だったが、抜群の飛行能力と高度の知識を備えていた。」
「父さん、何故山の中に閉じこめられたの?」
「これらの知識が、必ずしもペンギンを幸せにしなかった。だから我々は、元のペンギンに戻ることに決めたんだ。しかし、もしその知識が再び必要となった時、優れた飛行術と知識を持ったペンギンに教えを請う。そのペンギンが天寿を全うしたら、本当に元のペンギンになるわけだ。」
「おじさん!だったら、シャイアン山に行って、教えを乞いに行きます!」
「それがダメなんだ。」
「えっ?」
「実は彼らが幽閉されて1週間後にシャイアン山へ行き、3羽を連れて帰ろうとしたのだが、彼らはどこにも居なかったんだ。」
「じゃあ父さん、3羽の行方は?」
「分からない。」
皇帝ペンギンE-800206Mと、アデリーペンギンE-811007Mは、撫で肩の肩を落としました。
「ところで父さん、ウィルバーとオービルは、どこに住んでいるんだい?」
父さんは、少しニヤニヤしながら言いました。
「うちの隣。ほら、ガチャポコじいさんだよ!」
皇帝ペンギンE-800206Mと、アデリーペンギンE-811007Mは、丸い目を更に丸くして言いました。
「ガチャポコじいさんだって!」