1.……………は?
ここは何処だろうか。視界が何かで覆われている。おそらく目隠し用の布でも付けられているのだろう。
暗い…。 寒い…。怖い…。
そういった負の感情が私の中で渦巻いていく。どうして私がこんな目に合わなければならないのか。………いや、本当は分かっている。私はあの子を殺した。あの子に危険が迫っていると知りながら何もしなかった。私があの子を殺したも同然だ。また、あの日のあの時に戻れたならきっと…………。
「出ろ。時間だ。」
そう言われ、目隠しを取られる。だんだんと視界がクリアになっていくのを感じる。目に入った光景は予想通りの光景だった。興奮気味の観客たちに見られている。
「早くそいつを殺せ!」
「いやぁ!悪魔だわ!」
「なんと醜い!早く殺せ!」
そして目の前にはギロチンが見える。そう、私はこれから処刑されるのだ。
……あぁ、本当にどうしてこうなったのだろう。お願い、誰でもいいから、私を救って…。
〜完〜
「いや、ふざけんなし!」
そう叫んだのは、小説を読んでいた俺こと、宮間皐月だ。
「おわぁ。びっくりしたなぁ。急になんだよ皐月。」
と、全然びっくりしてなさそうな声で話しかけてきたのは、俺の親友兼幼なじみの徳嵜勝希だ。
「いや、だってよぉ!この小説の終わり方が胸糞過ぎてよぉ〜!叫ばずには居られなかったんだって!駄作ならぬ駄小説だこんなもん!」
「はぁ。お前、一昨日はこれ神作の予感がするとか喚いてただろ。」
そう、ため息を着く勝希。
「そんなこと言ったっけ?」
「お前なぁ…。」
今度は呆れも付け加えた、ため息を着く。
「ま、そんな事はさておき。昨日面白そうな小説見つけから一緒にBoons行こうぜ!」
「はぁ、またかよ。まぁいいけど。」
「よぉしっ決まりっ!じゃあ、帰りに寄ってこうぜ!」
「はいはい。」
そう雑談している内に学校の朝礼の予鈴がなった。はぁ、これからの授業が退屈で仕方ない。
そして放課後。
「サイナラッ!おし行こうぜ勝!」
終礼の終わりの挨拶と同時に、俺は教室を走り抜けた。
「あ!おい待て!」
慌てて鞄を担ぎ勝希はあとを追いかける。
「はぁ、はぁ…。」
「何でそんなに疲れてんだ?」
「お前が走るからだろ!?」
勝希がツッコミを入れる。だが、そんな勝希のツッコミも虚しく、皐月はもう本探しに夢中である。
「………はぁ。」
今日何度目かも分からないため息を勝希は着いた。
「じゃあまた明日な!」
「おん」
勝希と分かれた俺は帰路を辿る。早く本が読みたい〜。どんな本かな?表紙とタイトルからして、恋愛モノかな?なんにせよ面白そうなタイトルだし、絵師さんもすっごく好きな人だし、この小説は期待大だ。
そこで、電話がなった。
「ん?誰だ?……母さん?」
電話をしてきたのはどうやら母の様だ。
『もしもし母さん?どしたの?』
『お母さんね……。』
『……うん。』
何やらいつもの母さんと様子が違う。何を言うつもりだ…。ゴクリと息を飲む。
『結婚することになりましたぁ!!!パチパチパチドンドンパフパフー!!』
『……………………は?』