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第5章 第7話 脅迫~芽依の場合~ 前編

2019年 4月2日(火) 07:58




「……いた」



 暦学園の校門近くで、ターゲットを発見した。



 翡翠芽依(ひすいめい)と、金間義勇(かねまぎゆう)。学年は違うが、それでも知っているほどのリア充カップル。この人たちと大矢主水が友だちだなんて今でも信じられない。



 だがありえないことは起こるものらしい。金間義勇は記憶の中の姿と変わりない。身長185cmを超える、髪色を派手な色に染めた雰囲気イケメン。でも翡翠芽依は、あの派手メイク金髪ギャルと同一人物とは思えないほどに雰囲気が変わっていた。



 メイクは薄く、髪も記憶よりも短いセミロング。清楚な雰囲気を感じさせながらも、確かな活発さを感じさせる黒めのブラウンの髪色が、150cmという低身長にマッチしていてとてもかわいらしい。正統派美少女って感じだ。



 どうしてここまで変わったんだ。あるいは前からこの時期はこうだったのか。



 いずれにしても、大矢主水の介入による結果とは考えづらい。ここまでの影響力があの男にあってたまるか。



「おはようございますっ」



 なんにせよ。こいつらは今のかんなの敵じゃない。



 なぜならかんなは、神が如き力を手に入れたのだから。



「それにしてもとてもお似合いのカップルですねっ。とても素敵ですっ」



 屈辱だが、今は取り入ることを一番に考えるべき。それなのに。



「……わたしたち付き合ってないけど?」

「は?」



 翡翠芽依が、きょとんとした顔で首を傾げた。



「マジ!? そう思う!? やー、そう思うよなー! 芽依、やっぱり俺たち……」

「しつこい男は嫌われるよ?」



 この反応を見るに、金間義勇は好意を持っているが、翡翠芽依にその気はないのだろう。どうなってるんだ……? どうしてここまでの変化が……。まぁ、いい。



「翡翠せんぱいっ。ちょっとこっちに来てくれませんか?」



 元々たいした過去のない金間義勇には興味ないんだ。かんなのターゲットはこっち。



(ぇ……? わたしたち初対面だよね……? こわい……)



 元陰キャだという過去を持つ翡翠芽依だけだ。



「さっきこの写真を拾ったんですけど、これせんぱいですよね?」



 翡翠芽依だけを道の端に寄せ、ハロウちゃんに用意してもらった写真を見せる。



 目が見えなくなるほど前髪が長く、全体的にもっさりとしたイケていない中学生時代の翡翠芽依の写真を。



「……人違いでしょ。わたしがこんな陰キャに見える?」

(ななななんでこの子がこれを……!? とにかくごまかさないと……!)



 ふふふ。言葉でいくら強がろうが、人の心が読めるかんなには無意味。その情けない心の中を暴いてやる。



「確かにそうですねぇ。顔立ちとかも汚いし、見てくださいこの肌。ボロボロでとても正視できませんよ」

「……そこまでひどくはないんじゃないかな。ほら、よく見たらとってもかわいくない……?」


「えー? めちゃくちゃブサイクじゃないですかぁ。ひっどいですよこんなん。よく生きていられますよね。かんなだったらとっくに自殺してます」

「……髪とか化粧が悪いからだと思うなぁ。ちゃんとしたらほら美少女……」


「ほんとだっ。髪切ってこう横に並べてみたら、翡翠せんぱいそっくりの美少女ですねっ」

「ぁうぁうぁう……」



 ちょっっっっろ。やっぱり今のかんなの敵じゃない。



「こんな茶番終わりにしましょう。かんな、もう知ってるんですよ。翡翠せんぱいが元々は陰キャだって」

「ぁ……ぁ……!」

(おわった……! わたしの高校生活おわった……!)



 ふふ。チェックメイトかな、これは。



 やっぱりかんなは神様だ。



 全ての人間は、かんなの支配下にある。



 その事実に、笑みが止まらなかった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 金間、、、涙ふけって。
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