第7章 第8話 思惑
〇主水
2021年 10月21日(月) 11:18
「それじゃあイベント同好会会議を始めるわよ」
俺、宍戸さん、水菜、天平さんでの会議が始まった。
「去年失敗しちゃったし怪盗チェリートリニティ再来! ってしたいけど具体案ある?」
「怪盗……え? なんですか?」
「説明したでしょう、神無。去年の大失敗よ」
もう説明は終えているだろうが、天平にその記憶はないので疑問を持つのも当然だ。
怪盗チェリートリニティ。去年俺が提案した、リルを倒すための武器を集めることだけを目的にした出し物だ。ちなみに名前をつけたのは俺ではないと強調したい。
内容はほとんど無理矢理な謎解きを繰り返し、到着した場所でお菓子をもらえるというもの。去年は内容と台風のせいでほとんど参加者がいなかった。宍戸さんがお菓子をやけ食いしていたのを覚えている。
「桜花ちゃん最後だし、せっかくなら派手なことやりたいよね~」
そうだ……宍戸さんにとって、最後の文化祭。今思えば去年はひどいことをした。俺の自分勝手で出し物を台無しにしたんだから。
「やるか……爆発」
「主水? 急に馬鹿になった?」
「資格ないんだから花火もできないよ~」
あぁそうか……そうだよな……。
無意識に、俺がガスタンクをぶん殴って爆発させようとか思ってた。さすがに危険すぎるか。
「他の出し物に協力してもらって謎解き、ってスタンスは悪くないと思うんだよね~」
「そうね。でも単純に、つまらないわ。やっている私が。リアルタイムでやってる感がほしい」
宍戸さんがそう言う以上、それはイベント同好会の最低条件。となると……。
「俺らが歩き回ってるってのは? それを捕まえる……っていうか声をかけるとお菓子なんかがもらえるみたいな」
「それよ主水っ! 仮装なんかしたら楽しそうっ!」
仮装……。俺は勘弁してほしいが、宍戸さんがコスプレしている姿はぜひ見ておきたい。
「やるなら現れる場所と時間帯を暗号にするって形かな~。ペア! ペアを作りたいっ! 桜花ちゃんいいでしょっ!?」
「そうね……。2人1組の方が目立っていいと思うわ」
水菜の気持ちはわかっている。
「じゃあおーくん、水菜ちゃんと……!」
「宍戸さん」
でも、ごめん。
「俺とペアになってもらえませんか?」
俺だって、譲れないんだ。
「おーくん……?」
「あ、かんなが前々からお願いしてたんです! 来年のこともありますし、ぜひ仲良くなっておきたいなって!」
「天平……」
あいつ……ほんと、最近……。
「後輩の頼みなら仕方ないわね、水菜」
「ぅぐ……ぐぐ……ぐぅぅぅぅ!」
「そんなに?」
物凄く悔しがる水菜を見ながら俺は。激しい高揚を感じていた。
暦祭を、宍戸さんと一緒に回れる。こんなの初めてだ。
文化祭が、楽しみになってきた。




