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過去に戻って高校生活をやり直してたら、知らない美少女後輩が俺のことを殺しにきている件。  作者: 松竹梅竹松
第7章 高2秋・文化祭

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第7章 第2話 同じ穴の狢

2021年 10月21日(月) 07:59




「主水さん、冷静になりましたか?」



 美容院に行った翌日。登校していると、天使化したリルが心配そうに語りかけてきた。



(……なにが?)

「桜花さんのことです。あなたは馬鹿なことをしているという自覚があるはずです。全てが間違っている。私に指摘されてムキになるタイプでもないでしょう?」



 昨日の続きか。リルの言っていることは全て正しい。が、



(何を言われても変わらない。元々誰が俺を嫌っているかを探す方針だっただろ。それを徹底すればいいんだ)

「……私だって言いたくて言っているわけではありません。でも桜花さんに恋をしても、あなたは幸せになれない。この1週間さえ乗り切れば、あなたは一生桜花さんに会わなくて済む。だからこの恋は胸の奥にしまっておきましょう?」


(……身体の調子は大丈夫なのか? ずっと天使化してるけど)

「まぁ……それは。無茶はしていますが、しばらくは合宿所の誰も使っていない部屋で実体化して安静にしているつもりです。今は私のことより主水さんのことです」



 話を逸らそうと思ったけど無理か。じゃあまた別の話を。



(リル、少し見ててくれ)



 そう心の中で言い、転がっていた石を拾う。そして、



(30%走馬燈(レクイエム)



 力を込めることで粉々に砕いた。



(必殺技、走馬燈(レクイエム)。脳のリミッターを解除することで人間の身体能力をフルに使うことができる。もちろんそれなりのバックファイアは食らうけど、30%までなら短時間ならノーリスクだ。リルこういうの好きだろ?)



 いつもの大喜びのリルを想像した。リルに楽しそうに笑ってほしかった。だがリルは。



「――主水さん。それ、二度と使わないでください」



 その場に立ち尽くし、懇願するようにそう言った。



(なんで? この程度ならあんまり痛くないって)

「痛い……はずです。見てください、血が出ています」



 確かに手のひらから軽く手は出てるけど、破片のせいだろう。そもそも痛みもそうない。



「破片ではありません。確実に人体にダメージが入っています」

(でも痛く……)

「痛いんですよっ! 感じなくなってるだけですっ! あまりにも痛みに慣れすぎたせいで多少の痛みには動じなくなっただけなんですっ!」



 リルは必死に叫ぶが、あまり実感は湧かない。痛くないものは痛くないんだから当然だ。



「それに主水さん、無茶してしまうでしょう? 誰かが困っていたら平然ともっと出力を出すはずです。……私がいる間ならいいです。治してあげられますから。でもいつか生き返った時に、これが癖になってしまっていたら……。取り返しが、つきません。その時私はいないんですよ?」



 リルの気持ちはうれしい。俺を気遣ってくれているのだろう。だがこれもまた、変えるつもりはない。



(俺はこれでようやく、普通の人間になれるんだ)



 リルにはわからないだろう。同じ陰キャでも、誰よりも優れた力を持っているリルには。



(俺は普通の人間より劣っている。俺が10%として、普通の人間は13%。樹来なら15%を軽く超えているはずだ。多少無理しないと俺は追いつけもしないんだよ)



 今まではそれを受け入れられていた。諦められていたんだ。



(でも今俺は、ほとんどノーリスクで追い越せるんだ。普通の人間よりも、樹来よりも、上に行ける。もちろん俺だって怪我するのは嫌だ。無理はしないよ。でも……いいだろ? いい加減俺だって少しくらい、いい目を見ても)



 もう俺は、駄目でゴミなだけの俺じゃない。力を、手に入れられたんだ。



(リルが何を言おうが使うぞ俺は。この力を。ようやく幸せになれるんだ。このチャンスを逃してたまるか)



 人を超える力。俺はこれを使って、幸せになる。



 その邪魔だけは、誰にもさせない。

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