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過去に戻って高校生活をやり直してたら、知らない美少女後輩が俺のことを殺しにきている件。  作者: 松竹梅竹松
第7章 高2秋・文化祭

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第7章 第1話 間違った選択 4

2021年 10月20日(日) 18:04




「それで、今日はどうする?」



 気がついた時、俺の前には俺がいた。いや、別に特別なことじゃない。ただ普通に鏡の前にいただけだ。美容院アリエスに来ていただけだ。まぁ俺が自発的に美容院に行っているだけで特別なことか。



「いつもと同じでいいかな?」



 俺の後ろに立つ店長さんが軽い調子で訊ねてくる。いつもと同じというのは、ツーブロック気味の髪型のことだ。リルに勧められたままキープしてきた爽やか重視の髪型。効果がいかほどだったかはわからないが、単純に考えれば成果がある以上これがベストだろう。



 だが、今は。



「髪……染めたいんですけど」



 少し、先へと進んでみたい。



「え? 珍しいね。イメチェン?」

「まぁ……そんなとこです」


「でも時間的にねー。髪染めるの時間かかるんだよ」

「そうですか……ならいいです」



 別にどうしても染めたいってわけではない。ただの気まぐれ。無理なら無理で別に問題ない。



「ちょっと待って。……んー、お客さんは主水くん以外いないし……来るとは思えない……」

「いいんですか? それ」


「よくないね! でも主水くん的には悪くないよ。しょうがない、残業してあげようじゃないか」

「……つまり、いいってことですか?」


「ん。お得意様だしね。それに機会って大事だから。やりたい時にやっとかないとね」

「ありがとうございます……」

「ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁぁぁっ! です!」



 2人しかいない静かな空間に、騒がしい声が乱入してきた。



「あれ、古布さん。いらっしゃい」



 古布・A・リル。リルの偽名だ。実体化したリルがアリエスに入ってきた。



「主水先輩に染髪は似合いません! 即刻やめるべきですっ!」

「んー、軽くブラウン入れるくらいなら違和感ないんじゃないかな。それに髪って自己満足の側面あるし。主水くんがやりたいならやるべきだと思うよ。ていうか私はただ注文に答えるだけだし」

「だってさ、リル。静かにしてろ」

「むむむ……!」



 頬を膨らませ、リルは俺の隣の席に座る。当然リルに髪を切る意思はなく、店長さんも同様だが特に何も言おうとしない。本当にこれ以上客は来ないんだな……。



「主水先輩……本気ですか。考え直しませんか」



 髪の長さを調整されていると、リルが静かに口を開いた。当然、髪のことではない。



「……宍戸さんのことだろ」



 俺は。宍戸さんを好きになった。好きになってしまった。



「主水先輩があの方を好いていたことは知っていました。昔からあの方は、しっかり主水先輩を見てくれていましたからね。勘違いされがちなあなたにはうれしくてたまらなかったでしょう。だからこそ言えます。主水先輩の感情は恋愛ではなく、尊敬。敬愛です。それを恋だと勘違いしているんですよ」



 ……やっぱり、リルもそう思うか。



「俺も……そう思う」



 水菜と同じだ。助けられたから、好きになった。そんな単純なら警察官や消防士はモテモテだ。芽依にも同じことを言った。



「でも……俺は。これを恋だと思いたい」

「主水さん! ……主水先輩。それならそれで、いいと思います。恋することは悪いことではないと思います。でもきっと、主水先輩は後悔します」


「ああ。確実にフられるからな。あの人は俺を後輩としか思っていない」

「それがわかっていながら……なんで……!」



 わかっているんだ、ちゃんと。俺がどれだけ無謀なことをしているかくらい。



 大前提として、宍戸さんに告白するとなると、自然。芽依と水菜をフることになる。つまり俺が生き返る手段が減るということだ。卒業式の日、誰かと一緒にいなければいけないから。仮に宍戸さんと付き合えたとしても、その時あの人は既に卒業している。卒業式の後会えるかどうかはわからない。



 馬鹿なことだ。めちゃくちゃ馬鹿なことだ。それでも。それでも。



「俺はあの人を、幸せにしたい」



 芽依と付き合っても、水菜と付き合っても。俺は相手を幸せにすることができない。それは宍戸さんと付き合っても同じだ。



 それでもいいと、思った。それでも努力したいと。無理かもしれないけど、俺があの人を、幸せにしたいと思った。



 あの瞬間と、今だけは。



 だから。俺は。



「俺はあの人と、付き合いたいんだ」



 リルに何を言われても変わらない。きっといつか後悔するだろうけど、今この瞬間は。それしか考えられない。



 次のやり直しは修学旅行。それが終われば3年生。宍戸さんは卒業する。つまり、今回。このやり直しで。



「俺は宍戸さんに告白する」

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