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過去に戻って高校生活をやり直してたら、知らない美少女後輩が俺のことを殺しにきている件。  作者: 松竹梅竹松
第6章 高2夏・林間学校

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第6章 第39話 死ぬなら

〇神無




2019年 8月25日(日) 17:43




「誰か連絡ついた?」

「だめ……おーくん電話出ない……」

「芽依も出ないっすね……」



 全員で食堂に集まり、この場にいない大矢主水と翡翠芽依の行方について考える。



「最後に見たのは?」

「一緒に川にいて……それからは……わからない。おーくん影薄いから……」

「芽依も気抜くと見失うから……クソ……」



 生徒会長さん、月長水菜、七海文を中心に話し合うが、陰キャの悪いところが出てしまっているせいで誰も見当もつかない。



「初めは抜け駆けしたと思ってたけど……たぶん、そうじゃ、ないよね……」



 外に轟く暴風雨の音が嫌でも悪い予感をかきたてる。気温の低い山の中でこの雨を浴び、しかも水着。仮に外にいたとしたら、相当まずい状況だ。



「仮定するのなら最悪の状況よ。もし……最後に見た川で流されていたとしたら。救助隊を呼ぶしかないわ」

「だめだ」



 生徒会長さんの現実的な対応を引率の先生が否定する。だがその鋭い瞳はそれを許さない。



「……先生はそうですよね。もし川に流されていたら責任問題なんだから」

「そうじゃない。この台風だ。救助隊が来るのには時間がかかる」


「だとしても呼ばない理由にはなりません。通報だけでもお願いします」

「ただ隠れているだけだったらどうする。迷惑をかけるわけにはいかない」


「っ! その保身のせいで主水が死んだらどうするんですかっ!?」

「あまり大声を出すな。身内のことを考えろ」



 大矢主水が死んでいるかもしれない。わずかな可能性だが、わずかでもある限り。とても安心することはできない。



「おにぃ……助けにいかなきゃ……!」

「待って卯月ちゃん! 危ないよっ!」



 大矢主水の家族、大矢卯月は取り乱し、涙と汗でぐちゃぐちゃの顔で外に出て行こうとしている。



「放して瑠璃っ! おにぃは弱いのっ! あたしが守ってあげなきゃいけないのっ!」

「黄冬の言う通りだ。この大雨の中抜け出すのは危険すぎる。全員ここから動くな」



 先生の言っていることは先生として正しい。かんなが心を読む限り、大矢卯月、樹来せんぱい、生徒会長さん、月長水菜、七海文、十六夜碧、金間義勇、真壁淳がどうにかして外に出ようと画策している。二次被害を防ぐためにはそれが一番だ。ただ人間としてはちょっと、ね。



(ねぇハロウちゃん。お願いしてもいい?)



 リルさんが気絶している今、大矢主水を助けに行けるのは天使化できるハロウちゃんしかいない。助けに行くのならば。



『わかっていますの? 大矢様を殺すいい機会ですのよ。まだ卯月様と仲良くなれていない今、ここで殺しておかないとまたあなたは死ぬことになる。』

(だからだよ。ここで助けて大矢卯月に恩を売る)

『なるほど。とってつけたにしては悪くない言い訳ですわ』



 言い訳って、かんなはただ……。



「ハロウですわ。ハロウですわ。ハロウですわ」

「……え? 急にどうしたの?」



 なんかハロウちゃんが馬鹿みたいな顔して自分の名前を連呼している。え? 本当にわからない。



『分身、ですわ。精度は目をつむってくださいまし。苦手科目なんですのよ』

「うわぁっ」



 天使化したハロウちゃんが馬鹿ハロウちゃんの後ろに立ち、自分の分身の出来にため息をつく。



『まぁこれでリル様にマウントとれますし、仕方ない。助けにいってあげますわ』



 ハロウちゃんだって言い訳がすごい。だがとにかく、大矢主水と翡翠芽依の救助に向かってくれた。いくら天使と言えど場所の捕捉ができるわけではないらしいので時間はかかるだろうが、たとえ死んでいても生き返らせれば問題なし。



 ……ていうかあれだな。かんなが大矢主水に死んでほしくないみたいになってしまった。



 依然大矢主水のことは嫌いだし、どうしようもなくなったら躊躇なく殺す。ただそれでも、



「……死ぬならかんなの手で死んでよね、大矢せんぱい」



 それが命を自由に扱えるかんなたちの責任。大矢主水を殺すのはかんなでなければならないのだ。

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