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過去に戻って高校生活をやり直してたら、知らない美少女後輩が俺のことを殺しにきている件。  作者: 松竹梅竹松
第6章 高2夏・林間学校

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第6章 第37話 震天動地

 わかってるよハロウちゃん。あなたの気持ちは。どうしてこんなタイミングで突然決闘を申し込んだのか。



 どうしても勝ちたかったんだよね。



 雨が降っていれば滑るかもしれないし、サンダルなら動きが鈍るもんね。少しでも勝つ確率を上げたかったんだよね。



 どれだけ卑怯な手を使ってでも、リルさんに勝ちたかったんだよね。



 かんなとハロウちゃんは、大矢主水とリルさんとは違う。



 あんなに自分を犠牲にできない。他人のためにがんばれない。どこまでいっても普通の存在。あんな異常者にはなれない。



 それでも、かんなは――。



「では、はじめましょうか。主水さんのためです。何をしてでも勝たせてもらいますよ」

「いいよ……かかってこいっ!」



 それでもかんなは、大矢主水に近づきたい。だからっ!



「いったぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」



 自分の腕に、クルージンを突き刺す。瞬間光り、輝くっ!



「まぶしっ……!?」




 相手に刺されなければ負けにはならない。だからまず自分に当てて電撃を発し、目くらましをした。



 結局は大矢主水の真似だ。もっともあれに比べたら痛みはだいぶマシだろうけど……それでも辛い。



 でも我慢できる。あの屋上の戦いを見ていないリルさん相手なら……!



「私が主水さんの雄姿を見ていないと思いますか?」



 通じ、ない……。光の先ではリルさんがかんなの姿をはっきりと捉えている。



「あなたでは主水さんにはなれませんっ!」

「知ってるよっ! かんなは大矢主水じゃないっ!」



 死んでいなければ動けるなんて、かっこいいことは言えない。



 だから、ここが限界。



 大矢主水と同じ世界は。



「これがかんなのやり方だぁっ!」



 もう痛すぎて耐えられない。だから放り捨てた。



 クルージンを、リルさんへと。放り投げた。



「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」



 リルさん、あなたにはわからないよ。人間を尊重しすぎているあなたには。



 人間の、弱さを。



 だから。



「かんなの、勝ちだよ――」



 まさかたかだか痛みで止まると思っていなかったのだろう。かんなの動きにだけ注視していたリルさんは投擲には反応することができず、地面に沈んだ。



「ぁっ、ぁっ、ぁっ……」



 リルさんの言った通りだ。この雷撃に人間やリルさんが耐えることはできなかった。白目を剥き、ピクピクと痙攣している。完全に失神してるって感じだ。何で連日人が気絶している姿見てるんだ……?



「神無、様……」

「いぇいっ。案外リルさんもたいしたことないね。かんなの方が……」

「神無様っ!」



 指で勝利のVサインを作ってハロウちゃんに笑みを見せると、



「あなたはっ! 自分が思っている以上にすごい人間ですわっ!」



 とてもハロウちゃんの口から出たとは考えられない言葉を告げ、かんなに抱きついてきた。



「……かんなの心、読んだんだね」

「わたくしはリル様に勝てなかった。でもあなたは勝てた! とても悔しいはずなのに……なのに! なぜだかとても誇らしいですわ! どうして、どうして……!」



 わかってるよ、ハロウちゃん。かんなたちは性格が悪いから。わからないんだよね。自分の正直な気持ちが。



「ハロウちゃん、すごいでしょ? かんな……」

「はい……! あなたはすごいですわ……!」



 でも今はこれでいい。少しずつ進んでいけばいい。これが大矢主水とリルさんよりも弱い、かんなとハロウちゃんの道だ。



「あなたたち! すごい雨よっ! 早く宿舎に戻りなさいっ!」



 ハロウちゃんと抱き合っていると、崖の上から生徒会長さんの声が聞こえた。そういえばそうだ。身体が人間よりも強いから気づかなかったが、すごい雨と風。かなり台風が接近しているのだろう。



「今戻りま……!」

「ちょっ……っと、待って……!?」



 見上げて返事をすると、気づいた。



「主水と、翡翠さんは……一緒じゃないの……?」



 生徒会長さんの表情が、絶望に染まっていることに。

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