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過去に戻って高校生活をやり直してたら、知らない美少女後輩が俺のことを殺しにきている件。  作者: 松竹梅竹松
第6章 高2夏・林間学校

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第6章 第31話 宣戦布告 2

〇主水




「おーくぅん……かぁいいよ、かわいいよぉっ」

「ぁ……ぉ……」



 どうして動けないんだろう。どうして水菜が俺の上に乗ってるんだろう。どうしてすごいキスされてるんだろう。頭が真っ白で何もわからない。



 でも始まりは、確かあれだったはずだ。。




2019年 8月23日(金) 22:34




「う、ん……?」



 なんだ、寝ていたのか……? にしても頭が痛い。普通の痛みなら我慢できるが、なんか、気持ち悪いタイプの痛みだ。しかも動けな……。



「もんどしゃぁん……あむあむ……」

「!?!?!?」



 眠っているリルさんが、俺の左腕を掴んで左耳を甘噛みしていた。



「ちょっ……リル……!?!?!?」

「うぅ……おにぃさぁん……」



 右腕を掴んでいるのは瑠璃さん。それだけならいい……いいけど……!



「なんで下着っ!?」



 下着……ピンク……! いやなん……着痩せするタイプ……! いやだからなんでっ!?



「もんどぉ……」

「おおやくぅん……」

「!?!?!?!?!?!?」



 左脚には芽依、右脚には十六夜が張り付いている。胸が……すごい!



「いやいやこれなになに!?」

「あ~おーくんおはよ~」



 ありえない状況と動けない現状に戸惑いまくっていると、この場にいそうでいなかったツヤッツヤの顔をした水菜が宴会場に入ってきた。



「水菜……これなにが……!?」

「あ~それは知らない。でも動けないのなら好都合」



 にっこにこの水菜がゆっくりと俺の上に乗ってくる。いや本当に状況が理解できないんだけど……!?



「いっつもなんだかんだ水菜ちゃんが負けちゃってるからね~。たまには、勝たせてもらお~っと」

「みな……まっ……まって……!」




2019年 8月24日(土) 00:08




「おーくん……んん……おーくぅん……」

「ぐ、ふ、ぅ……」



 あぁそうだ……。あれから始まったんだった……!



「ん? 抵抗が強くなってきたな~? でも騒いじゃだめだよ~? み~んな起きてもいいなら、それでもいいけど~」

「…………!」



 これ、ほんとシャレになら……! ていうかもう日にち回っただろうから約束の時間過ぎただろうに……!



「反抗なしってことは、犯行してもいふぎゃぁっ!?」

「水菜さんっ!?」



 真剣にどうしたものかと考えていると、突然水菜が悲鳴を上げて俺の胸に倒れ込んできた。



「何がどうなってんだ……!?」

「……割とそれはこっちの台詞ですけど」



 さっきまであった水菜の首筋辺りに手刀を添えている冷たい目付きをした女……。どうやら人間がやるのは難しいらしいが、天使の力を与えられていれば別だろう。



「天平……!」

「おはようございます、大矢主水。ずいぶん幸せそうな光景ですね」



 天平と……ハロウ……! これはまずい! 水菜とは比較にならないくらい、やばすぎる!



「リル! リルさん起きてっ! 死ぬ! まじで死ぬからっ!」

「ばーべきゅー……おいしいでしゅぅ……」

「それ明日のイベントだからっ!」



 くそ、リルさんぐっすり中だ……! 動けない状態で、俺を殺そうと企んでいる奴らの襲来。さてはこの状況も天平が……!



「ごめんなさい殺すのは待ってください……! この状況で死んだらなんか逆におもしろすぎる……!」

「どんな心配してるんですか。殺しませんよ。……とりあえずの、ところは」



 その言葉を信用するのは難しい。俺か天平。どちらかが死なないと、どちらかが生き返れない。それが俺たちの現実だからだ。……いや。他にも手段があるんだったか。



「……かんな、友だちを作ろうと思うんです」



 天平が死んだ原因。クラスの二軍連中からのいじめに耐えられずの自殺。確かにクラスどころか学校の中でもトップの卯月たちと友だちになれれば、それは解決するだろう。



「……俺が言うのも変だけど、それは難しいと思うぞ」



 もう1年生の夏。既に仲良しグループは確定している。しかも卯月たちは中学からの付き合い。加えてこの林間学校中でもギスギスしていた。



「どうしてもって言うなら次の……またお互い一度死ぬことになるけど、暦祭の時の方がいいと思う。卯月たちは……」

「それでも。あなたなら仲良くできるでしょ?」


「できるわけないだろ。俺を誰だと思ってんだ」

「じゃあこの光景はなんですか」

「俺が訊きたいわっ!」



 この状況に一番戸惑っているのは俺だ。ハロウは俺の心を読めるんだからわかっているはずだろう。



 それなのに、ハロウは何も言わない。ただ黙って、天平を見ている。観察している。



「……この光景が、あなたの努力の結晶です」

「いや違うよ。そんな遊び人になりたかったわけじゃない」



 なんか神妙な面持ちで語ってるけど、なにか勘違いしてるんだよなぁ……。俺はそんなんじゃ……。



「かんなは、あなたみたいになりたい」



 ほんと、勘違いしている。



「……俺なんか、憧れるもんじゃない」

「勘違いしないでください。別にあなたになりたいわけじゃありません」


「なんなんだよ……」

「あなたみたいに、です。かんなよりもゴミのくせに、友だちに囲まれているあなたのように、なりたいんです」



 だからそれが勘違いなんだって……!



「これは奇跡みたいなもんだ。なんか色々な状況が重なってたまたま仲良くなれただけで……」

「でしょうね。だからこれは宣戦布告です」



 俺のようになりたいと語った後輩が。俺を見下して、宣言する。



「かんなはあなたよりも上手く、あなたの今を手に入れる。あなたみたいなクソザコじゃない。明確な意志を持って、生き返ってやる」



 その瞳は今までで最も強く。同時に、最も怯えていた。だから。



「やってみろよ……天平後輩」

「ええやってあげますよ。遠くで見てなさい、大矢せんぱい」



 背中を押してあげるのが、やり直しの先輩である俺の役目だ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 水菜ちゃん見れて満足ですニッコリ
[良い点] リルちゃんでっれでれで草
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