第6章 第29話 縛り 中編
「もんどしゃん……もんどしゃん……」
「リル……リルぅ……」
抱き合い、慰め合うように互いの名を呼び合う大矢主水とリルさん。ていうかリルさんに至っては犬みたいに大矢主水の顔をペロペロと舐めている。あれほんとはどんな関係なんだろう。さすがに行き過ぎだよね。
でもその行き過ぎを望んでいるのがこの事態を招いた張本人、月長水菜だ。しかし、
「……まぁ、今日はいいや」
どういうわけか、月長水菜はあっさりと引いた。そして彼女は隅で寝ている大矢卯月、黄冬瑠璃、大雪晦花に近づいていった。
「やぁ~やぁ~卯月ちゃぁ~ん」
「……あ? 月長水菜……にゃんのよう……?」
危険人物の接近に大矢卯月は素早く起き上がるが、呂律は回ってないしふらふらしている。そんな大矢卯月をニヤニヤとした顔で見る月長水菜。
「あんたの思う通りにはさせにゃ……ぁ……」
「いやいや~別に何も企んでなんかないよ~。たださぁ~卯月ちゃんメイド服似合わなそうだな~って思って」
「あ!? にあうよあたしをだれだと思ってんのっ!?」
大矢卯月はブチ切れながら立ち上がり、黄冬瑠璃が着ているメイド服を剥ぎ取り、自分に纏う。いくら男子が大矢主水1人だといってもかわいそうだ。
「らめれすよぉ……おにいさん……ちゃんと……ぁっ」
下着姿にされ、妙な寝言を口にする黄冬瑠璃。本当にかわいそうだ。
「どおっ!? かわいいでしょっ!? あんたよりずっとっ!」
何の躊躇いもなくその場で着替え、大矢卯月は勝ち誇ったように笑う。元々性質の割には綺麗よりかわいいって感じの顔立ちをしている。月長水菜よりかわいいかは人によるだろうが、めちゃくちゃかわいい。
「わ~卯月ちゃんかわいいね~。でも足元おぼつかないよ~? 少し休憩しようね~」
「うぅ……はなせ……はなせぇ……」
腕をふらふらと振る大矢卯月を無視し、月長水菜は大矢卯月をどこかに連れ出す。……ついていくか。
と思ったけど見失った。どこだ……?
「水菜ちゃんね~卯月ちゃんと仲良くしたいと思ってるんだ~。ほら、将来のお義姉ちゃんとして~」
共用スペースの2階。誰も使っていない一室から声が漏れていた。
「でも卯月ちゃん、水菜ちゃんのこと嫌いじゃん~? それじゃあよくないよね~。だからそろそろ、理解せてあげなきゃなぁ~と思ったんだよ~。格ってやつをね~」
「ふざ……ふざけるにゃぁー……」
少し襖を開けて中を見てみると……転がってる! 大矢卯月がロープで縛られてる! しかもあれだ! 亀甲縛りってやつだ! えっちなやつだっ!
「大丈夫。なぁ~んにも考えられないくらい、気持ちよくさせてあげるからね~」
「いや……こないで……いや……いやぁぁぁぁっ」
これ……大丈夫なの!? 止めなくていいのぉっ!?




