第6章 第26話 VSイベント同好会
結局ドッジボールは天平チームが圧倒的勝利を収めた。その後のスポーツもだいたい同じ。バスケでは、
「うおおおおっ! アンクルブレイクですよぉぉぉぉっ!」
「これ高い人が圧倒的に有利なスポーツではありませんの?」
「ヘイパッ! ちょうだいっ!」
圧倒的。テニスでは、
「うおおおおっ! その打球消えますよぉぉぉぉっ!」
「やはり力の調整が難しいですわね……」
「気持ちいい~っ!」
圧倒的。サッカーでは、
「うおおおおっ! 皇帝ペンギン3号ですよぉぉぉぉっ!」
「チームプレー……。中々これは……」
「オーバーヘッドキックっ! できると楽しいっ!」
とにかく圧倒的だった。漫画の技を試したいリルに、力の調整に難航しているハロウ。褒められて調子に乗っている天平がもう手のつけようがなかった。まぁリルも天平も……そしてハロウも。楽しそうだからいいが……。
「よくないな……」
現在最下位は運動神経最悪の2人を入れた俺チームと、俺を意識するあまり強いメンバーを入れられなかった水菜チーム。そして次が最後の競技、リレー。これで勝った方が罰ゲームを免れるというわけだ。
「順番どうしますー?」
「とりあえず先行逃げ切りの形がいい。適当にライン引いただけのコースだし、スタートも横一列。コースの内側だけは死守しなきゃいけない」
大雪さんからの質問に、木の枝で地面に運動神経順になるようメンバーを書きながら答える。
「最初は晦花さん。次に金間、真壁、七海、十六夜。アンカーは俺だ」
「さすがに私より大矢くんの方が速いと思うけど……」
十六夜が控えめに進言してきたが、これは譲れない。サッカー場が作れるほどに大きなコース。これを一周するんだ。十六夜は確実として、七海や真壁辺りは途中でかなりペースダウンするだろう。
当然俺も相当に体力はないし根性もないが、死ななければ走り続けることができる。ラストで追い抜く係は必要なはずだ。まぁ所詮は一定のスピードで走れるだろうってだけだが……。
「アンカーを名乗り出るってことはそれなりの自信があるってことでしょ? 責任はあんたになすりつけるからね」
「え?」
いや責任なんて言われても七海さん……え?
「頼んだぞ主水!」
「マジ期待してっからな!」
金間くんに真壁くん……? 俺の実力知ってるはずですよね……?
「お兄さんここでアピールできたらかっこいいよー?」
いやアピールとかしなくていいんだけど……。
「大矢くん……また変わった……」
変わったとか今はどうでもいいんですけど十六夜さん……?
「や、やっぱアンカーは七海に……」
「なにビビってんの。言い出したからにはやりなさいよ逃げんな」
「はい……」
くそ、ミスった……。これ俺が戦犯扱いされるやつだ……。終わった……。
アンカーが集まる場所に立ち、ため息をつく。相手次第では勝てる可能性もあるだろうが……。人生において勝つという経験がない俺だ。どうにもならないかもしれない。
「大矢も……せんぱい。あなたがアンカーなんて意外ですね」
「ね~。でもおーくんと一緒に走れてうれしいな~」
「ふふふ……。先輩の威厳というものを見せてあげましょうか」
ましてや相手はイベント同好会。本気でがんばらないと、話にならないな。




