第6章 第22話 下種会話 2
2019年 8月22日(木) 22:18
「よぉ主水!」
「遅かったな」
「…………」
とても面倒な騒動が終わりようやく風呂に入れると思ったら、真壁と金間が普通にまだ風呂に入っていた。
「その色々……やることがあったから」
まさかボコボコにされてたなんて言えるはずもない。めちゃくちゃにボカしてシャワーを浴びる。他人と一緒に風呂入るの苦手なんだよな。そもそも他人がいる空間自体苦手って話だが。
「そろそろ出ようかと思ってたけどしゃーねぇ。まだいてやるか!」
「だな」
なんだその気遣い。いらないよ。どうして陽キャってなんでもつるもうとするんだろう。
「にしてもあれだな。お前の妹、卯月ちゃん! かわいいよなーっ! 俺狙ってもいいかな!?」
「ご自由にどうぞだけどたぶんきついと思うよ? 馬鹿嫌いだから」
「なら俺いけるな! 馬鹿じゃないからっ!」
身体を洗い終わり、適当に返しながら風呂に入る。二人がいる位置から少し離れた所に座ると、何のつもりか腕だけで移動し、俺の隣に並んできた。
「俺は卯月ちゃんより瑠璃ちゃんかなー。あの清楚っぽい感じがやべーいい」
「お前ほんとロリコンな!」
「瑠璃ちゃんはロリってほどロリじゃねぇだろ!」
ほんと最低だこいつら……。隣女子風呂だろうに。
「主水は誰がいいんだよ? お前色んな女子と仲いいだろ!」
「別に仲よくないよ。ただなんだ、友だち……いや……」
真壁のどうでもいい言葉にすらまともに返せない。ラインがよくわからないんだ。
芽依、水菜、七海。この辺りは友だちだと、思う。十六夜はどうだろう。俺は仲よくできていると思っているけど、最近あいつは女子と仲よくなったからか、話す機会が減ったような気もする。
黄冬さん……はどうなんだ? 懐かれているのは事実だろうが、仲いいかってなるとわからない。大雪さんは……マジでわからない。
宍戸さんは尊敬しているし、仲いい気もするが、なんだろうな、なんか違う気がする。
天平はない。あまりにもない。同様にハロウも。
リル……は、なんなん、だろうな。
「やっぱり仲よくないよ。よくいる3人くらいだな」
「お前の仲いいの基準わかんねーよ!」
「俺だってわかんないよ」
仲いいってなんだ。今まで仲いい奴いなかったからよくわからない。
自分だけが仲いいと思っていて、向こうは全然そう思っていない。よく聞くし、実際よくあることだ。
そう勘違いしてしまうことが何より怖い。だから一歩踏み込めなかった。今までは。
このやり直しで、そのネガティブは解消傾向にあると思う。だが根っこの部分は変わらない。変わってくれるほど、俺の人生は明るくなかった。
「まぁ別に……仲よくなくてもいいしな」
だからこんな風に、ゴミみたいな強がりが出てしまうんだ。
「おー……お前なんかやなことあった?」
「俺の人生は嫌なことばかりだよ」
「にしたって元気ないだろ。さてはあれだな? 俺らがいない間にいじめられたとか」
「…………」
「……なんだ、マジかよ」
金間と真壁が心配そうに顔を覗き込んでくる。なんかもういいや、めんどくさくなってきた。
「同じクラスの奴に殴られた。別にそれ自体はいいんだけど……色々悪口とか言われてさ。気にしてないけど……たぶん少しは、心にキてるんだと思う」
今まではそんなこと思わなかった。俺は悪口を言われて当然の奴だから。事実を言われて腹を立てられるほど、俺は自尊心に溢れていなかった。
でもこのやり直しで。多少、みんなと仲よくなれたせいで。自信が、ついてきてしまったせいで。
「なんかなぁ……嫌われるのって、辛いな……」
普通の人に、なってきてしまっていた。
「まぁな……嫌われてもいい奴なんていねぇだろ」
「でもあんま気にすんなよな。俺らがいるだろ?」
優しいな、こいつらは。それに引き換え俺は……。
「なんだ、まだ人いたのか」
なにか言おう。そう考えていると、風呂の扉が開き、入ってきた。
「おお! 主水に何か言ってくれよ!」
「クラスの奴にいじめられたんだってさ! 俺らがやり返しに行ってやろうぜ!」
「へぇ……。それは、災難だったな」
誰よりも俺のことが嫌いな樹来が。入って来やがった。
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