第6章 第20話 やばい奴ら
「まぁどっちでもいいや……二人とも殺そ。正当防衛ってやつだよね? 別に正当防衛にならなくても殺すけど」
ま、ずい……! 水菜が……水菜様が降臨なされた……!
水菜は普段から「水菜ちゃんだよ~」というキャラを作っている。これが出ている内は安心安全のただのふわふわかわいい女の子だが、素が出てくるとかなり危ない。具体的に言うと椅子投げられて俺一度死んでるらしい。
犯罪者につきまとわれていた経験からか常識がおかしいんだ。やりすぎだろのラインを軽く3倍は超えてくる!
「水菜さん……ちょっと落ち着いて……」
「落ち着いてるよ。冷静にこれは、ダメでしょ。普通に犯罪だから。冗談じゃ済まないよ」
「いやこれくらいじゃれ合ってただけだって……」
「口から血出てるよ。内臓をやられたか、歯でも折られない限りそんなことにはならない。それがじゃれ合いだって言うなら、殺人だって遊びの範疇だよ」
「でも水菜だってわかってるだろ!? 俺って意外と頑丈だから……」
「おーくんのは身体が強いんじゃなくて、馬鹿なだけ。普通の人は手に包丁刺したり骨折しても普通に話したりできない。おーくんの常識はおかしいからね。私が守らないと」
くっそなんかそっちの方が正論っぽい! いやでも水菜を犯罪者にするわけにはいかない……!
「全部俺が悪いから……! 指の骨も自分で折ったし……」
「この状況で自分で折るわけないでしょっ!?」
「そ、そうだよ俺たちは悪くない!」
必死に暴走状態の水菜を抑えていると、爆弾が。無慈悲にも投下された。
「本当にこいつが自分で骨折ったんだし……なぁ?」
「あ、ああ! だいたいこいつ、全然痛がってなかったんだよ! 見た目が派手なだけで本当は……!」
「殴られた方が悪いのなら、殺される方も悪いよね?」
自己保身。誰もが持っているその当たり前は、やばい奴には存在しない。
「もう無理……耐えられない。これ以上おーくんが傷つくのは……」
そして我慢できないんだ。自分の正義感から外れたものが許せない。
水菜の場合、トリガーは俺。だから俺が止めないと……!
「だから私が排除しないと――!」
「く、来るんじゃ……!」
「おい」
水菜が振るった拳は俺の右肩に当たり、それに反応して殴り返そうとしてきた金髪の拳は、俺の左手に吸い込まれた。
「俺はいいけど水菜はだめだ。絶対に許さない」
……咄嗟に庇えたのはいいけど、受け止めた位置が悪かった。なんか薬指すごいことになってる。正直痛くて息が吸えないレベル。やっぱり俺はヒーローにはなれないな。ちょっともう、真剣にやばくなってきた。
「おーくん……ごめ……!」
「いや大丈夫……。それよりここまでにしよう。明日の夜、俺のこと好きにしていいから」
「えぇっ!? いいのっ!?」
……まずった。もうこれしか水菜を止められないと思い口走ったけど、想像の5倍反応がよかった。
「いやでも常識の範疇で……」
「たかだか会議の時間を遅らせるって伝えに行っただけなのにやけに時間がかかると思ったら……そういうことね」
水菜の手を引きコテージから出ようと思っていると、水菜を呼びに来たのか現れた。
宍戸さんと……天平。そしてその隣には天使状態のハロウ。
ようやくなんとか解決できたのに、また争いが起こることは明白だった。
昨日は更新できず申し訳ありませんでした。ワクチンを打った後パソコンに向き合ったらですね、思っていたよりしんどかったです。なので短くて申し訳ありません。
なに甘えてんだ主水くんは骨折れてるのに気にしてないぞと思いなんとか書き上げました。ストックの偉大さがわかりましたね。




